資金繰り改善

資金繰りは経理部門に任せきり?そのやり方は危険です

 資金繰りがうまくいかない会社の特徴のひとつに、全て経理部門に任せきりにしていることが挙げられます。経営者自身に資金繰りの知識がない場合、知識のある経理部員に任せた方が安心だと考え、一任してしまうことも多いです。
 しかし、このような考え方はとても危険です。却って資金繰りが悪化したり、倒産につながる問題を引き起こしてしまったりする可能性があるのです。
 経理部門と資金繰りの関係について、正しい考え方を学んでいきましょう。

経理部門に任せるとどうなる?

前回の記事(→資金繰り改善に「部門間の連携とバランス」が欠かせないワケ)では、部門間での連携をとることが資金繰り改善に繋がることを解説しました。また、連携を取るにあたって、まとめ役は経理部門が担うべき、ともお話ししました。
 このとき、勘違いしてはならない微妙なポイントがあります。それは、資金繰りは、経理部門に任せきりではうまくいかない

ということです。なぜ経理部門に任せきりでうまくいかないのか見ていきます

経理部門任せにする危険性

 そもそも「まとめ役」というのは、『まとめる者』と『まとめられる者』との関係があってはじめて成り立つものです。『まとめられる者』には協力する姿勢があり、『まとめる者』には提供される協力をうまく活かしていく姿勢が欠かせません。
「経理部門がまとめ役になる」ということを、「経理部門任せにして、うまい具合にやらせておく」といった感覚で考えてしまうと、資金繰りがうまくいかなくなるだけではなく、本来発生しないリスクを抱え込む危険もあります。

というのも、経理部門に任せきりにすると、経理部門の権限が強くなりすぎる可能性があるからです。経理部門が「会社の生命線である資金繰りを握っている」という感覚に陥り、不祥事に繋がっていくケースもあります。
 分かりやすいのが横領です。横領は、資金繰りを経理部門任せにした場合に起こりやすい不祥事です。
 社内の特定の人物、あるいは特定の部署で権限が大きくなりすぎると、特定人物・部署に対する抑止力がなくなり、不正が起こりやすくなります。最初は小さな不正に始まり、それが徐々に大きくなっていき、やがて巨額の使い込みなどに発展し、隠しきれないほどになってようやく露見するのです。

正確な資金繰りも難しくなる

 また、不正が起こらないとしても、資金繰り改善は困難となります。
権限が強くなりすぎた経理部門が、経理の都合で各部門を指揮するようになると、現場から生のデータが上がってきてもあまり役立ちません。経理の都合でデータを曲解し、経理の頭の中で都合よく資金繰りが管理されるため、会社の実態が資金繰りに反映されにくくなるのです。

各部門はどのように協力するか

 経営者は、資金繰りを経理部門に任せきりにするのではなく、経理部門にまとめ役としての自覚を持たせることを意識してください。
また、各部門も、経理部門に協力する立場ではありますが、経理部門の下につくのではなく、対応な協力関係にあると考えさせることが重要です。各部門は経理部門の勝手な都合に合わせるのではなく、あくまでも会社の資金繰りに貢献するために、経理部門に協力するのです。これにより、

  • 会社のために、資金繰りを管理する経理部門
  • 会社のために、経理部門が資金繰りを管理できるよう、必要な協力を提供する各部門

という関係が成り立ち、全ての部門が「会社のために」という方向性で一致します。一部の権限が強くなり、資金繰りが悪化することを避けられます。

重要な情報は速やかに伝達

 日常的に発生するデータは、毎日経理部門に伝達され、資金繰りに即時に反映される流れを作る必要があります。
 このほか、日常的に発生しないデータにも留意が必要です。むしろ、イレギュラーに発生するデータ・情報であるからこそ、いざ対応すべき時に円滑さを欠くことがないように、普段からしっかりと連携を取っておくことが重要です。
 例えば、製造部門では、製造設備の修繕が生じることがあります。必要な修繕を放置しておくと、不良品率が高くなったり、生産スピードが低下したり、原材料のロスが多くなったりするため、資金繰りを悪化させる原因になります。
 したがって、製造部門と経理部門が普段からしっかりと連携しておき、必要に応じて修繕や買い替えを協議できる仕組みを作っておくことが大切です。
 具体的には、以下のような流れで行われます。

  1. 製造部門で、設備の修繕が必要になった
  2. 経理部門に報告・相談する
  3. 大規模な修繕が必要であれば、設備の買い替えなども検討していく
  4. 大きな出費を伴う案件は、稟議の上で決定する
  5. 稟議の結果、大規模修繕や買い替えが決定したならば、経理部門は資金調達のために借入れ交渉に入る

 営業部門などでも同じです。販売先の経営悪化、顧客のクレームによる返品や取引の縮小などは、資金繰り悪化を招く可能性があります。このようなイレギュラーな情報がスムーズに伝達されれば、資金繰りの悪化を軽微に止めることができるのです。
 このように、各部門が経理部門としっかり連携を取っておくと、資金繰り悪化の遠因となる問題を、小さなうちに取り除くことができます。

まとめ

 資金繰りは、経理部門に任せきりではうまくいきません。経理部門の独り相撲では、却って資金繰りの悪化を招いたり、横領などの重大な問題が起こったりする可能性もあります。
 経営者が軸となった上で、経理部門を各部門のまとめ役として機能させ、資金繰りをコントロールし、改善を図っていくことが大切です。
 そのような体制をこれから作っていく会社は、ぜひ専門家に依頼して着手することをおすすめします。資金繰り改善は、最初が肝心です。どのような方針を立て、どこから手をつけていくかによって、成功率や改善スピードが大きく左右されます。
 資金繰りのプロであるコンサルタントなどのアドバイスを受けながら、確実に改善していくことを心がけてください。

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