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起業・開業時の資金調達方法13選|メリット・デメリットについて詳しく解説 

起業・開業時の資金調達方法

「起業・開業時には、どれくらいのお金が必要?」
「自己資金では足りない場合、どんな資金調達方法がある?」

起業・開業をしたいと思っても、お金のことが心配でなかなか踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。

資金調達にはさまざまな方法があり、その中から自分の会社に合ったものを選ぶことが事業成功の鍵となります。この記事では、起業・開業時の資金調達方法についてメリット・デメリットを踏まえてご説明します。

起業・開業時に必要な資金とは?

日本政策金融公庫の「2021年度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均値は941万円でした。具体的には、どのようなことに資金が必要になるのかをご説明します。

出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2021年度新規開業実態調査

・登記費用

法人を設立する場合、法人の登記をする必要があります。登記にかかる費用は、株式会社の場合は資本金の金額にもよりますが25万円~、合同会社の場合は6万円~程度です。

・店舗・オフィスを構える費用

起業・開業時には、店舗・オフィスを構える費用が発生します。例えば、賃貸物件を借りる場合には、家賃だけではなく敷金・礼金が必要です。立地条件によって、かかる費用は大きく変わります。

・備品購入費用

起業・開業で必要な備品の購入が必要です。オフィスの場合、パソコン・デスク・コピー機や複合機・電話・文房具などが挙げられます。会社の規模にもよりますが、備品代を揃えるだけでも数百万円の費用がかかることは理解しておきましょう。

・広告宣伝費

起業・開業当初は、会社の名前を周知する必要があります。そのため、ホームページ制作や広告を出したり、チラシの作成をしたりするための費用が必要です。

・運転資金

企業経営のために必要な資金を、運転資金といいます。商品を仕入れて実際に販売し、資金回収するまでには数か月の立替期間が発生します。この期間は売上が発生して黒字でも、手元には現金が入ってきていない状態なので資金繰りが悪化してしまうものです。黒字なのに資金繰りが厳しいという状態を防ぐためには、余裕を持った運転資金を準備しておく必要があります。

・人件費

起業・開業時から人を雇う場合には、人件費も必要です。万が一、利益が出ていない状態でもお給料が支払えるように、数か月分は用意しておくと良いでしょう。

・資本金

法人を設立する場合、資本金が必要です。株式会社の資本金は1円以上でも良いことになっていますが、現実的には300万円程度用意するケースが多いです。総務省・経済産業省による「平成28年経済センサス・活動調査 調査結果」によると、資本金額300万円以上500万円未満の法人がボリュームゾーンで全体の約34.7%でした。

出典:経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査 調査の結果

起業・開業したばかりの法人にとって、資本金の大きさは会社の信用にもつながります。極端に資本金が少ないと、取引先から「安心して取引ができない」と懸念される恐れがありますので注意しましょう。また、金融機関からの融資も受けにくくなる可能性があります。

資本金は自分で用意するのが基本です。起業・開業を考えているのであれば、資本金もコツコツ貯めて準備しておきましょう。

起業・開業時の資金調達方法とは?

起業・開業時の資金調達は、下記のような資金調達方法が挙げられます。

出資

自己資金、ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家など

融資

日本政策金融公庫、制度融資、民間の銀行や信用金庫など

助成金・補助金

創業助成金や小規模事業者持続化補助金など

それぞれの資金調達方法にメリット・デメリットがあり、誰もが全ての資金調達方法を使えるわけではありません。次で詳しくご説明しているので、参考にしてください。

起業・開業時の資金調達方法13選

ここでは、起業・開業時の資金調達方法について、特徴とメリット・デメリットを説明します。

1.自己資金の利用

自己資金は、自分で起業・開業に必要な資金を準備することです。基本的には自己資金を用意した上で、その他の資金調達方法を活用します。なお【自己資本=資本金】となります。

自己資金は、返済の必要がないのが大きなメリットといえるでしょう。金融機関からの融資のように金利を支払う必要もありません。また、資本金の金額割合は経営権にも影響を及ぼすので、自己資金の割合が多いほど自由な経営ができるのもメリットです。

例えば、起業家一人で資本金を用意して一人株主となれば、自分が理想とする経営ができます。

デメリットは、起業・開業前に自分でコツコツ貯める必要があることです。

例えば、会社員が起業・開業を目指す場合、法人設立のために節約を余儀なくされることもあるでしょう。そのため、結婚や子育てといったライフイベントに影響を与える可能性があります。また、経営不振で会社を清算する必要がある場合には、頑張って貯めた自己資金を全て失うことも理解しておきましょう。

2.ベンチャーキャピタルの出資

ベンチャーキャピタルとは、未上場のベンチャー企業に出資して株式を保有する企業のことで、出資する企業の価値を高めて株式を売却し、利益を得ることを目的にしています。ベンチャーキャピタルは出資であり融資ではないので、資金を返済する必要はありません。多くの場合、上場やM&Aを目的としているので、起業・開業直後でベンチャーキャピタルからの出資を受けることは少ないです。しかし、経営陣に上場の意思があり、先進的な技術を持つ会社であれば、起業初期で規模が小さい会社でも出資してもらえる可能性があります。

ベンチャーキャピタルの出資を受けるメリットは、経験豊富なベンチャーキャピタルの担当者から経営アドバイスを受けられることです。上場するためには、会計基準を上場企業に合わせたり、コーポレートガバナンスの対応をしたり、起業のブランディングをしたりなど通常の業務にプラスしてやることがたくさんあるので頼りになるでしょう。また、ベンチャーキャピタルの持つネットワークから、顧客やビジネスパートナーなどを紹介してもらえる可能性もあります。

さらに、出資を受けることで自己資本比率が高まるので、財務状況も良くなります。融資を受けると貸借対照表上の負債の部分が膨らみますが、ベンチャーキャピタルの出資は資本の部が膨らむからです。金融機関は、債務状況を確認する際には自己資本比率を意識するので、金融機関からの評価も上がるでしょう。

しかし、ベンチャーキャピタルの出資額が多いと、経営権を握られることになります。そうなると、起業家が望むような経営ができなくなる可能性がある点はデメリットといえるでしょう。

3.エンジェル投資家からの出資

エンジェル投資家とは、個人の資産家のことです。元経営者などがエンジェル投資家となり、将来有望な企業や応援したい企業に個人の資産から出資します。エンジェル投資家もベンチャーキャピタル同様に、出資先の企業の価値を上げて株式を売却することで利益を得るのが目的です。

エンジェル投資家からの出資を受けるメリットは、ベンチャーキャピタルより早く資金調達ができることです。ベンチャーキャピタルの場合、出資に前向きでも社内の調整などに時間がかかる可能性があります。しかし、エンジェル投資家の場合は個人の意思で決められるので、「応援したい」と感じてもらえればすぐに出資をしてもらうことも可能です。

また、経営についてのアドバイスを受けられることもメリットです。特に敏腕経営者にエンジェル投資家になってもらえれば、経営知識のない起業家が学びながら道を切り開いていけるでしょう。また、人脈が多いエンジェル投資家ならば、顧客の紹介やビジネスパートナーの紹介にも期待できます。

ただし、出資比率が高くなれば経営権を握られることになります。こちらもベンチャーキャピタルの出資同様、起業家が求める経営ができなくなる恐れがある点がデメリットです。元経営者の場合、経営にかなり介入してくる人もいるようです。そのため、人柄が良く尊敬できる人を選ぶといいでしょう。

起業・開業したばかりの場合、エンジェル投資家に話を聞いてもらいたくても、実績や信用がないと話すら聞いてもらえないということもあるかもしれません。エンジェル投資家に興味を持ってもらえるようなアプローチを考えましょう。

4.購入型クラウドファンディングの活用

購入型クラウドファンディングとは、起業家の目標や夢などを掲げ、インターネット上で個人から少額ずつ出資金を集める資金調達のことです。クラウドファンディングには種類がありますが、購入型クラウドファンディングは出資してもらった金額の返済義務がありません。支援してもらった人には、市場に出回っていないサービスや商品など、金銭以外の特典を付与します。

購入型クラウドファンディングは、起業家がすでに知名度があり、将来のビジョンに賛同してもらいやすい場合には資金を集めやすいです。また、複数のクラウドファンディングサイトがあるので気軽に利用できるのもメリットです。利用にあたってのリスクも少なく、上手くブランディングを行えば、起業・開業当初でも全国からのファンを集めることもできるでしょう。

ただし、人の心を動かすようなストーリーや大きなビジョンがない場合には、資金を集めるのは難しいです。SNSの利用などに慣れていない場合は、ハードルが高いと感じるかもしれません。労力をかけたものの、思ったように資金が集まらないという可能性もあり得ます。

5.日本政策金融公庫の利用

起業・開業したての会社は、実績がなく信用力が低いとされてしまうため、融資を受けるのは難しいです。しかし、政府が100%出資している銀行である日本政策金融公庫では、民間の銀行などから融資を受けにくいとされている、起業・開業する人でも利用できる融資制度が整っています。

新創業融資制度

「新創業融資制度」は、運転資金または設備投資に利用でき、融資の上限金額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。令和4年2月1日現在、新創業融資制度の金利は0.96~2.85%と低金利で融資を受けられます。また、原則保証人・担保の差し入れの必要がないのもポイントです。代表者が連帯保証人になることで利率を0.1%低減させることもできます。

この制度を利用できる人は、新たに事業を始める方または、事業開始後税務申告を2期終えていない方です。それに加えて自己資金の要件を満たす必要があり、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上自己資金の用意をしなくてはいけません。つまり、自己資金が30万円ならば300万円の融資が上限となります。

しかし、会社員として勤めていた企業と同じ業種の事業を始める方や、産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業による支援を受けて事業を始める方は、自己資金の要件を満たすものとします。

新創業融資制度を利用するメリットは、信用力が低い状態でも無担保・無保証かつ低金利で融資を受けられる点です。例えば、無担保でビジネスローンを利用しようと思うと、融資金額によっては15%以上の金利になることもあります。その点、1~2%台の金利で融資を受けられる新創業融資制度が利用できれば、低金利で資金調達ができてコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。また、新規で民間の金融機関や信用金庫で融資を受ける場合、審査から融資実行までに1か月以上かかることもありますが、新創業融資制度は2~3週間で結果が出るのもメリットといえます。

しかし、新創業融資制度を利用するためには「創業計画書」の準備が必要です。創業計画書に信憑性がない場合には審査に落ちてしまう可能性があるので、公庫から評価されるように工夫して作成する必要があるといえるでしょう。

出典:日本政策金融公庫「新創業融資制度

女性、若者/シニア起業家支援資金

日本政策金融公庫の起業・開業資金の融資には、「女性、若者/シニア起業家支援資金」もあります。この資金は、女性か、35歳未満か、55歳以上の男性で新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方が利用できます。設備資金は7,200万円が限度額で、返済期間が20年以内(据置期間2年以内)と長く設定されています。運転資金は4,800万円が限度額で、返済期間は7年以内(据置期間2年以内)です。

「新創業融資制度」より限度額が大きく設定されており、資本金の条件などもありません。そのため、起業・開業時にできるだけたくさんの資金を調達したい方で、条件に合う場合には「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用した方が良いかもしれません。

出典:日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金

6.マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)とは、日本政策金融公庫の融資制度の一つです。マル経融資は、商工会議所や商工会から経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が対象の融資制度で、利用にあたって商工会議所会頭、商工会会長などの推薦が必要です。融資限度額2,000万円を無担保・無保証で利用できます。返済期限は運転資金が7年、設備資金が10年(それぞれ据置期間1年を含む)です。

マル経融資は、令和4年2月1日現在で利率1.21%と低い傾向です。起業・開業間もない企業が、このような利率を無担保・無保証で利用できるのは大きなメリットといえるでしょう。

マル経融資のデメリットは、商工会議所や商工会の指導を6か月以上受ける必要があるので、起業・開業直後は利用できない点です。起業・開業してすぐに必要な資金は他の資金調達方法を利用しましょう。

出典:日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

7.制度融資の活用

制度融資とは、自治体・民間の金融機関・信用保証協会が連携して融資を行う制度のことです。民間の金融機関としては、融資会社が倒産するなどして貸し倒れすると、大きな損失を被ることになります。そのため、信用力が低い起業・開業したての企業は、民間の金融機関からの融資が受けにくくなります。しかし信用保証協会の保証を付けると、債務者が返済できなくなった場合に保証を受けられるので、金融機関としても融資がしやすくなります(※一般保証は責任共有制度で保証協会の保証は80%ですが、創業者の場合は100%保証)。

制度融資の内容は、各地方自治体によって異なります。保証協会の保証を利用するためには、債務者が保証料を負担する必要がありますが、各自治体が利子補給をするなどして債務者の負担を軽減する役割を果たしています。

制度融資にはさまざまな種類がありますが、ここでは東京都の中小企業制度融資『創業』について説明します。

東京都中小企業制度融資『創業』は、東京都、東京信用保証協会、民間の金融機関で協調して融資を行う制度です。

利用対象者は下記のとおりです。

  • 創業する前の個人で、具体的な計画を有している
  • 創業した日から5年経っていない中小企業者など
  • 分社化しようとする会社または分社化により設立された日から5年経っていない会社

 

ただし、区市町村の認定特定創業支援等事業による支援あるいは商工団体等による創業支援を受け、その証明を受けられる場合には融資利率が0.4%優遇されます。

融資上限は3,500万円(これから創業する方は、自己資金に2,000万円を加えた額の範囲内)で、返済期限は設備資金10年以内、運転資金7年以内です(それぞれ据置期間は1年以内)。

出典:東京都産業労働局 東京都創業NET「東京都中小企業制度融資『創業』

制度融資を利用するメリットは、民間の金融機関では難しくても保証を付けることで融資を受けやすくなることです。無担保・無保証で借入できるので、起業・開業間もない企業にとっては利用しやすい制度といえるでしょう。

一方、制度融資を利用するデメリットは金利に合わせて保証料の支払いが必要になることです。

8.民間金融機関の融資

民間の金融機関が、信用保証協会などの融資制度を使わずに融資することをプロパー融資といいます。プロパー融資は、債務者が業績不振などによって、融資した金額を返せなくなった場合に、金融機関が損失を被ることになります。そのため、金融機関としては損失を防ぐために慎重な審査を行います。このような事情もあり、起業・開業間もない企業が、民間の金融機関からプロパー融資を受けるのは難しいです。

起業・開業資金を民間の金融機関で借りるメリットは、企業の成長に寄り添ったサポートを長期的にしてもらえることです。メインバンクになってもらえれば、融資だけではなく、決済効率化や金融商品の運用、海外送金、ビジネスマッチングなどさまざまな面から経営に関するアドバイスをもらうことができるでしょう。また、経営状況が悪くならない限りは経営に対する介入がない点もメリットです。

しかし、プロパーの起業・開業融資で民間の金融機関を利用できるケースは少ないです。多くの場合、まずは保証協会の保証付けの融資を求められるでしょう。最初は保証協会の保証付け融資で借入と返済実績を作り、金融機関との信頼関係ができてきたらプロパー融資のお誘いが来るようになります。

また、金融機関に融資をしてもらう場合、3か月ごとに決算状況の開示が必要です。そして業績が悪くなると、何が原因かなど追及されるのもデメリットになります。金融機関からの評価も気にした運営をしていく必要です。

9.信用金庫での融資

信用金庫は、民間金融機関の中でもより地域に密着した金融機関です。一般的な金融機関とは異なり、定められた条件に当てはまる組合員しか、預金や融資の利用はできません。条件としては、従業員人数300人以下、または資本金9億円以下、信用金庫の地区内に事業所があるものが組合員になることができます。

信用金庫で起業・開業資金を借りるメリットは、融資での付き合いだけではなく、地域の情報を得られることでしょう。地域の企業と協業して良い効果が生まれれば、業績も向上する可能性があります。

ただし、信用金庫の融資も基本的には保証協会の保証付きを求められることがほとんどです。起業・開業間もない企業がプロパー融資で大きな金額を借りられる可能性は低いと思っておきましょう。信用保証協会の保証付け融資での実績ができて信頼関係ができたら、プロパーでの融資が受けられるようになります。

10.融資型クラウドファンディングの実施

融資型クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の個人にプロジェクトに対する融資を募り、1万円~少額での融資を集める資金調達方法です。購入型のクラウドファンディングとは異なり、融資してもらった資金は利子を付けて返済する必要があります。

融資型クラウドファンディングを利用するメリットは、金融機関からは融資が難しいと判断されても資金調達できる可能性があることです。銀行は融資に対して慎重なので、足元の業績や将来性に不安があると融資をしてくれません。しかし融資型クラウドファンディングの場合は、将来性がある画期的な事業だと判断されれば足元は赤字でも審査に通り、応援が集まる可能性があります。

また、融資型のクラウドファンディングでは、融資を募るために事業PRをします。インターネット上に情報を共有できるので、起業・開業間もない時期から全国にファンを増やせるのもメリットです。

ただし、利用にあたりクラウドファンディングの運営会社による審査があるので、必ず利用できるわけではありません。もし審査に通ったとしても融資実行までは1~2か月かかるので、時間の余裕が必要といえるでしょう。また、融資型クラウドファンディングの利子は年利5%~10%程度で、金融機関からの融資に比べると高めの傾向にあります。

11.家族や友人からの借入

出資や融資が受けられないという場合には、家族や友人から借り入れることを考えてみても良いでしょう。ただし、身内や友人であってもしっかり契約書などを作成して借入するのがおすすめです。

家族や友人に資金の余裕があり、信頼関係が構築されていれば厳しい審査はなしで、すぐに資金調達ができるのがメリットです。また、家族や友人からの借入であれば事業計画や経営などに指図もされないでしょう。

しかし、返済できなかった場合にはトラブルに発展する可能性があります。大切な家族・友人から信頼を失う可能性もあるので、そのことも意識しながら健全な経営をして、返済できるようになったらすぐに返しましょう。

12.創業助成金の活用

助成金とは、国や自治体が進めている政策と合った活動をしている企業に対して支給されるもので、国や自治体がその活動に対して交付するお金を負担します。

例えば、東京都の「創業助成金」は、従業員人件費、賃借料、広告費など、創業初期に必要な経費を助成率3分の2まで支給してくれます。上限額300万円で下限額100万円です。創業5年以内の事業者、または開業を予定している方が利用対象者です。

創業助成金は、融資と異なり返済不要で最高300万円を手に入れられる可能性がある点が大きなメリットです。

しかし、採択者が少ないのがデメリットです。令和2年の東京都創業助成金の申請者は1,037件ですが、実際に採択されたのは156件でした。苦労して書類の準備などをしたのにも関わらず採用されないとがっかりしてしまうかもしれません。また、助成金は原則後払いで、審査に通ったからといってすぐに手に入るわけではない点も注意しましょう。さらに、助成金が交付されたから終わりというわけにはいかず、5年間は事務局に事業状況の報告が必要です。

デメリットはあるものの、起業・開業して間もない企業が返済の必要なく資金調達できるチャンスなので、活用してみてはいかがでしょうか。

13.小規模事業者持続化補助金の利用

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上をサポートする資金です。商工会議所または商工会のサポートを受けながら経営計画書、補助事業計画書を作成し、審査を経て採択された場合に支給されます。

小規模事業者持続化補助金の対象者は、常時使用する従業員が20人(商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は5人)以下の法人、または個人事業主です。チラシ作成、ウェブサイト作成、商談会への参加、店舗改装などの費用に対して、単独申請の場合は上限50万円、3分の2の補助率が支給されます。

小規模事業者持続化補助金は、取り組みへの使い道が幅広いので起業・開業間もない企業にとっても使いやすいでしょう。ただし、上限が50万円と少ない点はデメリットといえるかもしれません。

出典:経済産業省「持続化補助金とは

起業・開業時に資金調達をする際の注意点

ここでは、起業・開業時に資金調達をする際の注意点についてご紹介します。

・対外的な信用を得るために自己資金の準備をしておく

起業・開業時には、自己資金をきちんと用意しておく必要があります。自己資金が少ないと、外部から資金調達をしようとしても、簡単に調達できない可能性が高いからです。

信用力がない起業・開業間もない企業の信用力を図る手段は、資本金の金額です。資本金が高ければ「起業するために努力してお金を貯められる起業家なんだ」という好印象を与えることができるでしょう。その結果、金融機関の融資を受けやすかったり、融資金額を多めに設定できたりするかもしれません。また、業績が悪化しても自己資金が厚めに用意されていれば、そこから賄うことも可能です。

・数か月分の運転資金を確保する

起業・開業後は業績が安定しない可能性が高いです。そのため、数か月分の運転資金も確保が必要といえるでしょう。資金繰りが悪化すると支払いができずに倒産を余儀なくされる可能性もありますので、資金繰りには余裕を持たせた方が良いです。

しかし、金融機関は有利子負債が多く、自己資本比率が悪くなると財務状況が悪い会社として融資に積極的な姿勢ではなくなってしまうので、バランスを考えながら資金調達計画をすることが大切といえます。

・創業計画書を丁寧に作成する

金融機関から資金調達をする場合には、必ず創業計画書の作成が必要になります。創業計画書には、業績予測などを書きます。この創業計画書を適当に書いてしまうと、融資の可能性が低くなるでしょう。そのため「なぜその業績が予想されるのか」「どんな風に販路を広げる予定なのか」「どんな製品を開発する予定なのか」など、なるべく詳しく具体的な数字に落とし込んで書いた方が良いです。具体的に書かれていた方が、金融機関としても再現性がありそうだと評価してくれるでしょう。

・助成金・補助金は後払い

助成金や補助金は融資のように返済の必要がない点がメリットですが、採択されてすぐに資金が手に入るわけではありません。助成金や補助金ありきで備品などを購入する場合でも、一旦は自分で支払いなどを行う必要があるので注意しましょう。

業種ごとの必要開業資金目安

一言で開業資金といっても、必要になる費用は業種により異なります。

例えば、飲食店を開業する場合、店舗を借りる必要があります。好立地の場所に借りるのであれば家賃・敷金・礼金の費用がかさむでしょう。また、冷蔵庫、テーブル、お皿やグラス、インテリアなどの用意が必要です。さらに、従業員を雇うのであれば、人件費の用意も必要でしょう。飲食店の規模や場所にもよりますが、1,000万円ほど用意しておく必要があるといえます。

小売業も飲食店と同じく店舗を借りる費用がかさみます。商品陳列用の棚やレジといった備品まで用意すると、トータルで1,000万円ほどの資金が必要です。

IT系の業種は、リモートワークでできるのであればオフィスを借りる必要はありません。在庫もないので、開業初期に用意するのはパソコンと複合機などです。そのため、自宅をオフィスとして利用するのであれば、開業資金として必要になる金額は、100万円~300万円程度で十分でしょう。

まとめ

起業・開業時の資金調達方法には、出資や融資、助成金/補助金があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご自身の会社に合った資金調達方法を選ぶことが大切です。

しかし「どの資金調達方法が自分の会社に合うか分からない」「創業計画書の作成を自分でできるか不安」という方もいらっしゃるでしょう。このような場合には、資金調達に精通したコンサルタントに相談して、資金調達方法を決めるのがおすすめです。

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