融資によって資金を調達する場合、資金調達先は金融機関だけではありません。特に、経営が悪化した、緊急的な資金需要が発生したなど、銀行融資を利用できない場合にはビジネスローンが役立ちます。
いくつかのポイントを押さえてビジネスローンを活用すれば、即日融資を受けることも可能です。本稿では、ビジネスローンで即日融資を受けるための基礎知識、具体的な方法、その際の注意点などを解説します。
ビジネスローンの基礎知識
ビジネスローンで即日融資を受けるためには、まずビジネスローンの基礎知識をしっかり身につけておくことが大切です。ビジネスローンの特徴を踏まえて考えると、即日融資を受ける方法も理解しやすくなるのです。
ビジネスローンの審査が通りやすい理由
銀行融資が駄目ならビジネスローンを活用する。これが資金調達のスタンダードな考え方です。
というのも、ビジネスローンは銀行融資に比べて格段に審査が通りやすいからです。
なぜビジネスローンの審査は通りやすいのでしょうか。これを理解しておくと、後述の「ビジネスローンで即日融資を受ける方法」がよくわかります。
ビジネスローンと銀行融資の大きな違い
ビジネスローンで即日融資を受けられる大きな理由の一つに、そもそもビジネスローンと銀行融資では審査基準が大きく異なることが挙げられます。
銀行融資の審査で最も重視されるのは、決算書です。決算内容が悪ければ融資はたちまち困難になります。過去の返済状況も重要ですが、過去の返済に問題があった会社でも、決算内容の改善によって融資の道は開けます。
逆に、過去の返済に全く問題がなかったとしても、決算内容が悪ければ融資は受けられなくなるのです。
だからこそ、銀行融資を受けるためには、決算対策が重要となります。税理士やコンサルタントに相談しながら、良い決算書を作るように心がけている会社も多いです。
しかし、業績や財務が悪化した会社では、いくら決算対策に取り組んでも銀行融資は受けにくくなります。そこでビジネスローンが役立ちます。
なぜならば、ビジネスローンはそれほど決算書を重視しないからです。というよりも、銀行融資を受けられなかった会社に決算内容を求めるのは無理があるため、強いてそれを求めないのです。
ビジネスローンでは、経営者個人の信用情報が重視されます。たとえ会社の決算内容が悪くとも、経営者個人の信用情報に問題がなければビジネスローンを受けられることが多いです。
個人信用情報機構でみられる情報とは?
個人信用情報機構といえば、個人の情報だけを取り扱っているイメージがあるかもしれませんが、法人の信用情報も取り扱っています。
会社としてビジネスローンに申し込む場合、経営者個人が連帯保証人となります。このとき、経営者の個人信用情報には「会社が利用するビジネスローンの連帯保証人になっていること」が記録されます。
逆の場合もほとんど変わりません。経営者個人がノンバンクから借り入れて、借入金を会社に貸し付ける形をとった場合、経営者個人の個人信用情報には「個人としてノンバンクを利用したこと」が記録されます。
このように、経営者個人の信用情報と法人の信用情報が紐づけられるのです。このため、会社でビジネスローンを利用する際にも、経営者個人の個人信用情報をみられるものと考えてください。
個人信用情報に掲載される情報には、以下のようなものがあります。
- 個人情報(経営者個人の情報。氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、勤務先、勤務先の電話番号、運転免許証の番号など)
- 借入状況(現在、個人や法人で受けている融資の情報。融資を実行した会社の名前、融資の形態、融資実行日、融資金額など。ただし、銀行のプロパー融資、信用保証協会の保証付融資、日本政策金融公庫の融資は記録されない)
- 返済状況(2の借入における、現在の返済状況、返済日、融資残高、完済日、延滞状況など)
- 金融事故情報(これまでの金融事故の履歴。債務整理、保証債務履行、強制解約、破産申立など)
- 融資の申込状況(過去6ヶ月間における融資の申込状況)
ビジネスローンに影響する情報
上記のうち、ビジネスローンの審査に特に大きく影響するのは3の延滞状況です。
ビジネスローンは、「元より高い貸し倒れリスクをいかに抑えるか」を重視します。直近2~3ヶ月間のうちに延滞を起こしていると、ビジネスローンからの資金調達はほぼ不可能となります。
逆にいえば、過去に個人として延滞を起こしたことがある経営者でも、しばらく延滞などの問題がなければ、ビジネスローンで即日融資を受けられる可能性は十分にあります。
このほか、金融事故情報も大きく影響します。債務整理や破産などの情報があれば、ビジネスローンの借り入れは困難と考えてください。
ビジネスローンの金利が高い理由
銀行融資の場合、金利条件は2~3%が一般的ですが、ビジネスローンでは15~18%程度となっており、銀行融資に比べてかなり高い設定となっています。
いくつかのポイントから、ビジネスローンの金利が高い理由を解説していきます。
貸し倒れリスクの違い
すでにご存知の方も多いと思いますが、銀行融資とビジネスローンでは貸し倒れリスクが異なります。
銀行は、決算書を重視した上で、返済能力に問題がないと判断した場合のみ融資を行います。返済能力に疑いがあれば、不動産担保や信用保証協会の保証をつけることでリスクの軽減に務めます。したがって、銀行融資の貸し倒れリスクはかなり低いです。
これに対し、ビジネスローンは元より決算書に期待していません。会社の返済能力に問題があることが前提となっており、ある程度の貸し倒れリスクを織り込んでいるからです。
頼りとなるのは経営者個人の信用情報です。つまり、会社の返済能力よりも、個人の返済能力を評価して融資しているわけです。
「決算内容に問題がない会社」と「決算内容に問題があるものの、経営者個人の信用情報には問題がない会社」を比較した場合、貸し倒れリスクの違いは明らかです。後者の方が圧倒的に貸し倒れリスクは高いといえます。
貸金業に限らず、全てのビジネスにおいてリスクとリターンは連動します。貸し倒れリスクが低い会社には低金利で融資する、つまり「ローリスク・ローリターン」でも採算が取れます。
貸し倒れリスクが高い会社であれば、高金利で融資して「ハイリスク・ハイリターン」でなければビジネスが成り立ちません。これが、ビジネスローンの金利が高い第一の理由です。
ビジネスモデルの違い
また、銀行融資とビジネスローンではビジネスモデルも異なります。
銀行は、利息収入で収益を上げることを目指していますが、ともかく多く稼げばよいというスタンスではありません。ローリスクで確実に稼ぐことを重視します。そのためには、会社と長期にわたり安定的な関係を続けることが欠かせません。
金利設定が高すぎると、会社の経営は破綻します。銀行のビジネスは、融資先の会社があってはじめて成立するため、高金利設定はいずれ銀行の収益を圧迫する要因になりかねません。そこで、銀行は優良顧客には1%前後、そうでない場合にも2~3%程度で融資し、無理なく返済してもらうことを重視するのです。
これに対し、ビジネスローンは長期安定での収益をさほど重視しません。基本的に、会社は銀行などで資金を調達すべきであり、ビジネスローンはあくまでも一時的な調達先です。長期間の付き合いにはならないため、低金利で長期安定収益を目指すよりも、高金利で短期高収益を目指す方が適切です。
融資額の違い
このほか、融資額の違いもあります。
くどいようですが、銀行融資は貸し倒れリスクが低いため低金利設定で長期安定収益を重視し、ビジネスローンは貸し倒れリスクが高いため高金利設定で短期高収入を重視します。
低金利で長期安定収益を目指す場合、多額の融資を行う必要があります。多額を融資するからこそ、低金利でもある程度の収益が期待できるのです。なおかつ融資額が大きいほど返済期間も長くなる傾向にあります。そのような融資先を多く持つことで、銀行は長期安定収益を実現しているのです。
高金利で短期高収益を目指すならば、多額の融資は不可能です。銀行レベルで多額の融資を実施すれば、融資先の資金繰りはすぐに破綻してしまうでしょう。
数十万円、数百万円の融資を実施することでビジネスローンは成り立っています。
少額の融資を多くこなして収益を確保するには、1件あたりの収益を高める必要があり、そのためには高金利設定が欠かせません。
ビジネスローンで即日融資は可能?
以上の基礎知識から、
- 銀行から融資を断られても、ビジネスローンならば資金を調達できる可能性があること
- その理由として、銀行融資とビジネスローンでは審査基準が大きく異なること
- 審査基準の違いから、ビジネスローンの金利設定が高いこと
などが理解できたことと思います。これに加えて気になるのが、
「ビジネスローンで即日融資は可能か?」
ということです。
結論からいえば、ビジネスローンならば即日融資を受けることが可能です。基礎知識を応用して考えると、即日融資が可能な理由もみえてきます。
ビジネスローンはスピードが売りである
即日融資に対応できることは、ビジネスローンの大きな強みであり、最大の売りでもあります。
もし、ビジネスローンが即日融資に対応できず、銀行融資と同じように数週間~1ヶ月前後の期間を要するならばどうでしょうか。わざわざ高い金利を支払ってビジネスローンで調達する人はいないでしょう。
ビジネスローンは、即日融資できる対応力によって成り立っているといっても過言ではありません。
即日融資でニーズに応える
ビジネスローンを利用する会社は、即日融資を強く望みます。というのも、ビジネスローンを利用する会社は、
- 銀行融資に落ちた
- 緊急の資金需要が発生した
といったケースが大部分を占めるからです。
銀行融資に落ちた会社は、すでに銀行から資金を調達するために多くの時間を費やしています。複数行取引の会社であれば、複数のサブバンクに融資を申し込んで断られ、最後にメインバンクに融資を申し込んで断られ、その末にビジネスローンに申し込みます。
時間に余裕をもって資金調達に取り組んでいる会社でも、ビジネスローンに申し込んだ時点では時間な余裕はほとんどなくなっているケースが多いです。これは、仕入先への支払い、従業員への給与の支払いなどが迫っているため、即日融資を強く望んでいるからです。
緊急の資金需要が発生した場合、より深刻な状況に陥りやすいです。例えば、数日後の支払いに充てようとしていた売掛金が回収不能となれば、支払代金を早急に調達しなければなりません。
このとき、銀行融資での調達は絶望的であり、ビジネスローンからの調達が有効な手段となります。数日の猶予があっても、即日融資を受けるに越したことはありません。
ビジネスローンを提供する会社も、このような事情をよくわきまえています。だからこそ、多くの業者が即日融資に対応可能としているのです。
即日融資できる仕組みがある
もっとも、いくら即日融資が重要であるとはいえ、ビジネスが成り立つことが前提です。
即日融資するためには、短時間で審査を済ませる必要があり、銀行のように慎重な審査はできません。ビジネスローンの提供側から考えると、即日融資に対応するということは、貸し倒れリスクの上昇を受け入れることでもあるのです。
逆にいえば、即日融資によって生じるリスクに対応できる仕組みがあれば、即日融資でも問題ないわけです。その仕組みが、経営者個人の信用情報による審査、少額融資・高金利設定などです。
連帯保証人になる経営者個人に問題がなければ、会社が返済不能に陥っても経営者個人から回収できます。少額融資であれば返済不能に陥る可能性を抑えることができ、リスクは金利に転嫁することも可能です。
このような仕組みがあることも、ビジネスローンが即日融資できる理由といえます。
ビジネスローンで即日融資を受ける方法
ビジネスローンは即日融資が可能であるものの、絶対ではありません。
大切なのは、即日融資が絶対ではないことを認識した上で、即日融資を受けられる確率を高めるために工夫することです。
ここからは、ビジネスローンで即日融資を受けるための方法をみていきましょう。
ノンバンクのビジネスローンを選ぶ
ビジネスローンには、銀行が提供するビジネスローンと、ノンバンクが提供するビジネスローンがあります。銀行系のビジネスローンは、ノンバンクのビジネスローンに比べて信用があり、金利面でも条件が良い傾向があります。しかし、銀行系列であるだけに審査に時間をかけることが多く、即日融資は期待できません。
したがって、ビジネスローンで即日融資を受けるためには、ノンバンクのビジネスローンを選ぶのがポイントです。ただし、最近では銀行系のビジネスローンにも即日融資に対応するものが出てきています。そのような銀行ではフィンテックを活用し、AIによる審査を導入することでスピーディな審査を実現しているのです。
資金力のある銀行でなければ、AIの導入は容易ではありません。今後は、「即日融資を受けるならノンバンクより銀行系のビジネスローンを」という流れになるかもしれません。
早い時間帯に申し込む
即日融資を受けるカギとなるのが、申し込みの時間帯です。これは、銀行の営業時間に対応するためです。銀行によって営業時間は異なりますが、平日15時までの営業が一般的です。
このため、審査的には即日融資を受けられる会社でも、手続き完了が15時以降の場合には振り込みが翌営業日に持ち越されてしまいます。
業者によっては、14時以降の申し込みを全て翌日に回すこともあります。14時以降の申し込みでは15時までに手続きを完了できず、即日融資は不可能です。早くても翌日の融資実行となるため、審査そのものを翌日に持ち越してしまうのです。
したがって、即日融資を受けるためには、早い時間帯に申し込むことが大切です。少なくとも午前中に申し込むようにしてください。
審査書類を揃えておく
早い時間帯に申し込んでも、すぐに審査を開始できなければ意味がありません。申し込みの時点で審査書類を全て揃えていることが重要です。申し込みの際に必要書類を確認し、手元にないものは揃えてから提出し・・・という姿勢では即日融資は難しくなります。
主な審査書類は、以下の通りです。
- 登記事項証明書
- 決算書(多くの場合2期分)
- 納税証明書
- 法人代表者の身分証明書
必要書類は業者によって異なります。上記のうち、納税証明書は求められないこともあります。
しかし、事前に納税証明書を求める業者も多いです。いくらビジネスローンでは決算内容が重視されないとはいえ、納税さえできない会社には融資を渋るものです。
納税証明書は、資金繰りがどの程度危険であるかのバロメーターとなります。事前に準備しておくに越したことはないでしょう。
もっとも、銀行融資を断られてからビジネスローンを申し込む場合、これらの書類は既に銀行用の審査書類として揃えているはずです。
複数のビジネスローンを利用する
即日融資を受けるために欠かせないのが、最初から複数のビジネスローンを利用すると考えておくことです。ビジネスローンは即日融資が可能ですが、融資上限額は低く設定されます。
初めて利用するノンバンクであれば、うまくいっても150万円程度がせいぜいです。数十万円しか融資してもらえないことも多いです。
いくら即日融資を受けられても、資金需要を満たせなければ意味がありません。即日で資金需要を満たすことが真の目的ですから、複数社の利用が欠かせないのです。
ただし後述の通り、申し込みの流れには注意してください。
第三者連帯保証人をつける
ノンバンクのビジネスローンは、基本的に無担保・無保証で即日融資を受けられます。連帯保証人になるのは経営者本人だけです。
しかし、これは担保や保証人を使えないわけではありません。ビジネスローンにも不動産担保融資はありますし、第三者連帯保証人をつけることも可能です。
もっとも、担保活用できる不動産を持っている会社では、そもそも銀行融資の時点で担保を使っているのが普通ですから、ビジネスローンのために不動産担保を活用するのはあまり現実的ではありません。
一方、第三者連帯保証人は役立ちます。近年、金融庁が第三者連帯保証人の原則廃止を金融機関に通達していることもあり、民間金融機関では第三者連帯保証人を求めない流れになりつつあります。しかし、第三者連帯保証人が完全に廃止されたわけではありません。
また、この通達を受けたのは金融機関であり、ノンバンクは該当しません。したがって、会社に関係のない第三者連帯保証人をつけることで、即日融資の可能性を高めたり、融資可能額が大きくなったりすることがあります。
ノンバンクによって対応が異なりますが、第三者連帯保証人を用意するのは有効な手段です。もちろん、返済不能に陥ると第三者連帯保証人に取り立てが行くため、リスキーな方法でもあります。
ビジネスローンで即日融資を受けるための注意点
ビジネスローンで即日融資を受けるためには、上記の方法に加えていくつかの注意点を知っておく必要があります。
むやみに利用しない
何といっても、ビジネスローンはむやみに利用しないことが大切です。
これを「即日融資のための注意点」といえば違和感があるかもしれません。しかし、即日融資を受けられるからこそ注意すべきなのです。
ビジネスローンの利用が当たり前になると、次第にビジネスローンに頼りがちになる会社が少なくありません。銀行より審査が緩く、調達スピードも早い便利な方法ですが、その代わりに金利が高い、調達可能額が小さいなどのデメリットもあります。これらのデメリットにより、ビジネスローンの即日融資を頼りすぎると、会社の資金繰りはジリ貧に陥る危険があります。
会社の資金繰りとしては、できるだけ銀行融資を利用すべきです。銀行融資は調達可能額が大きいため十分な資金を調達でき、金利も低いため資金繰りへの負担も小さく、経営の改善や成長には最も都合が良いのです。
ビジネスローンをむやみに利用することは、銀行からの資金調達、資金繰り健全化といった理想を放棄することにもなりかねません。
複数社に同時進行で申し込まない
ビジネスローンで即日融資を受ける方法として、複数のビジネスローンを併用することをおすすめしました。しかし、複数社に申し込む際の流れには十分注意してください。特に、複数社に同時に申し込み、同時進行で手続きするのは避けましょう。
ビジネスローンに申し込んだ場合、その申し込み履歴が個人信用情報に掲載されます。複数社に同時に申し込むと、申し込み履歴が短時間に複数掲載されることとなります。
申し込まれたノンバンクが個人信用情報機関に照会したとき、これを見ると悪印象を抱きます。あまりにも急いでいる印象を与え、「資金繰りが危機的な状況にあるのでは」と疑われる可能性が高いのです。
したがって、即日融資を受ける必要があっても、まずは1社に申し込んで審査を受け、審査に落ちたり必要調達額に満たない場合には2社目に申し込み・・・という流れで進めてください。どれだけ急いでいても、申し込んだ先の審査結果が出てから、次のビジネスローンに申し込むのが鉄則です。
申し込み先の選定も重要です。審査がスピーディな業者に申し込めば、1社目で断られた後に2社目に申し込み・・・という流れでも即日融資を受けられる可能性が高まります。
もっとも、この流れで複数社に申し込んだとしても、大抵は3~4社の申し込みが限界です。それ以降はどこに申し込んでも融資は受けられません。3~4社のビジネスローンを断られた会社、あるいは3~4社のビジネスローンで調達しても資金が足りない会社に対して、融資を出すノンバンクはありません。
なお、申し込み履歴は6ヶ月で個人信用情報から消えます。したがって、それ以降ならばビジネスローンの即日融資が再び利用できます。
経営者個人での利用を優先する
すでに書いた通り、個人信用情報機関では会社と経営者の情報が紐づけられています。ビジネスローンに法人として申し込んでも、経営者個人が連帯保証人になるため、その事実が経営者個人の個人信用情報に掲載されるのです。
ならば、ノンバンクへの申し込みは会社・個人のどちらでも良いかといえば、そうとも言い切れません。できるだけ、経営者個人での利用を優先すべきです。
経営者個人がノンバンクから調達する場合にも、調達可能額や金利設定は法人と大して変わりません。法人に対するビジネスローンは、決算書よりも経営者個人の信用情報を重視します。つまり、「法人ビジネスローンにおける融資可能額=経営者個人に対する融資可能額」なのです。
ただし、経営者個人がすでに多額の借入れをしており、総量規制(年収の3分の1までしか融資できない仕組み)の上限に達する場合には、経営者個人としての借入れは不可能です。そうでなければ、経営者個人でも数十万円、数百万円といった借入れができます。
経営者個人でノンバンクを利用した後、それを会社に貸し付けることで資金繰りは回ります。この場合、会社の勘定科目内訳書の借入金内訳には「経営者からの借入」と記載され、会社がビジネスローンを利用したことは記載されません。
会社がビジネスローンを利用すれば、借入金内訳にはそのように記載され、銀行融資に大きなマイナスとなります。それを避けるために、あえて経営者からの借入れとしておく方が良いのです。
もちろん、銀行が経営者個人の信用情報を照会すれば、「経営者からの借入=ノンバンクからの調達資金」であることがバレます。しかし、バレない可能性もあるため、それに期待して経営者個人での借入れを優先すべきです。
融資可能額が少額でも断らない
審査の結果、融資可能額が少額でも断らないよう注意してください。
ビジネスローンでは、基本的に融資可能額が少額であるため、数十万円しか融資できないと言われることもあるかもしれません。必要資金が大きい場合、「こんな少額では話にならない。契約手続きの時間がもったいないから、断って次のビジネスローンに申し込もう」と考える経営者も多いのですが、それは間違いです。
少額の融資を決定したビジネスローンに申し込んだ時点で、個人信用情報機関には申し込み履歴が掲載されます。これが、次の申し込みで悪影響になる可能性も高いです。次の申し込みを急いだところで、次の申し込み先で資金需要を満たせる保証はどこにもないのです。
ビジネスローンでは、たとえ少額であっても即日融資を出してくれる1社を大切にしなければなりません。借りられるものはしっかり借りるべきです。この姿勢があればこそ、2社目、3社目と融資可能額が減ったとしても、総額で資金需要を満たせる可能性があります。
さらに、銀行融資を受けられずにビジネスローンを頼っている会社では、その後もしばらく銀行からの資金調達は困難でしょう。少額の融資を受けておくと、そのノンバンクと取引を続けるうちに融資枠が増え、即日融資も容易になっていきます。これが、銀行融資を受けられない期間中、資金繰りを回すカギになることも多いです。
もとより多額の融資を望まず、少額でもしっかり借りていくことを意識しましょう。
即日融資を受けられなかった場合の対処法
最後に、ビジネスローンで即日融資を受けられなかった時の対処法を解説します。
即日融資を過信しない
確かに、ビジネスローンには即日融資できる仕組みがあり、実際に即日融資のニーズに応えています。しかし、即日融資を希望する全ての会社に対して、即日融資できるわけではありません。ビジネスローンを提供する会社ごとに、審査の方針は異なります。スピード重視の会社では即日融資の確率が高く、リスク回避重視の会社では即日融資の確率は下がります。
また、申し込む会社の状況も一定ではありません。決算書と信用情報の内容によって、簡単に融資を実行できる場合もあれば、慎重になるべき場合もあります。
このため、まずは即日融資を過信しないことが大切です。即日融資を受けられない可能性も考えておくべきでしょう。その際、融資実行までの期間も様々です。申し込みの翌日、数日後、場合によっては1週間以上を要することもあります。
したがって、資金調達を急いでいる会社でも、せめて数日の余裕があるなかで即日融資を目指すのが理想的です。
どうしてもその余裕がない場合には、ビジネスローンで即日融資を受けられなかった場合に備えて、他の資金調達方法を同時進行することをおすすめします。
ビジネスローンと同時進行すべき資金調達方法
ビジネスローンと同時進行すべき資金調達方法は、ファクタリングや手形割引など、同じく即日での資金調達が可能な方法です。
ファクタリング
即日での資金調達に最も役立つのがファクタリングです。ファクタリングとは、支払い期日前の売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、早期資金化することで資金を調達するものです。
ファクタリングには、自社とファクタリング会社で契約する2社間ファクタリングと、自社・ファクタリング会社・売掛先で契約する3社間ファクタリングがあります。ビジネスローンと並行して即日資金調達を目指す場合には、必ず2社間ファクタリングを利用します。3社間ファクタリングでは、売掛先が関わるため手続きに時間がかかり、即日資金調達が困難なのです。
2社間ファクタリングは、スピードに優れています。2社間ファクタリングを提供する中小ファクタリング会社の多くが即日資金調達に対応可能です。
2社間ファクタリングの手数料は10~20%が相場です。例えばファクタリング手数料が15%の条件ならば、額面100万円の売掛金から85万円を即日で調達できます。
ビジネスローンの即日融資と即日ファクタリングを併用すれば、即日で資金需要をカバーできる可能性は大きく高まります。
手形割引
手形割引もおすすめの方法です。手形割引は、銀行や手形割引専門業者に受取手形を買い取ってもらい、資金を調達する方法です。
手形割引も、ファクタリングと同じようにスピーディな資金調達に適しています。スピードを求めるならば、銀行よりも専門業者に依頼すべきです。それにより、即日での資金調達も可能となります。専門業者での割引手数料の相場は10~20%であり、ファクタリングとほぼ変わりません。
近年、手形取引は大幅な減少傾向にありますが、手形取引をしている会社は手形割引とビジネスローンを併用しましょう。
まとめ
銀行融資が利用できない会社では、ビジネスローンが役立ちます。緊急的な資金需要の場合、ビジネスローンの即日融資は積極的に活用すべき方法です。
もちろん、健全な資金調達とは言い難い方法でもあるため、利用せずに済むならばそれに越したことはありません。普段から健全な資金調達を心がけ、資金繰りの安定を維持することが大切です。
いざというとき、ビジネスローンで即日融資を受ける方法を知っておくと同時に、税理士やコンサルタントといった専門家にも協力を仰ぎながら、資金繰りの改善と維持に務めましょう。
資金調達のプロがお客様の状況をヒアリングした上で適切なアドバイスを致します。
- ・初めて資金調達を行いたい
- ・銀行借入を成功させたい
- ・国の資金調達制度を使いたい
- ・助成金、補助金の申請をしたい
- ・早急に資金が必要
- ・資金繰りの改善をしたい