手形割引

手形割引とファクタリング違いを徹底解説

商品やサービスの対価として受け取った約束手形は、即座に現金になるわけではなく契約上で定められた期間内に支払いが実行されることになります。約束手形は売掛債権以上に支払サイトが長くなる傾向があり、手元にある手形の支払いを待つ間の資金調達に苦労している企業はかなりの数に登ります。しかし「手形割引」によって資金調達を行えばこのピンチを乗り越えることが可能となります。「手形割引とは?」という疑問に対する答えと、売掛債権を利用した資金調達法である「ファクタリング」との違いを解説します。

手形割引とは?

手形割引とは、支払いの期日を迎えていない約束手形を、金融機関や専門業者に譲渡することによって現金を得る資金調達方法です。割引料とも呼ばれる手数料的なお金が手形の額面から引かれて支払われることになりますが、支払期日より早くに現金が手に入れることができます。

受取手形を担保とした融資

手形を利用した資金調達方法である手形割引は、約束手形を銀行などに対して売却しているわけではありません。正確には約束手形を担保にして融資を受けているということになり、受け取ったお金はバランスシート(貸借対照表)の勘定科目では負債の部に計上され流動負債として扱われることになるのです。

期日前に現金化ができる

手形割引を利用して得られる最大のメリットは、支払期日を待たずに手形を現金化できるということで間違いありません。取引先に対して支払いの強制力を持っているのが手形の利点ですが、60日以内の支払サイトが設定されることが多い売掛債権よりも遥かに長い、90日から120日の支払サイトが設定されることが多いという問題を抱えています。しかし手形割引を利用すれば早期の現金化が可能となりますので、この問題をクリアすることができる様になります。

支払日までの期間に応じて「割引」される

割引料として引かれる額は、支払日までの期間が長くなるほどに大きくなるとお考えください。ですから早くに現金化するほどに手に入る資金は少なくなってしまいます。ですから手形割引の利用の際には、複数の約束手形が手元にあるのであれば期日の近い物を選ぶなど、上手く活用する方法を考えることも大切になります。

手形が不渡りになった際には買取の義務がある

支払いの強制力があるのが約束手形を利用した取引のメリットではありますが、万が一のトラブルが起きるなどして取引先が倒産し不渡りが出てしまった場合には現金化は不可能となってしまいます。そして手形を担保にして融資を受ける手形割引で資金調達を行った場合、手形が不渡りとなってしまった時には買い戻しを求められてしまうのです。審査時には倒産リスクも考慮されており滅多に起きることではありませんが、現金化したらそれで手形に関する責任が無くなるわけでは無いのです。

ファクタリングと手形割引の違い

手形割引と似たような資金調達方法として、売掛債権を利用して資金繰りを改善する「ファクタリング」という方法があります。しかし実際には手形割引とファクタリングには大きな違いがあるのです。同じ様な物と捉えて利用すると、後から思いもしなかった問題が発生するかも知れません。そうならないためにも、この2つの資金調達方法の違いをご紹介します。

手形割引は融資、ファクタリングは売却

手形割引はここまでもご説明した様に、手形を担保とした「融資」です。それに対して、ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社と呼ばれる買取業者に売却することで資金調達を行います。融資と売却という違いは、利用する企業に対して様々な影響を生み出します。

貸借対照表への影響

手形割引で手に入れた現金は流動負債として扱われますが、ファクタリングは融資ではありませんので現金化して得た資金は負債としては扱われることはありません。ですから貸借対照表(バランスシート)上の負債額を増やすこともなく、資金調達が行なえるということです。そしてファクタリングの利用は貸借対照表のスリム化という好影響を与えてくれるのです。

資金調達後のリスク

万が一にでも取引先が倒産してしまった場合、手形割引では買い戻しを求められ大きく資金を失うことになりかねません。この結果、資金調達前よりも経営が苦しくなるという危険はゼロではありません。対してファクタリングの場合はノンリコース(償還請求権なし)での契約が原則となっていますので、取引先が倒産してしまっても代金を返済する必要はありません。資金調達後のリスクを比較した場合には、ファクタリングの方が安心感は高くなります。

診査で重要視されるポイント

審査時に手形割引でもファクタリングでも重要視されるのは、取引先の信用力です。確実に支払いを実行できると判断されるかどうかが審査のポイントとなります。しかし手形割引の場合には買い戻しが発生する可能性がありますので、資金調達を希望する企業にもある程度の信用力が求められます。ですがファクタリングは償還義務が無いのが原則ですので、債権の権利を差し押さえられる危険があるほどに経営が傾いていなければ、赤字経営や税金などの滞納がある状態でも審査に通過するのは難くありません。どちらの資金調達方法も銀行融資とは全く違う審査基準であり、融資を断られた企業も利用できる期待は十分に持てます。

手形割引とファクタリングのどちらを選ぶべき?

約束手形も売掛債権もどちらも持っているとすれば、手形割引とファクタリングのどちらを選ぶべきでしょうか?その答えは資金調達を希望する企業の状況や、希望する条件によって変わります。ここからは求める条件別にどちらを選ぶべきかを解説していきます。

なるべく額面を減らしたくないのなら手形割引

額面が同じで支払期日までの残り日数も同じであれば、回収リスクの低さも影響し手形割引の方が多くの現金を得られる可能性が高くなります。もちろん選んだ場所によって割引料に違いがあるので一概には言えませんが、多くの資金調達を目指すのであれば手形割引がおすすめです。

3社間ファクタリングを選べば手数料は安くできる

ファクタリングを利用し手数料を抑えたいとお考えであれば、3社間ファクタリングをお選びください。これも選んだファクタリング会社次第ではありますが、1%から10%の手数料で済むことが多くなります。3社間での契約では取引先からの債権売買に関する承諾を得る必要が発生しますが、手数料を抑える効果は大きく期待できます。

資金調達後のリスクを避けるならファクタリング

資金調達を完了した後にリスクが残っていては、得た現金を安心して資金繰りに利用できないかも知れません。そうお考えであれば選ぶべきはノンリコースで契約できるファクタリングです。
しかし十分な信用力のある大手など、倒産する可能性がまず無い取引先からの約束手形であれば、手形割引でもリスクを考慮する必要は無いかも知れません。

経営状況に不安があるならファクタリング

手形割引もファクタリングも、手形や債権を発行した側が確実に支払いを実行できるかが審査通過の大きなポイントとなります。しかしどちらも資金調達を希望する企業に対して審査がないわけではありません。手形割引は償還義務の関係からある程度安定した経営状況であることが望まれますが、ファクタリングは差し押さえの可能性があるほどの危機的状況でなければ審査通過は難くありません。ですから自社の経営状況に不安があるのであればファクタリングを選択しましょう。

手形や売掛債権を上手に活用して資金繰りを改善

手形割引もファクタリングも中小企業にとって利用価値の高い資金調達方法です。銀行融資など比較して審査通過できる可能性も高く、現金を得るまでに必要な期間も短くて済むことが多いのがその大きな理由です。これらの資金調達方法を上手く活用することができれば、資金繰りを改善できる可能性は大きく高まるはずです。この2つの資金調達方法の利用を検討してみてはいかがでしょうか?

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