銀行融資

新規融資のハードルを大きく下げる2つの裏技

預金口座開設だけでは不十分

前回の記事では、新規に融資を受ける銀行を増やす最も基本的な方法である「預金口座開設」について解説しました。
預金口座の開設を通して銀行と接触を図り、融資の道を探っていくことは、どのような会社でも取り組めるものです。まずはここから始めるのが無難でしょう。
しかし、預金口座開設を糸口にする場合、徐々に関係を深めた上で融資にたどり着くことも多く、時間がかかりやすいのが難点です。
そこで、預金口座開設と並行して、

・自社と銀行を紹介によってつなぐ
・信用調査を利用して銀行の新規融資を誘う

という、2つの方法に取り組むことをおすすめします。

自社と銀行を紹介によってつなぐ

銀行が新規に融資依頼を受けたとき、全く付き合いのない人物や会社は警戒するため、融資がでる可能性もかなり低いです。しかし、もしその人物や会社が、取引は全くの新規であっても何らかの繋がりがある場合には安心感があり、新規の取引でありながら融資交渉はスムーズに進むことが多いです。
銀行という組織は固いイメージがあり、紹介などというルートではつながりにくいと思うかもしれませんが、銀行も営利企業である以上、融資先を紹介されることを基本的に歓迎します。どのような会社でも、顧客が顧客を呼んでくれるのは好ましいことであり、銀行も例外ではありません。
したがって、知り合いの経営者や税理士の中に、新規に融資を受けたい銀行とつながりがあるかどうかを聞いてみて、つながりがあれば紹介してもらうと良いでしょう。

紹介を受ける際の注意点

紹介を受ける際に注意すべきことは、自社の事業所の近くの銀行(支店)を紹介してもらうことです。可能であれば、最寄りの支店が最適です。
というのも、自社から遠い支店を紹介してもらっても、その支店の銀行員が自社を訪問しにくいからです。
特に、一般的な感覚では近い支店であっても、銀行的な感覚では遠いとみなされやすいことにも注意してください。
例えば、一般的な感覚では、10㎞は近いといってよいでしょう。しかし、大都市の中心部などでは支店網が張り巡らされており、10㎞圏内に複数の支店を構えているエリアもあります。
このため、自社から10㎞程度の距離にあるA支店の紹介を受けたとしても、A支店の周辺10㎞圏内に複数の同行支店が存在している場合には、銀行の感覚では「もっと近い支店はたくさんある(=A支店のテリトリーではない)」と考え、なかなか足を運んでくれない可能性があります。
このようなテリトリーの意識は、複数の事業所を構える企業ならば等しく持っているものですが、銀行のテリトリー意識は特に強いといってよく、紹介された支店が最寄りでなければ紹介がうまくいかないことも多いです。
地方都市では支店網がそれほど緊密ではなく、それなりに遠方の支店の紹介でもうまくいくことがあります。とはいえ、やはり支店ごとのテリトリー意識は強く、一般的な感覚とはズレがあるものと思っておくべきです。
もっとも、紹介されたA支店から最寄りのB支店につないでくれることで、融資につながるケースもあります。ただし、これは支店間の関係が緊密であり、紹介された支店の行員が臨機応変に動いてくれる必要があるため、それほど期待できません。
したがって、新規の銀行を紹介で開拓する際には、うまくいかない場合があることを認識し、できるだけ近い支店(可能であれば最寄りの支店)を紹介してもらうことや、機会があるごとに紹介を受けることを意識してください。

信用調査を利用して銀行の新規融資を誘う

信用調査会社を利用するのも、銀行の開拓に効果的な方法です。信用調査会社(与信調査会社とも)とは、企業や個人の信用調査を行う会社のことであり、帝国データバンクや東京商工リサーチがよく知られています。

信用調査会社と銀行の関係

信用調査会社の主な業務は、企業などの依頼で調査し、調査した企業のデータを管理・提供することです。企業が与信管理などを行う際には、取引先や見込み客の信用調査を依頼したり、調査データを照会したりすることが可能です。
大手信用調査会社の蓄積データは膨大であり、国内最大手の帝国データバンクでは、110年以上にわたって企業データを蓄積し続けています。
意外に知られていないのですが、銀行も信用調査会社を利用しています。もっとも、新規の調査を依頼するためではなく、新規融資先の開拓に利用することが多いようです。

銀行の営業を誘う

銀行の支店は、本部から新規融資先の開拓・融資量の増加を求められています。日々、テリトリー内の新規融資先を開拓しており、その際には信用調査会社のデータを利用します。
信用調査会社のデータベースは、調査のたびに更新されていきます。銀行ではそのデータベースから、

・新規の(銀行が把握していなかった)会社情報が掲載されていないか?
・すでに掲載されていた情報が更新され、点数が改善された(信用調査の結果が良くなった)会社はないか?

を調べます。
このことから、

①自社の情報が信用調査会社のデータベースに掲載されていなければ、新規の掲載によって銀行から営業を受けられる可能性がある

②自社の情報が信用調査会社のデータベースに載っているものの点数が悪い場合には、点数を改善することで銀行から営業を受けられる可能性がある

といえます。

自社の情報を新規に掲載してもらう

まず、信用調査会社のデータベースを照会し、自社の情報が掲載されているかどうかを調べてみましょう。これまで調査対象になったことがない会社は掲載されていないため、掲載されるように仕向けていきます。
もっとも、信用調査会社のデータベースは、自社から「掲載してください」とお願いして掲載されるものではありません。あくまでも「調査結果のデータベース」ですから、他社の依頼によって自社を調査した結果が掲載されます。
逆に言えば、付き合いのある経営者などにお願いして自社の調査依頼を出してもらえば、その結果が信用調査会社のデータに新規掲載されます。

自社の情報を更新してもらう

すでに自社の情報が掲載されており、点数が悪い場合もあるでしょう。
100点満点の評点がどのような基準でつけられているか、詳しい情報は公開されていませんが、調査を受けた時点での業績や財務に問題があった、説明が悪いために会社の短所が目立ってしまったなどの理由で、低い点数がつけられたと考えられます。
したがって、前回の調査時と現在を比較して、業績や財務が改善している場合には、付き合いのある経営者などに頼んで自社の調査を依頼してもらうことで、点数が改善する可能性が高いです。

調査を受ける際のポイント

調査依頼を受けたとき、信用調査会社は対象企業に調査員を派遣し、経営者から話を聞いたり、書類の開示を求めたりします。その結果を信用調査報告書にまとめ、点数をつけ、依頼主に提供すると同時にデータベースに蓄積していく流れです。
自社が知らないところで調査依頼がなされた場合、調査を受ける準備ができていないため、点数を上げるための工夫も難しいです。つまり、

・経営状況が悪いタイミングで調査を受けた
・調査員のヒアリングにうまく答えられなかった
・書類に不備があった

などの理由により、点数が悪い情報が掲載されることも考えられます。
しかし、知り合いにお願いして調査を受けるならば、

・経営状況が良いタイミングで調査を受ける
・調査員のヒアリングに丁寧に答え、自社の長所や決算の改善ポイントなども説明する
・不備のない書類を提供する

などの対応によって、点数が高くなりやすいです。
新規掲載や更新によって高い点数が獲得できれば、銀行から営業を受ける可能性が高いです。ほどほどの点数をつけられたとしても、全く情報が掲載されていない状況や、悪い点数のまま掲載されている状況ではなくなり、銀行開拓は大きく前進したといってよいでしょう。
もちろん、自社の経営を改善しながら定期的に調査を受けることで、点数を徐々に高めていくことができ、銀行から営業を受けられる機会も確実に増えていくはずです。

まとめ

本稿では、銀行を開拓するための2つの方法を解説しました。
知人の紹介や信用調査会社の利用といった間接的アプローチは、預金口座開設のような直接的なアプローチよりも実践しにくいと感じられるかもしれません。しかし、うまくいくように工夫することは可能であり、うまくいけば融資を引き出せることが多いです。
銀行の開拓に取り組む際には、複数の方法を知っておき、機会があるたびに積極的にアプローチを仕掛けていくことを心がけてください。

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