資金調達

いくらまで借りられる?経営者が勘違いしやすい保証枠を徹底解説

中小企業経営者にとって、信用保証協会はとても身近な存在であり、また資金調達に欠かせない存在です。しかし、信用保証協会がいくらまで保証してくれるのか、どのような考え方によって保証額を決めているのかといったことを知らず、信用保証協会を十分に活用できていない経営者も少なくありません。
保証枠の考え方は、決して難しいものではありません。この記事で学んでいきましょう。

保証付融資でいくらまで借りられる?

信用保証協会を活用するために欠かせない知識のひとつに、「信用保証協会の保証付融資では、最大いくらまで借りられるか?」が挙げられます。
信用保証協会の保証をつけることで、銀行融資のハードルが大幅に下がります。保障に当たっては、信用保証協会に保証料も支払います。このため、保証付融資によって資金調達する場合、なんとなく信用保証協会から資金を調達しているような錯覚に陥ることもあるかもしれません。
しかし、保証付融資もプロパー融資と同じように、資金の出し手はあくまでも銀行です。資金の出し手である銀行は、信用保証協会の保証を保全とみなして融資します。別の見方をすれば、銀行は、信用保証協会が保証できる金額までしか融資しません。
したがって、信用保証協会がいくらまで保証してくれるのかを知ることが重要なのですが、保証限度額について誤った認識に陥っている人が非常に多いです。
信用保証協会の活用のためにも、保証上限額はいくらであるか、保証付融資で調達できる金額はいくらであるかを理解しておくことが重要です。

保証限度額は最大いくら?

信用保証協会は、保証の上限額を設定し、その範囲内で保証します。では、保証限度額は最大いくらなのでしょうか。
保証限度額は、担保の有無によって大きく変わります。すなわち、

無担保・・・8,000万円
有担保・・・2億8,000万円

と決められています。ただし、この枠は絶対ではないことに注意してください。

例えば、新型コロナウイルス感染症対策に伴うセーフティネット保証では、無担保8,000万円・有担保2億8,000万円の保証枠とは関係なく、別枠で2億8,000万円までの保証が受けられます。また、保証上限額は今後の改正によって増減する可能性もあるため、最新の情報をよく確認しておくことが大切です。

保証限度額の考え方

保証限度額について、勘違いしている経営者は非常に多いです。上記の通り、信用保証協会は無担保8,000万円、有担保2億8,000万円を保証上限額としています。しかし、これはあくまでも

「無担保ならば最大8,000万円、有担保ならば最大2億8,000万円まで保証を受けられる可能性がある」

という意味であり、必ずしも限度額までの保証を受けられるわけではありません。
信用保証協会は、保証した融資が貸し倒れになれば、原則として残債の80%を弁済する必要があります。このため、財務状況が悪い会社には保証できません。また、保証できるとしても、財務状態によって

「この会社は財務状態がいい。無担保でも8,000万円まで保証できる」
「この会社は財務状態がやや悪い。無担保なら5,000万円まで保証しよう」

といった差が出てきます。
このように、無担保8,000万円・有担保2億8,000万円の範囲内で、保証上限額に満たない保証枠しか与えられないケースもあるのです。

月商倍率がカギ

この点をしっかり理解しておかなければ、資金繰り計画に支障を来します。保証枠に余裕があると思い、保証付融資なら簡単に融資を受けられると考えて融資を依頼したところ、保証を断られてしまい、資金調達が間に合わないといったトラブルが起こるのです。
実際に、

「今、無担保で信用保証協会から5,000万円の保証を受けています。無担保枠はあと3,000万円あると思うのですが、保証を申し込んだら断られてしまいました」

といった相談は非常に多いものです。
この会社は、会社の業績・財務状況から、無担保で保証できるのは5,000万円までと判断され、追加の保証を受けられなかったと考えられます。
保証枠の仕組みを理解していれば、「自社は保証枠を全部使ってしまったらしい」と判断し、他の資金調達方法に即座に切り替えることも可能です。
しかし、保証枠は銀行や信用保証協会が教えてくれるとは考えにくいため、ある程度の目算を立てられるようにしておくことが大切です。
保証上限額のカギを握るのは、月商倍率です。月商倍率とは、借入総額に対する月商の倍率であり、信用保証協会はこの倍率から適切な保証枠を判断しています。
業種によって異なりますが、大まかな考え方は以下です。

  • 月商倍率が3倍以下→良
  • 月商倍率が3~4ヶ月→可
  • 月商倍率が4ヶ月以上→不可

保証枠の具体例

保証枠の判断について、具体的に見てみましょう。
A社の年商は6億円、月商は5,000万円です。この月商により、信用保証協会の基本的な判断は、

借入金総額が1億5,000万円以下(月商倍率3倍以下)→良
借入金総額が1億5,000万円~2億円(月商倍率3~4倍)→可
借入金総額が2億円以上(月商倍率4倍以上)→不可

となります。したがって、以下のように、現状の借入総額と月商から、おおよその保証枠を把握できます。

A社の未だ無借金であれば、月商倍率4倍まで2億円の余地がある。このため、無担保では8,000万円、有担保では2億円までの保証を受けられる可能性が高い
A社の借入金総額が1億5,000万円であれば、月商倍率は3倍であり、月商倍率4倍まで(可の水準の範囲内)は保証できる可能性がある。保証枠は最大5,000万円となる
A社の借入金総額が2億円であれば、すでに月商倍率4倍に達している。これ以上は、「不可」の水準であるため、保証枠はゼロとなる

まずは、現時点での自社の借入総額、保証総額、月商倍率から、追加で保証を受けられるかどうか、いくらまで保証を受けられそうか、といったことを調べてみてください。
もし、保証枠が残っておらず、プロパー融資も受けられる見込みがなければ、ファクタリングなどの資金調達を模索していく必要があります。

まとめ

本稿では、信用保証協会の活用に欠かせない「保証上限額」の正しい考え方を解説しました。保証上限額について勘違いしている経営者は多いので、これを機に正しい知識を身に着けてください。
また、保証上限額を正しく理解していても、月商倍率から保証枠を算出できることは、案外知られていないものです。この方法によって保証枠を把握しておくと、資金繰りがより円滑になります。
最も良いのは、信用保証協会の活用に合わせて、資金繰りの改善や資金調達方法の多様化などに取り組み、財務基盤の強化を図ることです。そのためには専門知識が必要となるため、資金繰り専門のコンサルタントへ相談することをおすすめします。

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