法人の資金調達には、ビジネスローンが役立つことが多いです。特に、銀行からの調達が難しいタイミングで役立ちます。
しかし、ビジネスローンは使い方次第で効果が全く変わり、逆効果になってしまうこともあります。そうならないためにも、本稿でビジネスローンの効果的な使い方を学んでいきましょう。
ビジネスローンの使いどころは?
法人がビジネスローンを活用する際に重要となるのが、効果的なタイミングを知り、正しく利用することです。例えば、
- 銀行から融資を受けられるのにビジネスローンを使う
- 他の資金調達方法が効果的であることに気付かずビジネスローンを使う
といった間違いを犯すと、ビジネスローンはむしろ逆効果になります。ご存じの通り、ビジネスローンは高金利であるため調達コストが高く、法人の資金繰りには負担も大きいのです。
法人がビジネスローンを活用すべきタイミングは、主に以下の二つ挙げることができます。
- 銀行から融資を断られたとき
- 銀行融資では間に合わないとき
銀行から融資を断られたとき
銀行から融資を断られた法人では、ビジネスローンが次善策になることが多いです。
銀行との融資交渉には時間がかかります。このため、全ての金融機関から融資を断られるまでに多くの時間を費やしているのが普通です。
この後、さらに多くの時間をかけて資金を調達することは現実的ではありません。したがって、資金調達方法の中でも特に素早く調達できる方法が優先されます。
ファクタリングや手形割引なども調達スピードに優れていますが、銀行融資からの流れを考えるとビジネスローンが使いやすいでしょう。融資審査に必要な書類が揃っており、申し込みから審査開始までスムーズに手続きが進むためです。
銀行融資では間に合わないとき
例外的に、銀行融資を受けられる法人がビジネスローンを活用するケースがあります。それは、突発的な資金需要が発生した時です。
この時、手元資金で埋め合わせることができるならば、そのようにすべきです。しかし、タイミングによっては手元資金だけで対応できないこともあるでしょう。
銀行融資を受けられる法人でも、スピーディに融資が実行されるとは限りません。スムーズに運んでも2週間程度はかかると考えておくのが妥当です。支払いが迫っている状況では、銀行の融資実行を待つだけの余裕がありません。
ビジネスローンは、最短即日での資金調達が可能です。銀行融資を受けられる法人ならば、業績や財務が健全であるため審査に通りやすく、スピーディな融資実行が期待できます。
銀行融資が間に合わないときにも、ビジネスローンが役立ちます。
法人がビジネスローンを活用する流れとは
上記で挙げた使いどころのうち、圧倒的に多いのは銀行から融資を断られたときでしょう。計画的な資金繰りを心がけている法人では、手元資金もある程度確保しているのが普通であり、突発的な資金需要にも対応できるものです。
銀行から融資を断られた法人がビジネスローンを活用するには、必ず守るべきポイントがいくつかあります。活用の流れを見ていきましょう。
1.銀行から融資を断られる
法人がビジネスローンを活用するのは、銀行からの資金調達が絶望的になったときです。一行から融資を断られただけではなく、
- 付き合いのある全ての銀行からプロパー融資を断られた
- 付き合いのある全ての銀行から信用保証協会の保証付融資を断られた
- 公的金融機関から融資を断られた
という状況です。サブバンクに断られ、メインバンクにも断られ、公的融資の道も閉ざされた後、初めてビジネスローンの活用を考えます。
よほど大きな問題が発生している、あるいは経営悪化が長期間続いているなどの場合を除き、この三段構えで銀行融資を引き出せる可能性は高いです。特に、
- 担保余力が残っている
- 信用保証協会の保証枠が残っている
- 日本政策金融公庫の利用がほとんどない
といった法人は、粘り強く取り組むべきです。
2.リスケジュールに踏み切る
銀行融資の道が全て閉ざされた法人がビジネスローンを活用する際、いきなりビジネスローンに申し込むのは誤りです。ビジネスローンを活用できる状況を作った後、ビジネスローンでの資金調達を図ります。
ただし、銀行融資を求めて時間を費やしており、資金繰りに余裕がなくなっていることも考えられるため、銀行融資が絶望的と判断したら早急に方針を切り替えてください。
ここで欠かせないのがリスケジュールです。リスケジュールとは、従来の返済計画では経営の継続が困難になった場合に、銀行に返済計画の見直しを求めることです。一般的には、一定期間にわたって元金の支払いをストップし、利息だけを支払う流れとなります。
キャッシュフローを改善
リスケジュールの最大のメリットは、キャッシュフローの改善です。
例えば、年間の返済負担が1,000万円、年間のキャッシュフローが500万円の法人では、常に500万円の資金が不足します。いずれ経営は破綻するでしょう。計画通りに返済を続け、なおかつ資金繰りを維持するには、キャッシュフローを500万円から1,000万円に増やす必要があります。そもそも経営困難な状況ですから、これは現実的なプランとはいえません。
では、リスケジュールによって元金支払いを据え置いた結果、年間の返済負担が100万円になったらどうでしょうか。キャッシュフローを増やすことなく、差し引き400万円の余裕資金を確保できます。リスケジュールによって、キャッシュフローが大幅に改善するのです。
確保した余裕資金を活用して、経営改善を進めることも可能です。
リスケジュールは絶対必要
ビジネスローン活用のために、リスケジュールは絶対に必要です。リスケジュールせずにビジネスローンで資金調達すると、経営はさらに悪化します。
リスケジュールしなければ、従来の計画に沿って返済しなければなりません。当然、お金は足りません。この不足資金をビジネスローンで調達するということは、
「低金利で借り入れた銀行への返済資金を、高金利のビジネスローンで調達している」
ということにほかなりません。
このような資金繰りをすると、ビジネスローンで調達した資金が全く活かせず、さらに大きな負担を負うだけです。本末転倒にならないためにも、「まずリスケジュール、後にビジネスローン」の流れを守ってください。
3.ビジネスローンで立て直し資金を調達
リスケジュール後、ビジネスローンで立て直し資金を調達します。
調達額の目安
ビジネスローンの中には、融資上限額を1,000万円以上に設定している業者も多いですが、多額の資金を調達できる可能性は低いです。
初めてビジネスローンを利用する場合の現実的な調達可能額は、一社当たり150万円、複数社で合計300万円程度です。
少額でも融資を受ける
複数のビジネスローンに申し込むと、借入可能額が大きい業者もあれば、小さい業者もあるでしょう。
借入可能額が小さい場合、必要額に遠く及ばないという理由で融資実行を断る経営者もいます。
しかし、それは間違いです。ビジネスローンは、一社当たりの借入可能額が少ないため、少額の融資を複数組み合わせて借入総額を増やす必要があるからです。
ビジネスローンを申し込んでいる段階では、すでに手元資金がほとんど残っていないことも多く、少しでも多くの立て直し資金を確保することが重要です。
また、初めてビジネスローンを利用する法人で融資可能額が少ないのは、返済実績がなく信用が乏しいからです。最初はそういうものと受け入れて少額でも借りておけば、返済実績をつけることによって融資額が増え、追加融資を受けられる可能性もあります。
4.他の資金調達方法と組み合わせる
ビジネスローンで立て直し資金調達に成功しても、それだけで満足するのは危険です。最初のうちは借入可能額が小さく、資金繰りが苦しい時期が続きます。ビジネスローンでの追加融資だけでは上手くいかない可能性も考えられるため、他の資金調達方法と組み合わせることが大切です。
リスケジュール中は銀行融資を受けられないため、ビジネスローンに加えてファクタリングや手形割引、リースバックなどで資金を調達するのがおすすめです。
リスケジュール中もビジネスは継続しているのですから、取引先と掛取引を行い、受取手形や売掛金が発生しているはずです。ファクタリングや手形割引を使えば、これらの売掛債権を早期資金化し、資金繰りを回すのに役立ちます。
もちろん、資金調達方法は色々あり、会社の状況や業種ごとの特性に応じて、効果的な方法は変わってくるでしょう。自社の資金繰りに適した方法をビジネスローンと組み合わせることが大切です。
まとめ
本稿では、法人がビジネスローンを活用するためのポイントや流れを解説しました。
特に重要なのが、利用の流れと計画性です。高金利のビジネスローンを無計画に利用すると、資金繰りの悪化につながります。そうならないためにも、リスケジュールなどの準備を進めた上でビジネスローンを活用すべきです。
リスケジュール交渉やリスケジュール後の資金繰りは、平常時の銀行交渉や資金繰りより難しいものです。自社だけではうまくいかない可能性が高いため、資金繰り専門のコンサルタントなど、専門家への依頼をおすすめします。
資金調達のプロがお客様の状況をヒアリングした上で適切なアドバイスを致します。
- ・初めて資金調達を行いたい
- ・銀行借入を成功させたい
- ・国の資金調達制度を使いたい
- ・助成金、補助金の申請をしたい
- ・早急に資金が必要
- ・資金繰りの改善をしたい