資金調達の際、ビジネスローンを使うべきか、あるいは他の方法で調達すべきか悩む人は多いことでしょう。ビジネスローンは、使い方次第で資金繰りへの影響が大きく変化するため、効果的なタイミングで上手に使うことが欠かせません。
そこで重要となるのが、他の資金調達との比較を通して、ビジネスローンが役立つタイミングを知ることです。本稿では、異なるジャンルの資金調達とビジネスローンを比較しながら、ビジネスローンの活用方法を解説します。
ビジネスローンの特徴
ビジネスローンからの資金調達は、中小企業の経営者にとってなじみ深い方法です。ビジネスローンの借入先はノンバンクであり、個人に貸し付ける消費者金融としてもよく知られています。
また、知名度の高さに加えて、利便性の高さに特徴があります。
ビジネスローンは金融機関に比べて審査が緩く、借入れのハードルが低いです。このため、銀行から融資を受けられない会社でも借りやすいのがメリットです。
さらに、資金調達スピードにも強みがあります。銀行から資金を調達する場合、早くても数週間、通常は1ヶ月程度の時間を要します。これに対し、ビジネスローンは最短即日で融資を受けることができ、1週間以内に資金を調達できることも多いです。
このように、知名度と利便性の高さから、数ある資金調達方法の中でもビジネスローンの優先順位が高くなる傾向があります。
一方、金利の高さや信用低下のリスクなど、デメリットも無視できません。
ビジネスローンを活用するには、他の資金調達方法との比較が重要です。そこで、異なるタイプの3つの資金調達方法とビジネスローンを比較していきます。
ビジネスローンと銀行融資の比較
まず、ビジネスローンと銀行融資の比較です。
銀行融資は、多額の資金を調達できる方法であり、経営に問題がなければ安定的に資金を調達できます。調達コストも安いため、資金調達の軸とすべき方法です。
もっとも、ビジネスローンと銀行融資のどちらを利用すべきか、同時に検討することは考えにくいです。常識的には、低金利の銀行融資を受けられる会社が、高金利のビジネスローンで借り入れることはありません。
あくまでも銀行から融資を断られた会社が、やむをえずビジネスローンを利用するのです。したがって、ビジネスローンと銀行融資を単純に比較すれば、銀行融資の方が間違いなく優れているといえます。
あくまでも銀行融資を優先
しかし実際には、銀行融資が使えるにもかかわらず、ビジネスローンから借り入れる経営者もいます。例えば、
- ビジネスローンのデメリットをあまり考えず、面倒な銀行融資よりもラクなビジネスローンを優先する
- 緊急の資金需要が発生したため、融資実行に時間がかかる銀行融資では間に合わず、やむを得ずビジネスローンから借り入れる
といったケースです。
健全な資金繰りのためには、資金調達コストを抑えることが肝要です。この認識が甘ければ1.のような利用につながり、無駄な調達コストが発生します。コスト意識の低さから、銀行の印象も悪くなります。
2.は、ビジネスローンの賢い使い方といえます。普段から計画的に資金繰りしていても、突発的な支出が発生することがあります。手元資金でカバーするのがベストですが、それができないこともあるでしょう。
この時、短期間の埋め合わせとして利用するならば、ビジネスローンの金利の高さはあまり問題になりません。すぐに返済するため、次回の銀行融資でビジネスローンの利用が問題視される可能性も低いでしょう。
使い分けのポイント
以上の比較により、
- 銀行から資金を調達できない場合に限り、ビジネスローンを検討する(銀行融資を受けられる限り、ビジネスローンを利用しない)
- 例外として突発的・緊急的な資金需要に対しては、ビジネスローンが役に立つ(ただし短期間で完済するべき)
といえます。
ビジネスローンとファクタリングの比較
次に、近年中小企業の資金調達方法として注目されているファクタリングと比較してみます。
ファクタリングは、支払い期日前の売掛金をファクタリング会社に売却し、早期資金化するものです。流動資産である売掛金を売却するのですから、借入れではありません。このため、利便性や調達コストなど、様々な点で銀行融資とは大きく異なります。
ほとんどの会社では掛取引を行っているため、常に売掛金を保有しているのが普通であり、いつでもファクタリングで資金を調達できます。このほか、
- 即日での資金調達が可能である
- 契約方式によっては第三者に一切知られずに利用できる
- 借入れではないため業績や財務に関係なく利用できる
などのメリットもあります。
ただし、調達コストには問題があります。ファクタリングは契約方法によって手数料が変わり、売掛金の額面金額に対して10~15%程度の手数料がかかることもあるのです。
使い分けのポイント
これらの特徴を踏まえて比較すると、「銀行融資を受けられる状況にあり、突発的な資金需要も発生していなければ、銀行融資を最優先する」ことを前提として、銀行融資を受けられない場合に限り、
- 売掛金の信用が高い、契約方式を柔軟に選べるなど、ファクタリング手数料を抑えられる場合にはファクタリングでの資金調達を優先する
- ファクタリングでの調達コストが高ければ、ビジネスローンの利用を優先する
- 資金需要が大きい場合には、ビジネスローンとファクタリングを併用して必要資金を調達する
といった使い分けを心がけてください。
手形割引も同じ
なお、売掛金を資金化するファクタリングとよく似た方法に、受取手形を資金化する手形割引があります。売掛金と受取手形はどちらも売掛債権であり性質も似ているため、ビジネスローンとファクタリングの比較は手形割引にも当てはまると考えてください。
ただし、今後手形取引は縮小していくと考えられるため、ファクタリングとの比較をベースに考えたほうが良いでしょう。
ビジネスローンとリースバックの比較
最後に、ビジネスローンとリースバックを比較します。
リースバックは、自社の資産をリース会社に売却して資金を調達しつつ、売却と同時にリース契約を結ぶ方法です。これにより、売却後も資産を手元に置いておくことができるため、事業に欠かせない資産を売却することも可能です。
また、一般的な資産売却のように、買い手と売り手のマッチングが難航し、資金調達に時間がかかる心配もありません。あらかじめ買い手がリース会社に決まっており、スムーズに売却できるからです。
業種にもよりますが、中小企業の資金調達にはリースバックが役立つケースが多いです。例えば、
- 運送会社が、自社で所有している車両をリースバックして資金を調達する(売却後も車両を事業に使い続ける)
- 業種に限らず、経営者の自宅をリースバックで売却し、売却代金を自社に貸し付ける(売却後も自宅に住み続ける)
といった方法があります。
使い分けのポイント
ビジネスローンとリースバックの特徴を比較すると、以下のように使い分けることができます。
- 銀行融資を受けられるかどうかに関係なく、リースバックに活用できる資産を多く所有している会社では、銀行融資に加えてリースバックの活用も検討する。ビジネスローンの利用は避ける。
- 銀行融資を受けられない場合、リースバックの調達コストとビジネスローンの調達コストを比較するため、複数のリース会社から相見積もりを取る。
その結果、自社の資産が高値で売却でき、調達コストも安いと判断すればリースバックを利用する。満足のいく値がつかず、ビジネスローンの調達コストが安いと判断すればビジネスローンで借りる。 - 資金需要が大きい場合、リースバックとビジネスローンを併用する。
リースバックでは、リース会社ごとに得意な買取分野が異なり、見積もりが大きく変わることがあります。したがって、相見積もりを取ることがポイントといえるでしょう。
まとめ
ビジネスローンでの調達を検討する際、銀行融資と比較する人は多いです。これは、ビジネスローンと銀行融資が「借入れ」という同一ジャンルの資金調達であるためです。
しかし、資金を調達する方法は借入れだけではありません。社債発行、出資、資産売却など色々な方法があります。複数の方法があることを認識し、比較検討した上で活用するならば、ビジネスローンが大いに役立つはずです。
ただし、自社に最適な資金調達方法が分からない経営者も多いはずです。また、最適な調達方法はタイミングによって変わります。
資金繰りに余裕があるうちからコンサルタントとつながりを持ち、資金繰りの維持・改善に取り組むことが大切です。
資金調達のプロがお客様の状況をヒアリングした上で適切なアドバイスを致します。
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