資金調達

【保存版】医療法人ができる資金調達方法を徹底解説!

「新型機器を導入したいけど、資金が足りない」

「毎月の資金繰りを上手く行う方法はないか」

「回転率もいいし、収入もあるはずなのに入金が間に合ってない・・・」

医療機関の経営をする上で、資金繰りで悩まれる経営者は意外と多いです。

病院は医療機器などの必要最低限となる設備投資も必要な上に、24時間365日稼働し続けなければならないため、経常運転資金も高額となります。
しかし、医療機関における収入は診療報酬債権が中心であり、すぐに債権が回収できるというわけではありません。

日々の運転資金だけでなく、病院の建て替えや増設、最新機器の導入や医師の確保等にも資金が必要となるでしょう。
つまり、短期資金と長期資金、どちらもなんらかの方法で調達する必要があります。

そこで、この記事では、

  • 医療法人の資金調達の特徴
  • 医療法人の資金調達の必要性
  • 医療法人の資金調達方法とそのメリット・デメリット
  • 医療法人の資金調達のポイント

を、解説していきます。

医療法人の資金調達の特徴

医療法人の資金調達には、以下3点の特徴があります。

  • 多額の設備資金が必要
  • 診療報酬債権の入金に時間がかかる
  • 株式発行や社債発行ができない

1:多額の設備資金が必要

適切な医療を提供するためには、医療機器を購入することは必須となります。
医療機器は高額なものが多い上に、ひとつではなく複数用意する場面もあるでしょう。
そして、よりよい医療サービス提供のために、定期的に機器を新調・導入する必要もあります。

そのため、開業時のみならず定期的に多額な設備資金が必要となってきます。
また、利用される方の特性上、送迎バスの運行や施設のバリアフリー化など、一般企業ではそこまで重要視されない部分にも、資金が必要となる場合も多い業界と言えるでしょう。

2:診療報酬債権の入金に時間がかかる

医療機関の主な収入源は、診療報酬債権です。
診療報酬債権は、請求してから入金まで2ヶ月~3ヶ月程度を要するため、売上はあるにも関わらず、現金化されるまでに時間がかかるという特徴があります。

従業員の給料や薬剤購入、消耗品の購入、リネン等のリース費用など、診療報酬債権の回収よりも経費の支払いが先になることが多いのです。
そのため、経営自体は悪くないのにも関わらず、資金繰りが悪化しやすい業界と言えます。

3:株式発行や社債発行ができない

医療法人は公益性の高さから、様々な優遇措置がとられていますが、株式会社とは異なり、株式や社債を発行して資金を集めることは禁止されています。
株式会社は株式や社債を発行することで、不特定多数の人から広く資金を調達できますが、医療法人はそれができません。

診療報酬債権以外に収入の柱を劇的に増やすことができないため、資金繰りに悩む経営者が多い現実があります。

医療法人の資金調達の必要性

良質な医療を提供するためには、最新機器の導入や医師・看護師・コメディカルの人員確保を怠ることはできません。

設備投資にも人件費にも日々の運転資金にも、お金は必要となります。
また、日々の運転資金のみならず、従業員を育成するための研修費や建物の修繕費など、必要となるお金は想像以上に多いです。

必要となる資金が多いのに、収入の柱は診療報酬債権のみ。
ベッド数を増やすことで収益を上げることはできますが、増床には都道府県知事の認可が必要であり、簡単にベッド数を増やすこともできません。

このように、診療報酬債権のみでは資金繰りに限界があるため、外部資金を集める必要性が高くなってきます。

医療法人の資金調達方法

医療法人の資金調達方法には、次の7つの方法があります。

  • 金融機関からの借入
  • 医療機関債
  • 診療報酬ファクタリング
  • シンジケート・ローン
  • コミットメント・ライン
  • リースバック方式
  • 社会医療法人債

それぞれの特徴をメリット、デメリットと一緒に解説していきます。

1:金融機関からの借入

銀行などの金融機関から借入することで、資金調達が可能となります。
金利はかかりますが、一度に多額の借入が可能であり、返済期間も長いため長期的な資金繰り改善に最適と言えるでしょう。

しかし、銀行融資は「利用者にしっかりと返済能力があるのか」を厳重に審査するため、誰でもすぐに利用できるものではありません。
利用できたとしても審査に時間を要するため、融資開始まで1ヶ月~2ヶ月程度かかってしまうことも珍しくありません。

また、信用格付けが低い場合には金利が高くなるため、利息の支払いが経費を圧迫してしまうデメリットもあります。

2:医療機関債

医療機関債とは、医療法人の信用力に基づいた資金調達方法のひとつです。
医療機関が債権を発行し、医療機関債購入者との金融消費貸借契約により直接資金を借り入れます。

医療機関債の使用目的は設備資金に限定されており、固定金利(1%上乗せが基本)、満期一括償還という点が特徴として挙げられます。
医療機関債は、原則無担保・無保証人で利用ができ、長期安定資金の確保が可能となるというメリットがあります。

厚生労働省からガイドラインが公表されており、「3年連続黒字であること」「1億円以上の場合には、監査法人などの監査を受けている必要がある」など、細かい条件が提示されています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000197775.pdf

これらの条件に該当している限られた医療機関しか利用できないという点は、デメリットと言えるでしょう。また、資金調達に時間がかかる場合が多いのもデメリットです。

3:診療報酬ファクタリング

医療機関が有している診療報酬債権をファクタリング会社に売却して、資金を調達する方法です。
診療報酬債権は通常、請求してから約2ヶ月~3ヶ月後に入金されますが、そのタイムラグを埋められるのが診療報酬ファクタリングです。

診療報酬ファクタリングでは、担保や保証人は不要であり、即日~1週間で現金化が可能というメリットがあります。
また、診療報酬債権の買取サービスであるため、借入にはならず信用情報に傷がつかないというメリットもあります。

ただし、ファクタリング会社に手数料を支払う必要があるため、本来手に入るはずだった金額の80%程度になってしまうという点は、デメリットと言えるでしょう。
診療報酬ファクタリングは、短期間の資金調達方法としてはおすすめの方法となります。

4:シンジケート・ローン

シンジケート・ローンとは、協調融資のことであり「複数の金融機関が同一条件で1社に対して融資を行う」方法です。

アレンジャーと呼ばれる幹事金融機関が、他の複数の金融機関(シンジケート団)を取りまとめてくれるため、利用者は複数社と交渉せずに済むという特徴があります。
ひとつの金融機関ではまかなえない様な高額な融資でも、複数の金融機関から小分けに融資してもらうことで、目標資金の調達が可能となるメリットがあります。

一方で、詳細な事業計画書の提出と、アレンジャーへの手数料の支払いがある点が、デメリットとなります。

5:コミットメント・ライン

コミットメント・ラインとは、企業と金融機関との間にあらかじめ融資上限額を設定しておく融資方法です。

期間内であれば、設定した融資額の範囲内で、審査を受けることなくいつでも借入をすることができるという特徴があります。
審査を受けることなくいつでも自由に借入ができるため、急に資金が必要になった際にも焦らず資金調達ができるメリットは大きいでしょう。

自由に利用できますが、利用していない金額(上限額-実際の借入額)に対しても手数料を支払う必要があるのはデメリットであり、この点においては注意が必要となります。

6:リースバック方式

高額な医療機器や事務機器については、リースバック方式を用いることも可能です。
一度購入した医療機器を売却することで、資金を調達する方法となっています。

リースバック方式は基本一括支払いであり、一括で得た資金の使用用途は自由です。
売却後は、毎月医療機器のリース料を支払うことで、そのまま使用することが可能となります。

契約期間中に解約することができない点は、デメリットと言えるでしょう。

7:社会医療法人債

社会医療法人においては、社債に類似した社会医療法人債を発行することが可能です。
社会医療法人債は、社会医療法人のみ認められている債権となっています。

社会医療法人債のメリットは、無担保・無保証人で利用可能、固定金利、満期一括償還、経営や財務の健全性をアピールできるといったものが挙げられます。

ただ、社会医療法人へ移行するためには、厳格な監査を通過する必要がありますので、なかなかハードルが高い方法になります。

医療法人の資金調達時のポイント

さまざまな資金調達方法がありますが、どの手段も必要なときに必要な資金を必ず調達できる保証はありません。
資金調達を成功させるためには、次の3点がポイントとなるでしょう。

  • 業績の改善
  • 実効性の高い経営計画
  • 目的により資金調達方法を使い分ける

1:業績の改善

融資は「利用者に返済能力があるのか」に重きを置いて審査しています。
業績が安定していればその分融資は受けやすくなりますが、反対に業績が悪ければ融資を受けられない場合もあります。

特に高額融資を申込みする前には、診療報酬債の回収をしたり、経常運転資金(電気代や消耗品費)の見直しをしたり、自己資金を増やしておけると、審査通過に有利となります。

2:実効性の高い経営計画

開業時の創業融資も、開業後の追加融資もいずれも融資の審査で重要視されるのは「経営計画」となります。

特に、過去の業績の証明ができない創業融資の場合は、いかに実効性の高い経営計画を作成できるかが、融資成功の重要なポイントになってきます。

創業融資では、短期資金調達に向いている「診療報酬ファクタリング」や、利用者の制限が強い「医療機関債、社会法人債」を用いた資金調達はできません。

また、創業融資は開業後の追加融資や他の資金調達よりも、さらに高額な資金の準備が必要という特徴があるため、高額融資可能な方法を選択する必要があります。

少しでも融資の審査通過率を上げるためには、融資会社を納得させるだけの経営計画書が必要となります。

ですから、お金のプロである税理士や会計士、経営コンサルタントに依頼することをおすすめします。

3:目的により資金調達方法を使い分ける

一概に、この資金調達方法が良いと言い切ることはできませんが、それぞれの資金調達方法にも、向き不向きがあります。

高額かつ長期的な資金調達の場合

高額かつ長期的な資金調達の場合は、金融機関の融資や医療機関債、社会医療法人債がおすすめとなります。

融資や医療機関債、社会医療法人債は審査が厳しく、融資開始までに時間はかかりますが、比較的低金利かつ高額融資が可能です。

返済期間も長期間の設定ができ、金利もそこまで高くないため、返済計画も立てやすい資金調達方法となります。

ただ、金融機関の融資や医療機関債、社会医療法人債は低金利での融資が可能ですが、審査が厳格であったり、利用者に条件があったりと、誰でも利用できるという訳ではありません。

審査が通りやすい資金調達の場合

そのような場合は、シンジケート・ローンやコミットメント・ライン、リースバック方式の利用が良いでしょう。

手数料や手間はややかかりますが、銀行融資よりも審査に通りやすく、融通が利く資金調達方法と言えます。

短期間の資金調達の場合

長期的ではなく、「その月だけ資金が必要」など短期間の資金調達の場合は、診療報酬ファクタリングやコミットメント・ラインがおすすめとなります。

診療報酬ファクタリングもコミットメント・ラインも、現金化までの速度が早く、資金調達したい場合に迅速に対応ができるという特徴があります。

まとめ

医療法人は高額かつ定期的に、資金調達が必要となる業界です。
しかし、様々な制約があり、自由に資金調達することが難しい業界でもあります。
この記事では、医療法人が資金調達をする際の資金調達方法の紹介と、メリット・デメリットの解説をしてきました。
色々な資金調達方法がありますが、それぞれの特徴は異なるため、その時必要となる資金調達の目的ごとに、使い分けると良いでしょう。

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