不動産担保融資

不動産担保ローンとファクタリングの違いは?中小企業向けなのはどっち?

中小企業の資金繰りにおいて「不動産担保ローン」と「ファクタリング」という2つの選択肢があるとすれば、そのどちらを選ぶべきかは悩ましい問題です。なぜならこの2つの資金調達方法にはそれぞれにメリットもあり、デメリットもあるからです。しかし様々な条件で比較をすれば、自社にとっての正しい選択肢が見えてくるはずです。

全く違う2つの資金調達方法

そもそもですが、「不動産担保ローン」と「ファクタリング」は全く違うタイプの資金調達方法であり、だからこそ比較するのが難しいとも言えます。まずは大きく何が違うのかを知ることから始めましょう。

「不動産と売掛債権」

名前の通りとはなりますが、不動産を活用して資金調達を行うのが不動産担保ローンです。対してファクタリングは請求書などの売掛金、売掛債権を利用して資金調達を行います。ですから不動産が無ければ不動産担保ローンは利用できませんし、売掛債権が発生していないのであればファクタリングで資金を得ることができないということにもなります。

「融資と売却」

不動産担保ローンは不動産を担保として設定する「融資」であり、ファクタリングは売掛債権を買取業者に対して「売却」することで資金調達を行います。融資である不動産担保ローンの場合は計画的な返済と利息の支払いが必要となりますが、ファクタリングは手数料を一度支払うだけでOKです。融資か売却かという違いは、お互いのメリット・デメリットにも大きく影響します。

不動産担保ローンとファクタリングの比較

ここからは2つの資金調達方法を条件別に比較していきます。あくまで両方が利用可能であることが前提にはなりますが、重要視する条件によって資金調達方法を選ぶのも1つの考え方です。

審査通過のしやすさ

不動産担保ローン−−−経営状況・与信情報・担保に設定した不動産の価値
ファクタリング−−−売掛け先の信用力(経営状況・取引実績)・支払サイト

上記したのは、それぞれの審査で重要視されることの多い項目です。不動産担保ローンは申込みを行った企業の経営状況がしっかりと見られますが、高い評価を得られなくとも不動産の価値次第では審査に通れる可能性があります。しかしファクタリングの場合は申込みを行った企業よりも売掛け先の情報が重視されますので、赤字経営や多少の税金滞納があっても利用できる可能性が高いという特徴があります。自社の経営状態や取引先次第で審査通過のしやすさが変わりますので、置かれた状況次第ということになります。

資金調達完了までのスピード

申し込み先によっても違いますが、ビジネスローンなどを除き融資の審査は早くとも2週間程度が必要となり、資金調達完了までに1ヶ月程度の余裕を見ておくほうが安心です。それに対してファクタリングは早ければ即日で売掛債権を現金に変えることが可能であり、書類提出の不備でもない限りは一週間以上かかることは稀です。スピードに関してはファクタリングの方が優秀と考えらます。

資金調達後のリスク

順調な返済を行えば大きな問題は起きないはずですが、何かのトラブルで返済が滞ってしまった場合には、不動産担保融資では担保に入れた不動産を失う危険はゼロではありません。ファクタリングは買い取り実行後の債権に対して原則責任を問われない「償還請求権なし(ノンリコース)」での契約が基本ですので、資金調達後のリスクはほとんどありません。

決算書などへの影響

融資に頼った資金調達は、負債の額が多くなってしまい決算書への悪影響が起きることが考えられます。しかしファクタリングは融資ではありませんので、負債の額が増える心配はなくバランスシートのスリム化など好影響も期待できます。

「急ぎ」や「リスクの小ささ」ならファクタリング、「高額」なら不動産担保ローン

スピード感や資金調達後の安心感を求めるのであればファクタリングがおすすめです。しかしファクタリングは売掛債権の額以上の資金調達はできませんので、売掛債権の額を超える大きな資金調達を目指すのであれば不動産担保ローンの方が資金調達を成功させられる期待は高くなります。つまり何を求めるかによって、どちらを選ぶべきかは変わってくるということです。

それぞれの特徴を考慮して選べば安心

不動産担保ローンにもファクタリングにもメリットだけでなく、注意すべき点や不得意な状況があります。ですから、どちらか一方と決めつけるのではなく状況に応じて選択する柔軟さを持つことが大切です。そのためにはそれぞれの特徴をしっかり理解することが重要ですので、よく理解した上で資金調達先を選びましょう。

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