売掛債権を売却し現金へと変えるファクタリングの利用には、「手数料」が必要になります。手数料が低ければ低い方が良いと誰もが考えるはずですが、低く設定してもらうには抑えておくべきポイントが存在します。どのようにして手数料が決まるのかを知ることで、取るべき対策が見えてきます。
※ファクタリングについて基礎から知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『ファクタリングの仕組みとは?メリット・デメリットや利用の流れを解説』
ファクタリングの手数料とは?
融資ではない資金調達方法であるファクタリングは、買取業者は利息ではなく手数料を取ることで経営を支えています。手数料の中には人件費などが含まれるのはもちろんですが、債権譲渡登記などの費用や印紙代なども含まれることもあります。
これら印紙代や登記費は別途徴収されることもあり、手数料の捉え方は申し込み先によって違いあります。
ファクタリング手数料は「債権の回収リスク」で決まる
手数料は「債権の回収リスク」を考慮し、そのリスクの高さによって決定されることになります。確実に返済が行なわれると判断された場合には手数料は低くなりやすく、逆に何かの問題で売掛金の支払いが実行されなくなる可能性があると判断された場合には、手数料は高くなりやすく、場合によっては審査落ちとうことにもなりかねません。
ファクタリングは売掛先が倒産しても債権の買い戻しなどが求めらないノンリコース(償還請求権なし)での契約が基本ですので、「リスクが高い=手数料が高い」ということになってしまうのです。ここからは回収リスクの判断基準となる要素を解説します。
売掛債権の相手先の信用力
審査でまず見られるのは、売掛債権の信用力です。これは売掛先の経営状況やファクタリングを申し込んだ企業との間の取引実績などによって判断されます。売掛先の与信情報などもチェックされますので、過去に金融事故を起こしていたりすると手数料が高くなるどころが審査に通過することすら難しくなります。
安定した経営が行えていないとうことは債権の支払いが送れたり最悪の場合は倒産も考えられ、審査通過することができたとしても高い手数料が設定されやすくなってしまいます。
支払サイトの長さ
売掛債権の支払日までの日数を表す「支払サイト」が長い場合も、回収リスクが高くなると判断されることになります。現在は順調な経営を行っていたとしても、会社経営には予想外のトラブルが起こりえます。
支払サイトが長くなるほど予想外の自体が起きる確率もアップすると考えられますので手数料に影響してしまうのです。何日以上という明確な基準はありませんが、2ヶ月以上支払期日までの日数が残っている場合は、低い手数料は設定されにくくなるかも知れません。
二重譲渡などのトラブルのリスク
1つの債権を様々なファクタリング会社に対して売却手続きしていた場合、その債権は二重譲渡を行ったことになり、後々大きなトラブルに発展しかねません。
ファクタリング会社は二重譲渡や架空債権の売却などのトラブルが発生する可能性も検討し手数料を決定しています。このリスクは必要な書類をしっかりと提出したり、3社間契約を選択することによって低くすることが可能となります。
面談時の印象
現在はAIを使って機械的に審査を行うファクタリング会社も増えていますが、多くは面談を実施し審査の参考にしています。この面談時の印象も手数料への影響がないとは言い切れません。
何かしらのトラブルを起こすのでは疑われてしまうような言動をするのは問題外ですが、気に入られることを考えて下手に出るのも避けましょう。質問に対して誠実に答えるなど、常識的な対応を行えば問題はありません。
手数料は契約方法に大きく左右される
ファクタリングの手数料は契約方法に大きく左右されます。売掛先への承諾を得ない「2社間契約」と売掛先への通知を行う「3社間契約」が選択可能ですが、低い手数料を臨むのであれば3社間契約がおすすめです。
しかし、相場が幅広いのもファクタリングの特徴と言えますので、手数料相場の下限に拘るのではなく、あくまで参考程度と捉えてください。
2社間契約は「10%〜30%」程度
2社間契約は売掛先へ債権売却に関する通知を行いませんので、ファクタリングを申し込んだ企業が債権の代金を受け取りファクタリング会社に支払うことになります。
売掛先から直接代金を支払われる3社間契約と比べてトラブルが発生するリスクは高くなると考えられており、手数料相場も高くなりやすいのです。
3社間契約は「1%〜10%」程度
3社間契約を選択した場合、ファクタリングを申し込んだ企業は債権の代金を受け取らず、売掛先が直接代金をファクタリング会社に対して支払います。
売掛先とファクタリング会社の間のやり取りだけで債権代金の支払いが完結ができることで、二重譲渡などのトラブルが起きる危険性は低くなり、手数料も低くなりやすくなります。
特定の債権は手数料が低く設定されやすい
診療報酬や介護報酬などの医療関係の債権は、売掛先が国となることから非常に信用力の高い債権と考えられており手数料も低く設定されやすくなります。
この様に特定の債権は審査で高く評価されることがありますので、場合によっては思った以上に低い手数料でファクタリングが利用できるかも知れません。
手数料を低く設定されるためのコツ
ここからは手数料を低く設定されるためのコツをご紹介します。少し準備に手間をかけたり契約方法を変えるだけで手数料はグッと下がる可能性があります。
何も準備せずに審査を受けた場合にはファクタリング業者の提示した手数料で納得してしまうかも知れませんが、、しっかりと準備すれば最初から低い手数料が設定される可能性は高まります。
信用力の高い売掛債権を用意する
- 安定した経営を行っている
- 取引実績が豊富
- 与信情報に問題がない
上記した条件は売掛債権の信用力の判断基準になりますが、ならば取引先の中でもっとも信用力の高い売掛金を選べば良いということになります。
与信情報に関しては見抜くことは難しいのですが、取引実績は非常にわかりやすく軽絵状態もある程度は予測できるはずですので、なるべく条件の良い売掛債権を選択しましょう。
支払サイトの短い債権を選択する
債権の支払いまでの残り日数は、少なければ少ないほど高く評価されます。残り日数が2ヶ月以内であれば大きな問題にはなりませんが、少しでも手数料を低くしたいのであればできる限り支払日が近い債権をお選びください。
しかし買取によって額面より受け取れる額が目減りするのは間違いありませんので、支払日直前の債権を売却するのはデメリットの方が多くなる可能性も考えられますから少し注意が必要です。
3社間契約を選択する
手数料重視で考えるのであれば、契約方法は3社間契約を選びましょう。回収リスクが下がることから2社間契約よりもかなりの確率で手数料は低くなります。
しかし3社間には売掛先に債権売却を知られること以外にも、2社間と比べて現金化までの時間が長くかかる傾向があるという問題も存在しています。それでも多くの場合では数日で現金化は可能ですので、資金調達の猶予も考慮して契約方法をお選びください。
2社間契約で手数料を下げる方法
2社間契約を行った場合でも、債権譲渡登記を行うことで手数料を下げることが可能です。しかし登記には費用が発生しますので、少額の債権の場合には結果的に手に入る現金が目減りしてしまう可能性があります。
また債権譲渡登記は法人にしか行なえませんので、個人事業主の方は登記を行うことができません。
売却実績を積み重ねる
初回の買取時には不可能な方法なのですが、同じファクタリング会社を繰り返し利用することでも手数料は引き下げてもらえます。これは初回の利用実績により、申込みを行った企業の信用力が高いと判断されやすくなるからです。
特に問題がないのであれば、同じファクタリング会社を利用し続けることをおすすめします。
少額債権を避ける
実はファクタリング会社の多くは、少額債権の買取りを歓迎していません。なぜなら少額であっても高額であっても買取にかかる手間は大きくは変わらず、少額債権の場合は旨味が少なくなってしまうからです。
もし手元に少額の債権しか無いのであれば、複数の債権を同時に売却するという方法があります。合算してまとまった額になるのであれば、手数料が低く設定されやすくなります。
他社と相見積もりをする
手間が増加してしまうのは確実ですが、複数のファクタリング会社に対して申込みを行い相見積もりを取るのも有効な方法です。単純にその中で低い手数料を提示した場所を選んでも良いのですが、面談時の交渉材料として利用する方法もあります。
しかしあまりにも露骨に引き下げを希望したり、しつこく食い下がるのは心象を悪くしますので、交渉はほどほどにしておくことも大切です。
手数料を下げ、お得にファクタリングを!
ファクタリングの審査基準を知り、万全の準備をして申込みを行うことができれば、低い手数料でファクタリングを成功させられる可能性は高くなります。この記事でご紹介したポイントを抑え、お得にファクタリングを利用しましょう!
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