ビジネスローン

ビジネスローンの金利はどれくらい?資金繰りへの負担は?

資金を調達する方法は色々ありますが、中でもビジネスローンを活用する中小企業経営者は多いものです。しかし、ビジネスローンは諸刃の剣です。上手に使えば非常に役立ちますが、使い方を間違えると資金繰り悪化につながります。
ビジネスローンの活用にあたっては、金利と資金繰りへの影響を正しく理解することが大切です。

ビジネスローンの金利の仕組み

中小企業にとって、資金調達の軸になるのは銀行融資です。業績や財務の悪化などによって銀行融資が受けられなくなった場合には、その他の資金調達方法を利用し、資金繰りを回していくほかありません。
資金調達方法は様々であり、自社の状況に応じて使い分ける必要があります。しかし経営者の多くは、「資金調達=借入れ」という意識が強いため、

  1. まずは銀行融資
  2. 次にビジネスローン

 

と考える傾向があります。
ほかにも色々な資金調達を検討するべきなのですが、ビジネスローンが次善策になるケースが多いことは事実です。

ビジネスローンは高金利

よく知られている通り、ビジネスローンは高金利です。このことは、金融機関から融資を受ける場合の借入金利と比較するとよく分かります。
民間金融機関の借入金利は2%前後が一般的であり、高くても3%を超えることは珍しいです。経営内容が良ければ、銀行は他行に先んじて融資したいと考えるため、金利が1%台まで下がることも多いです。

公的融資の金利は、民間金融機関よりも低く設定されます。これは、公的金融機関が民間金融機関の補完的立場にあり、経営が苦しい会社を支援することを目的とするためです。平均的な金利水準が低く設定されているほか、金利補助を受けられることもあります。適用金利は、民間金融機関よりやや低いものと考えて良いでしょう。

ビジネスローンは、民間金融機関・公的金融機関に比べて、はるかに高い金利を設定しています。利息制限法に従い、

  • 10万円以上100万円未満の融資ならば年18%
  • 100万円以上の融資ならば年15%

 

が目安となります。

ビジネスローンの金利が高い理由

なぜビジネスローンの金利は高いのでしょうか。最大の理由は、ビジネスローンの大きなメリットである「借りやすさ」にあります。
そもそも、ビジネスローンを提供している金融業者は、融資先が限られています。資金調達では、銀行融資を真っ先に考える会社が多いため、ビジネスローンの主要顧客は銀行融資を受けられなかった会社です。

したがって、ビジネスローンの融資先は、「銀行が貸せないと判断した会社(貸し倒れリスクが高いと判断した会社)」が前提となります。
基本的に、リスクとリターンは連動します。よく「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」といわれるように、

  • リスクが低ければ、リターンが小さくても採算が取れる
  • リスクが高ければ、リターンが大きくなければ採算が取れない

 

という関係にあるのです。
貸し倒れリスクが低い、つまりローリスクの会社に対しては、銀行はローリターンでも喜んで融資します。銀行がリスクを嫌って融資しなかった会社が、ビジネスローンに流れてきます。この会社への融資はハイリスクですから、ハイリターンでなければ採算が取れません。
このような論理により、ビジネスローンの金利は高く設定されるのです。

低金利は期待できない

ビジネスローンによる資金調達を検討する際には、誰もが業者ごとに金利を比較すると思います。金利の上限は利息制限法に沿って定められますが、下限は業者ごとに異なります。
下限の低い業者で借りたほうが、低金利での借り入れができるように見えるのですが、実際のところあまり参考にはなりません。これも、ビジネスローンでは貸し倒れリスクが高いことが前提になるためです。

例えば、ビジネスローン大手のアイフルビジネスファイナンスでは、100万円以上の融資に対する金利を年3.1~15.0%と定めています。この情報だけを見ると、上手くいけば年3.1%に近い金利で借りられそうにも見えますが、年3.1%といえば銀行融資とそれほど変わりません。

もちろん、経営内容が良好な会社が、緊急的な資金需要を埋め合わせるためにビジネスローンを利用するといった場合には、下限近い金利で借りることもできるでしょう。
しかし、それはあくまでも例外的なケースです。銀行融資に落ちた会社がビジネスローンを利用する際の参考にはなりません。

また、銀行融資に落ちた会社は、資金繰りが危険な状態にあり、「とにかく借りられるならばどこでも良い」と焦っていることが多いです。実際、このときに最優先すべきは資金繰りの維持であり、金利にこだわるべき時ではありません。

上限金利を提示しても借りてもらえるのが普通ですから、業者側も強いて金利を下げる必要がないといえます。
これらの理由により、ビジネスローンで低金利の借り入れは困難です。

資金繰りへの負担は?

借りたお金は返さなければなりません。その際、元金に利息を上乗せして返済します。そこで気になるのが、高金利で借りたビジネスローンの返済負担です。

実質的な負担は小さい

結論からいえば、ビジネスローンの実質的な返済負担は小さいです。これは、ビジネスローンで調達できる資金が少ないためです。
ビジネスローンの商品概要を見ると、数百万円の融資に対応している商品が多く、中には1,000万円以上の上限を設定している商品もあります。

もし、ビジネスローンで年15%・1,000万円の融資を受けたとすれば、大変な返済負担が生じます。5年返済・元利均等方式の条件であれば、毎月23万7,899円の返済を5年間にわたって続ける必要があり、完済時の支払利息の総額は約430万円にもなるのです。

銀行融資を断られていることから、業績・財務に問題があり、資金繰りも苦しいはずです。ビジネスローンを利用する会社のほとんどは、このような負担に耐えられないでしょう。
このことは、業者側もよく理解しています。

したがって、基本的には多額の融資には応じません。初めてビジネスローンを利用する会社では、上手くいっても1社あたり150万円、複数社の合計で300万円程度の調達が精一杯です。
ビジネスローンは高金利ですが、借入総額が少ないため、実質的な資金繰りへの負担も小さいのです。

シミュレーションしてみよう

実際にはどれくらいの負担が生じるのでしょうか。シミュレーションしてみましょう。
ここでは、3社から合計200万円の融資を受けたと仮定し、借入額と借入条件の内訳は、

  • ビジネスローンA:借入額120万円、金利15%、返済期間5年(元利均等返済)
  • ビジネスローンB:借入額60万円、金利18%、返済期間3年(元利均等返済)
  • ビジネスローンC:借入額20万円、金利18%、返済期間1年(元利均等返済)

 

とします。この場合、5年間の返済負担の推移は以下のようになります。

1年目返済額 2年目返済額 3年目返済額 4年目返済額 5年目返済額
ビジネスローンA 342,564 342,564 342,564 342,564 342,564
ビジネスローンB 260,292 260,292 260,292 0 0
ビジネスローンC 220,020 0 0 0 0
月々の負担 68,573 50,238 50,238 28,547 28,547

もっとも負担が大きい1年目でも、月々の返済額は7万円以下です。この程度の負担ならばやりくりできる会社も多いと思います。

銀行に比べるとやっぱり高い

しかし、実質的な負担が小さいとはいえ、ビジネスローンからの借り入れは好ましくありません。銀行融資に比べるとはるかに高いことは間違いないからです。ビジネスローンで調達せざるを得ないとしても、いずれは銀行融資を受けられるよう経営改善に取り組むべきです。

上記の例では、借入額200万円に対して支払った利息の総額は約71万円です。もし、銀行から年2%で200万円を借りていれば、5年間で支払う利息の総額は10万円程度に抑えることができます。ちなみに、年2%の金利で支払利息の総額が約71万円になるのは、借入総額1,400万円・5年返済の場合です。

このように考えると、ビジネスローンが高金利であり、銀行融資を優先すべき理由がよく分かると思います。

まとめ

本稿では、ビジネスローンの金利について解説しました。銀行融資の借入金利と比較すると、ビジネスローンの金利の高さがよく分かると思います。

もちろん、銀行融資を受けられない場合には、ビジネスローンでの資金調達が役立ちます。銀行融資よりビジネスローンを優先するのは間違いですが、銀行から調達できなければ、資金繰り維持のためにも積極的にビジネスローンを活用すべきです。

ただし、そのような局面での資金調達には慎重さも重要です。可能であれば、資金繰り専門のコンサルタントに相談しながら資金調達することをおすすめします。

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