資金繰り改善

売掛金の増減が資金繰りに与える影響とは?

ほとんどの会社は掛取引をしており、売掛金を日常的に取り扱っています。では、売掛金の増減が資金繰りにどのような影響を与えているか、具体的に考えたことはあるでしょうか?売掛金の増減と資金繰りの関係が分かると、資金繰りのコントロールや改善に役立ちます。

売掛金の増減と資金繰りの関係とは

売掛金が増減すると、資金繰りに影響が出ます。ほとんどの会社が掛取引をしており、売掛金を取り扱っているのですから、売掛金の増減と資金繰りの関係は正しく理解しておくことが大切です。

売掛金が増加または減少した場合、資金繰りには以下のような影響が出ます。

売掛金が増加した場合

売掛金は、売掛先から代金の支払いを受ける権利です。取引先に商品やサービスを販売した後に発生します。

売掛金増加の原因は、いくつか考えられます代表的な原因は以下の通りです。

  • 売上が増えた
  • 売上は横ばいだが、取引先が売掛金の支払いに遅れた
  • 売上は横ばいだが、取引先との契約変更によって回収サイトが長期化した

売上の増加に比例して売掛金が増加する流れは分かりやすいでしょう。しかし、売上が横ばいでも売掛金が増加することがあるため、注意が必要です。

売掛金は、売上に伴って発生します。売上を得るまでには様々な経費を支払っているため、売上が増加すれば経費も増加し、資金繰りへの負担が大きくなります。

売上が横ばいの場合、経費の負担も変わりません。しかし、売上の回収が遅れることによって売掛金が増加すると、お金が入ってくる動き(売上回収)が鈍く、お金が出ていく動き(経費支払)が変わらないのですから、資金繰りが悪化します。

売掛金が減少した場合

売掛金減少の影響は、売掛金増加の逆を考えると分かります。簡単にみていきましょう。

売掛金減少は、以下のような原因によって起こります。

  • 売上が減少した
  • 売上が変わらず、取引先との契約変更によって回収サイトが短縮した

売上が減少すれば、売掛金も減少します。取引先との契約変更による回収サイト短縮も効果的です。

売上が増加した場合、回収サイトを短く設定しても、現金回収でない限り売掛金の増加は避けられません。ただし、取引先全体での平均回収サイトが短くなれば、資金繰りには良い影響が期待できます。

売上が変わらずに売掛金が減少することは、売上がスピーディに回収できていることを意味します。お金が入ってくる動き(売上回収)が早くなり、お金が出ていく動き(経費支払)が変わらなければ、資金繰りはラクになります。

期首→期末の増減で考える

資金繰りを左右する要素は、売掛金の増減だけではありません。売掛金の増減に伴う売上の変化も考慮する必要があるため、「売掛金が増加すればこうなる」「売掛金が減少すればこうなる」と、一概には言い切れないのです。

とはいえ、基本的には、

  • 売掛金が増加すれば資金繰りが悪くなる
  • 売掛金が減少すれば資金繰りが良くなる

ということは間違いありません。この事実は、売上が変わらない状態で、期首と期末の売掛金が増減するケースを考えるとよく分かります。

売上高が1,000万円のA社を例に、売掛金の増減と資金繰りの関係をみていきましょう。

1期目:現金で全額回収

A社は、一般消費者向けに飲食店を経営する会社です。

シミュレーションの1期目の時点では、A社は期中の売上を全て現金で回収していました。クレジットカード決済を導入しておらず、来店したお客さんは必ず現金で支払う仕組みです。

期中の売上高
1,000万円
期中の現金回収額
1,000万円

 

全額を現金で回収するのですから、期中の売上高と期中の現金回収額は一致します。期首の売掛金残高はゼロ、期末の売掛金残高もゼロで増減はなく、資金繰りへの影響もありません。

2期目:期末に売掛金が発生

2期目から、A社は来店客へのクレジットカード決済を導入し、代金後払いのデリバリーサービスも始めました。新型コロナウイルス感染症の影響により来店客が激減し、従来の仕組みでは売上激減がほぼ確実であったためです。

このため、1期目は全額現金回収であったものが、2期目以降は来店・現金払いのお客さんは現金回収、来店・クレジット払いのお客さんとデリバリーのお客さんは売掛金によって回収することとなりました。

幸いにもデリバリーサービスが大盛況となり、売上高1,000万円を維持できたのですが、一方で売掛金が増加しました。

期中の売上高
1,000万円
期中の現金回収額
700万円
期末の売掛金残高
300万円

 

その結果、期中の売上高は1,000万円で変わりませんが、そのうち回収できた現金は700万円に止まり、期末時点で未回収の売掛金が300万円残りました。期首の時点ではゼロだった売掛金残高が、期末時点では300万円に増加したのです。

全額現金回収で1,000万円を回収していたときは、経費などを1,000万円から支払うことができました。これに対し、2期目は700万円しか回収できず、資金繰りに使える資金も300万円減っています。

売掛金増加の影響によって資金繰りが悪化する様子が分かるでしょう。

3期目:期末の売掛金が増えた

3期目は、2期目の売掛金残高300万円を引き継いでスタートします。期中の売上高は変わらず1,000万円です。

3期目の結果は以下の通りです。

期首の売掛金残高
300万円
期中の現金回収額
900万円
期中の売上高
1,000万円
期末の売掛金残高
400万円

期中の現金回収額は900万円でした。2期目の現金回収額よりも200万円増えており、資金繰りが改善したようにみえるかもしれません。しかし、3期目も資金繰りは悪化しています。

期末の売掛金残高が400万円で、2期目の期末より100万円増えていることに注目してください。

期首の売掛金300万円は2期目に発生したものであり、3期目の早いうちに全額回収できるはずです。また、2期目同様、売上高1,000万円のうち700万円を回収できるならば、3期目の期中現金回収額は1,000万円になるはずです。その場合、期末の売掛金残高は300万円となり、期首からの増減はゼロ、資金繰りへの影響もゼロとなります。

しかし、最終的な期末の売掛金残高は100万円増加の400万円でした。事実、A社では3期目もデリバリーサービスの売上が伸び、売掛金が増加していたのです。この100万円の分だけ、資金繰りは悪化しています。

4期目:期末の売掛金が減った

このままでは資金繰りが苦しくなる一方です。A社は資金繰り改善のために、売掛金を減らすように取り組みました。

店内サービスを充実させることで、デリバリーサービスの利用客に来店を促したり、来店時の支払いの際、現金払いで使える割引券を発行したりすることにより、現金回収を増やすようにしたのです。

その結果、4期目は以下の結果となりました。

期首の売掛金残高
400万円
期中の現金回収額
1,300万円
期中の売上高
1,000万円
期末の売掛金残高
100万円

期首の売掛金400万円をしっかり回収し、期中の売上高1,000万円のうち現金回収額を900万円に伸ばしたのです。期中の現金回収額は1,300万円、期末の売掛金残高は100万円となりました。

期首から期末にかけて、売掛金残高は300万円も減少しています。これにより、資金繰りも改善されます。

もちろん、全額現金回収していた1期目に比べると、売掛金残高100万円の分だけ資金繰りは悪化しています。しかし、元々A社は売上悪化を防ぐためにクレジット決済やデリバリーサービスを始めたのです。この取り組みがなければ売上が激減し、経営そのものが危なかったかもしれません。

このように考えると、売上高1,000万円を維持し、なおかつ売掛金100万円分の資金繰り悪化に止めた結果は悪くないといえるでしょう。

まとめ

 

基本的に、売掛金が増加すれば資金繰りが悪化し、売掛金が減少すれば資金繰りが改善します。資金繰りを改善したいと思うならば、売掛金を減らせば良いのです。

極めて単純な法則ですが、実際には困難です。A社も、売掛金を減らすために智慧を絞っていますが、A社のように一般消費者を相手にする場合と、企業間取引では大きく異なります。自社が売掛金を減らそうとすれば、取引先の資金繰りを圧迫するため、交渉が非常に難しいのです。

売掛金を着実に減らし、資金繰りを改善していくには専門的な知識と経験が欠かせません。まずはコンサルタントへの相談をおすすめします。

 

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