資金調達

銀行融資を受ける際の必要書類について徹底解説

銀行融資を受ける際には、色々な書類が必要です。法人と個人事業主でも必要書類が異なるほか、既に取引のある銀行に申し込むか、取引をしたことのない銀行に申し込むかによっても、必要書類の考え方が大きく異なります。本稿では、銀行融資の必要書類について徹底解説します。

法人が銀行融資を受ける際に必要な書類

法人は、主に銀行融資によって資金を調達します。スムーズに銀行融資を受けるためには必要書類の準備が重要です。必要書類の意図を正しく理解し、審査に有利になることを意識することによって、銀行融資を受けやすくなります。
法人が銀行融資を受ける際の必要書類は、主に以下の12点です。

1.決算書(損益計算書・貸借対照表など)

必要書類のうち、銀行融資で最も重要となるのは決算書です。決算書は、1年間の事業の結果をまとめた資料です。これによって業績と財務がわかり、延いては返済力も把握できるため、銀行融資の審査に欠かせない書類といえます。

決算書は融資を受けている銀行には決算ごとに提出をするのが普通です。仮に要求されなかったとしても、銀行融資を申し込む際に必ず提出します。決算報告書だけではなく、別表や勘定科目内訳書なども必要です。

2.月次試算表

決算書が毎期の事業結果をまとめているのに対し、月次試算表は毎月の事業結果をまとめたものになります。これによって、期中の損益を把握できます。

銀行融資の際に必ず求められるとは限りませんが、決算月の直後に銀行融資を申し込んだ場合などは、銀行は決算書によって経営を分析できるため、試算表は要求されないことも多いです。

試算表が必要書類になるかどうかの目安は、「銀行融資の申し込みが、決算月から3ヶ月以上経過しているかどうか」です。3ヶ月以上経過している場合には、試算表も準備した上で申し込みましょう。

もっとも、申し込みのタイミングに限らず試算表を毎月作成し、自主的に提出しておくのが理想的です。これにより、銀行員と顔を合わせる機会を増やすことができ、銀行融資に有利になることも多いです。

3.予測貸借対照表

予測貸借対照表は、次回の決算の貸借対照表を予測する資料です。銀行融資の必須書類ではありませんが、場合によっては求められることがあります。また、要求されない場合にも自社から積極的に作成・提出することが好ましい書類になります。

予測貸借対照表から、将来的な財務内容の予測が分かります。これによって、次回決算の時点で債務超過の危険が低いことが分かれば、銀行は融資を前向きに考えることができます。

また、売掛金や棚卸資産、買掛金などが安定して推移しているならば、予測であるとはいえ、融資した際には堅実な経営と着実な返済が期待できます。

このように、予測貸借対照表は、融資実行を後押しする材料として役立つ資料です。

4.資金使途資料

銀行融資の際、銀行は資金使途を重視します。「決算内容の次に重要なのは資金使途」と考える専門家も少なくありません。したがって、資金使途資料も必要書類のひとつとなります。

資金使途資料は、借入金の使い道を説明するもので、資金使途の名目は、運転資金、設備資金、つなぎ資金、納税資金、賞与資金、赤字補填資金など様々です。資金使途に応じて、資金需要を証明するための資料(設備資金ならば導入設備の見積書など)が必要となります。

銀行は、借入金が効率的に使われ、利益につながり、問題なく返済されることを期待しています。資金使途が好ましくない場合、利益につながらず、返済力が低下する可能性もあるため、銀行は融資を渋ります。

資金使途資料によって、銀行の姿勢が大きく変わってくるため、念入りに作成してください。

5.資金繰り表

資金繰り表は、月次の資金繰り予定を見るためのものです。資金繰り表によって将来的な資金不足を把握し、その対処として銀行融資を依頼するならば、借入れと返済も織り込んで資金繰り表を作成する必要があります。つまり、資金繰り表は「資金繰り計画」であると同時に、「返済計画」でもあるのです。

したがって銀行融資の際に、資金繰り表を必要書類とする銀行も多いです。一般的には、半年~1年先までの月次資金繰り表が要求されます。

健全な資金繰りのためには、普段から資金繰り表を作成することが重要です。資金繰り管理が適切な会社であれば、普段から作成しているものを提出すれば問題ありません。

しかし、実際には資金繰り表を作成していない会社も多くあります。その場合には、銀行融資を申し込む前に必ず準備しておきましょう。

6.経営計画書

必要書類の中でも、経営計画書はさほど重要ではないとする考え方があります。実際、銀行融資の際に要求されないことも多いです。

しかし、銀行から要求されなかったとしても、経営計画書はできるだけ提出したいものです。特に、経営が悪化している会社では、決算書などの必要書類が悪材料となるため、経営計画書によって悪材料をカバーするべきでしょう。

経営計画書には5~10年後の損益計画と、計画実現の方策をまとめます。実現性の低い経営計画では意味がありませんが、実現性のある経営計画ならば好材料となります。

7.商業登記簿謄本

商業登記簿謄本も、銀行融資の必要書類です。既に取引のある銀行であれば、毎回要求されることはありません。

しかし、前回の融資から今回の融資までに、会社の登記情報(会社名や本店所在地、役員など)に変更があれば必ず提出します。

商業登記簿謄本は、本店所在地の法務局で取得できます。法務局に出向いて窓口申請するほか、郵送やオンラインなどでの申請も可能です。

8.銀行取引一覧表

銀行取引一覧表とは、自社が取引している銀行の情報(取引状況)をまとめた資料です。銀行取引明細書とも呼ばれます。複数行取引をしている場合、銀行取引一覧表も必要書類となります。銀行取引一覧表に記載する内容は、

  • 銀行名
  • 借入金の内容(借入金額、短期・長期など借入金の種類)
  • 預金残高
  • 預金率

などです。これを銀行ごとに整理して一覧表とします。

9.納税証明書

納税証明書も必要書類です。
銀行は、税金が未納状態の会社に融資することを非常に嫌います。税金さえまともに支払えない会社には返済能力が期待できず、貸し倒れリスクが高いと判断するためです。

納税証明書は、未納分がある限り発行してもらえないため、銀行は納税証明書の提出によって税金の納付状況を把握します。

未納分がある場合には完納し、納税証明書を発行してもらうことが銀行融資の必須条件となります。

10.借入申込書

借入申込書は、借入れを申し込むための書類です。銀行ごとに書式が異なるため、融資を依頼する銀行から取得する必要があります。

11.印鑑登録証明書

いわゆる「印鑑証明」です。銀行融資では金銭貸借契約書を結びます。契約時には会社の実印(代表者印)が必要となり、その実印が本物であることを証明するためにも印鑑登録証明書を要求されます。
印鑑登録証明書は、本店所在地の法務局に申請し、取得します。

12.その他の書類

その他の必要書類に、会社案内や株主名簿などが考えられます。これらの書類は必須ではありませんが、ケースバイケースで提出したほうが好ましい場合があります。

後述の通り、初めて融資を申し入れる際には、銀行への説明資料として会社案内や製品パンフレットなどを提出します。

既に取引している銀行には色々な資料を提出しているでしょうが、資料の情報に変更があれば提出しておくのが無難でしょう。

また、提出したことがない資料を、改めて提出するのも効果的です。
これまでの付き合いの中で、銀行の担当者は自社のことをある程度理解しています。付き合いが長ければ、支店長とも面識があるはずです。

しかし、融資額が大きい場合などには本部で審査されますので本部の審査担当者が自社のことを把握している可能性は低くなります。本部審査に備えるために、会社案内資料を充実させるのが効果的です。

個人事業主が銀行融資を受ける際に必要な書類

個人事業主が銀行融資を受ける際にも、銀行から色々な書類を求められます。必要書類の基本的な考え方は法人と大差ないため、簡単にみていきましょう。

1.確定申告書

個人事業主は、毎年確定申告書を作成します。これは、法人の決算書に相当する書類ですから、銀行融資の際に最も重要な書類となります。

基本的に、個人事業主は法人よりも業容が小さく、業績や財務も不安定です。したがって、銀行は確定申告書の損益計算書と貸借対照表によって、収益性や財務安定性を厳しく審査します。基本的には、法人の決算書と同じように考えて構いません。

2.予測貸借対照表

個人事業主でも、予測貸借対照表は作っておいて損はありません。必要書類として要求されることは少ないですが、確定申告書の補完資料として役立ちます。

3.月次試算表

法人と同様、確定申告から3ヶ月以上経過している個人事業主は、月次試算表を要求される可能性が高いです。

4.資金繰り表

個人事業主の場合、法人以上に資金繰り表を作成していないケースが多いです。小ぢんまりと営業している個人事業主ならば、資金繰り表がなくとも成り立つことが多いため、法人ほど資金繰り表が重要ではありません。

銀行融資の際、個人事業主は資金繰り表を求められないことがあります。しかし、業種や業容によりけりですから、必要書類のひとつと考えておいた方が無難です。

5.事業計画書

資金繰り表と同じように、事業計画書を作っている個人事業主も少ないでしょう。銀行融資の際にも、特に要求されないことが多いのも事実です。

しかし、確定申告書などの必要書類に問題がある個人事業主は、事業計画書が役立つ可能性があります。法人のように明確なビジョンや戦略がなく、長期的な計画の策定も難しいかもしれませんが、

  • 事業内容
  • 将来の売上・利益予測
  • 資金繰り計画

などをまとめるだけでも、銀行に好印象を与えることができます。

6.銀行取引一覧表

個人事業主の銀行融資も、銀行取引一覧表が要求されます。法人と同じように、各銀行との取引状況を全てまとめましょう。

7.借入申込書

個人事業主・法人に限らず、銀行融資を申し込む際には借入申込書を提出します。

8.印鑑登録証明書

契約書を交わす際、個人事業主も実印が必要です。個人事業主は法人ではないため、法人の実印ではなく個人事業主本人の実印を用います。

したがって、銀行に提出する印鑑登録証明書も個人のものです。個人の印鑑登録証明書は、法務局ではなく区役所などで取得します。

9.その他の書類

その他の必要書類も、個人事業主はあまり考えなくて良いでしょう。法人のように、会社案内や製品パンフレット、株主名簿などがあるわけではありません。
その他の書類は、銀行からの要求に応じて準備すると考えておきましょう。

初めて取引をする銀行で融資を受ける際に必要な書類

上記で解説した必要書類は、既に取引のある銀行に融資を申し込む場合のものです。

  • 創業時に日本政策金融公庫から融資を受けた。創業期を脱して経営も安定したため、いよいよ民間金融機関から初めての融資を受けたい
  • 現在、一行取引の状態である。資金繰りの安定のためにも、二行目の銀行と取引を始めたい
  • 既に複数行取引をしているが、さらに取引銀行を増やしたい
  • これまで、信用金庫と地方銀行から融資を受けてきた。年商が10億円を超えたので、メガバンクとも取引を始めたい

というように、初めて融資を申し込む場合には注意が必要です。書類自体は大差がないものの、各書類の重要性や位置づけ、銀行員の見方などが大きく異なります。

1.自社の説明資料

新規に融資を申し込む銀行には、自社の説明資料を提出する必要があります。例えば、会社案内、製品パンフレット、製品の現物、自社ホームページなどです。

銀行が自社を訪問し、新規融資を提案してきたのであれば、銀行も自社のことをある程度把握している可能性も高く、訪問を受けた際にカタログなどを渡したり、現場を見せたりすることもできます。

しかし、自社から飛び込みで融資を申し入れる場合には、自社の説明資料は必ず持参しなければなりません。というのも、新規に融資を申し込む銀行は自社の情報を全く把握していないのです。

そのため、自社の方から説明努力をしなければ、自己紹介せずに「お金を貸して」とお願いするようなもの。

銀行はリスクに敏感であり、全く知らない相手への融資を嫌うため、銀行は「とりあえず貸さない」と判断するでしょう。

実際、新規融資の申し込みの際、自社の説明資料を持参しなければ門前払いされる可能性が高いです。

これは、個人事業主でも同じことです。ただし、個人事業主の場合には事業主本人の経歴をまとめたものを説明資料にするなど、個人事業主としての資料作りを工夫してください。

2.会社の商業登記簿謄本

商業登記簿謄本も必ず準備しましょう。
自社の説明資料は、事業内容などによって「どのような会社か」を知ってもらうものです。しかし、これだけでは自社の存在を証明することはできません。

銀行は、コンプライアンス違反を非常に嫌います。特に、反社会的勢力と関係することを嫌い、健全な会社であることを調べるために、正確な会社情報を求めます。それを証明するのが、会社の商業登記簿謄本です。

個人事業主の場合には、印鑑証明書を求められるのが一般的です。

3.過去3期分の決算書

初めて融資を申し込む際には、直近の決算書だけではなく、数期分の決算書を求められます。過去3期分を求められるケースが一般的です。

既に取引がある場合、毎年決算書を提出するため、銀行は自社の業績・財務の推移を把握しています。

しかし、初めて取引する場合には過去のデータが全くないため、少なくとも過去3期分を要求することで推移をみるのです。

「過去3期分」というのは、あくまでも目安に過ぎません。例えば、過去3期の推移が複雑であれば、より長期の推移によって把握する必要があります。

新規融資の場合、銀行は特に厳しく審査するものです。決算書から経営内容を把握するのはもちろんですが、「そもそも、この決算書に虚偽はないか?」ということにも敏感です。

例えば、法人税確定申告書の右下には、税理士の署名押印欄があります。この欄に顧問税理士等の署名押印がなければ、税理士が作った決算書であることを証明できません。

この場合、専門家の手で処理されていない決算書である、つまり「信憑性が乏しい決算書」と判断され、融資を受けられる可能性がほぼゼロになってしまいます。

また、過去数期分の決算書の税理士署名押印欄を見た時に、税理士が頻繁に変わっている場合にも注意が必要です。

税理士が頻繁に変わっている会社は、「粉飾決算に応じないから」といった理由で税理士を挿げ替えているケースが多いため、銀行は粉飾決算を疑います。

納得のいく説明ができなければ、審査に通らない可能性が高いです。税理士が変わっている理由など、決算書に対して特に説明が必要であれば、説明資料をつけることも重要です。

損益計算書や貸借対照表などについても、附属明細書を添えておくのが好ましいでしょう。

4.資金使途資料

新規取引を申し込む場合、資金使途が非常に重要です。

既に取引のある銀行でも資金使途は重要ですが、虚偽を疑われることはあまりありません。銀行は、自社の事業内容や資金繰り状況を把握しているため、いつものタイミングで、いつもと同程度の経常運転資金を申し込んだ場合には、銀行は資金使途を疑わないでしょう。

しかし、取引のない会社に新規融資をする場合には、資金使途を厳重にチェックする必要があります。見積書や資金繰り表などによって、資金使途の証明を心がけてください。

5.経営計画書

経営計画書も、提出するに越したことはありません。ただし、自社の説明資料や決算書に比べると重要性は低いです。
ある程度付き合いがあり、銀行員が自社の事業や経営の推移も知った上であれば、経営計画書がプラスに働くこともありますが、新規融資の場合にはこのような下地がないため、よほど説得力のある経営計画書でなければ、大きな効果は期待できません。

自社の事業説明や決算内容とうまく絡み合う経営計画書を作り、説得力を高めることを意識しましょう。

6.資金繰り表

資金繰り表は、これまで解説した内容とほぼ同じです。

初めて取引するため、銀行は自社の資金繰りがどのようになっているかを知りたいと考えています。ここで、資金繰り管理がしっかりできていることをアピールしたいもの。

また、資金繰り表には返済も織り込むため、銀行に対して返済計画を伝える意味もあります。返済力をアピールすることも心がけてください。

7.銀行取引一覧表

銀行取引一覧表も必要書類となります。
新規取引では、銀行取引一覧表が重視されます。新規取引の銀行は、自社が他行とどのような取引をしているのかを全く知りません。

「他行の支援状況」、つまり「この会社は、他行とどの程度信用されており、どのような取引をしているのか」が分かれば、有力な判断材料となります。

8.借入申込書

借入申込書も必要書類です。これは、すでに解説した内容と同じであるため割愛します。

まとめ

本稿では、銀行融資の必要書類を解説しました。
通常の銀行融資と、新規の銀行融資の必要書類は似ていますが、それぞれの書類が持つ意味や銀行の見方・考え方が大きく異なる点に注目してください。この違いを十分に理解していなければ、新規取引の際に苦労することが多くなります。

しかし、銀行融資の必要書類を理解したからといって、銀行融資に有利な書類を作ることは容易ではありません。そのため、資金調達に強いコンサルタントなどに依頼し、書類作成を協力してもらうのが最もスムーズです。
無料相談などもありますので、コンサルタントを活用してほしいと思います。

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