資金調達

保証付融資の仕組みとは?保証枠やプロパー融資との使い分けも解説

銀行融資の主流は二種類

銀行融資には、大きく分けて二種類あります。信用保証協会の保証をつけて融資を受ける「保証付融資」と、保証をつけずに融資を受ける「プロパー融資」の二つです。

どちらを利用しても資金を調達できることには変わりないため、違いをあまり気にしていない人も多いものです。また、銀行から提案される融資が常に保証付融資である、保証付融資以外で借り入れたことがないといった理由から、銀行融資には信用保証協会の保証をつけるもの、といったイメージを持っている人も少なくありません。

しかし保証付融資とプロパー融資は、仕組みにおいても、状況別の使い勝手も大きく異なります。特に異なるのは、調達可能額の有無です。

調達可能額を中心に、保証付融資の仕組み、プロパー融資との違いを見ていきましょう。

最大の違いは「枠の有無」

保証付融資とプロパー融資の最大の違いは、調達可能額にあります。すなわち、

保証付融資:信用保証協会が保証上限枠を決めており、その範囲内で資金調達が可能となる

プロパー融資:銀行の裁量で融資するため一定の融資上限がなく、多額の資金調達も可能である

ということです。これを知ることにより、保証付融資の仕組みの大部分が理解できます。

信用保証協会保証付融資の保証枠は、無担保では8,000万円、有担保では2億8,000万円と決められています。保証枠は、銀行ごとにそれぞれ設けられているものではなく、全ての銀行の融資を合算した保証上限枠です。

例えば、A銀行、B銀行、C銀行、D銀行からそれぞれ2,000万円の保証付融資(無担保)を受けている会社では、8,000万円の保証枠を全て使い切ったことになります。

保証枠の設定と実際の目安

もっとも、実際の保証枠は会社ごとに異なります。無担保8,000万円・有担保2億8,000万円という保証枠は、あくまでも「保証できる最大の金額」であって、この範囲内で保証枠が設定されるのです。したがって、必ずしも保証枠いっぱいに借りられるとは限りません。

信用保証協会が実際に保証してくれる枠の目安は、月商の3ヶ月分とされています。

例えば、月商2,000万円の会社であれば、月商の3ヶ月分にあたる6,000万円が保証枠の目安となります。一般的に知られている8,000万円の保証枠は適用されない可能性が高いです。

会社によっては枠が小さくなることも

さらに注意したいのが、月商3ヶ月分という目安も絶対ではないことです。

プロパー融資の際に銀行が会社を審査するのと同じように、保証枠を設定する際には信用保証協会が会社を審査します。

基本的に、信用保証協会の審査は銀行ほど厳しくありません。信用保証協会は公的機関であり、「保証することで銀行融資を促し、金融面から企業を支援する」ことを目的としているためです。

とはいえ、貸し倒れリスクの高い会社に対しては保証枠を小さく設定したり、保証を拒否したりすることもあります。なぜならば、保証した会社が保証付融資を返済できなくなった場合には、信用保証協会が会社に代わって銀行に代位弁済する必要があるためです。

弁済したを会社や連帯保証人から返済してもらう流れとなりますが、返済不能に陥った相手から回収することは容易ではありません。長い時間をかけて少しずつ回収していくのが普通です。保証した会社で債務不履行が多発すれば、信用保証協会の運営に支障をきたします。

それを防ぐために審査を行い、保証する会社の状況に応じて保証枠を決める必要があります。業績や財務に大きな問題がある会社では、月商3ヶ月分を大きく下回る保証枠が設定される可能性も高いです。

保証付融資には限界がある

以上のように、信用保証協会の保証付融資には保証枠があり、保証枠は会社の状況に応じて増減します。資金調達の観点から考えるならば、

  • 保証付融資による資金調達には限界がある
  • 会社の状況が悪化すれば、調達余力が低下する可能性がある

といえます。

有担保の保証付融資は最大2億8,000万円の保証枠が設定されますが、有担保を考える必要はありません。それだけの担保価値のある資産を持っているならば、それを担保にプロパー融資を受けるべきです。

銀行がプロパー融資に消極的なのは、貸し倒れの際の損失が大きいためです。逆に言えば、貸し倒れに備えることができればプロパー融資を出すのもやぶさかではありません。

したがって、保証付融資の活用は基本的に無担保で考えます。つまり、保証枠は最大で8,000万円しかなくいため、頼りすぎるのは禁物です。

会社というものは、経営が順調であれば業容は拡大していき、経営が悪化すれば業容は縮小するものです。どちらか一方の道を歩むべきで、現状を永遠に維持し続けることは不可能です。

意図的に業容を縮小させ、最終的に会社をたたむことを考えるのでなければ、成長を目指していくのが自然です。会社が成長して業容が拡大すれば、資金需要は大きくなっていきます。

業容が小さいうちは、保証枠が8,000万円もあれば十分だと感じるかもしれません。しかし、いずれ8,000万円の保証枠では資金繰りが回らなくなる日がくると考えておく必要があります。

そのときまでに、プロパー融資の道を作っておきたいものです。銀行が貸し倒れリスクを100%負うプロパー融資は、保証付融資に比べて審査が厳しいのですが、保証枠のような制限がないため多額の資金調達にも利用できます。

また、プロパー融資で調達すれば保証枠を使わずに済みます。経営が悪化してプロパー融資の審査に通らなくなった時、比較的審査に通りやすい保証付融資で資金調達できるよう、保証枠を温存しておくのが賢明です。

プロパー融資の道は、時間をかけて徐々に拓いていくものであり、そのために効果的なテクニックも知っておく必要があります。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

うまく交渉すればプロパー融資は引き出せる!効果的な3つの交渉術

まとめ

本稿では、保証付融資とプロパー融資の違いを調達可能額から解説しました。調達可能額の違いを知れば、保証付融資の保証枠の仕組みや、プロパー融資との使い分けも理解できます。

これまで保証付融資を中心に考えてきた会社は、ぜひ保証付融資とプロパー融資の二種類があること、そして上手な使い分けがあることを意識し、自社にとってベストな方法で資金調達することを心がけましょう。

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