資金調達

プロパー融資とは?特徴と審査に通るためにできる5つのことを徹底解説!

企業で資金調達をしようとした際、一般的なのは銀行から融資をしてもらうことでしょう。
銀行融資には、「プロパー融資」と「信用保証協会による保証付き融資」があることはご存じですか?

金利を低く抑えることができ、融資限度額がないのがプロパー融資です。
この記事では、そんなプロパー融資について、次のことを徹底解説していきます。

  • プロパー融資と保証付き融資の違い
  • プロパー融資のメリット・デメリット
  • プロパー融資の審査のポイント
  • プロパー融資の審査通過率を上げるためにできること

プロパー融資とは

プロパー融資とは、「銀行から直接融資してもらう」融資方法のことを指します。
そもそも、プロパー(proper)とは「正規の、本来の」という意味を持つ単語です。
プロパー融資というのは「銀行による正規の融資」を表しています。

因みに、銀行の融資には大きく分けて、次の2種類が存在します。

  • 1:プロパー融資
  • 2:信用保証協会による保証付き融資

「信用保証協会の保証を受けていない融資=プロパー融資」ということです。
では、実際双方にはどのような違いがあるのでしょうか。

プロパー融資と保証付き融資の違い

融資を受けた企業が、債務返済が難しくなった場合、融資した銀行は残債分を肩代わりしなければなりません。これを「貸し倒れ」と言います。

信用保証協会の保証付き融資は、企業が信用保証協会に保証料を支払うことにより、銀行融資を受けることができる融資方法です。

債務返済は銀行に行いますが、万が一返済ができなくなってしまった場合でも、信用保証協会が残債の80%~100%を銀行に対して代わりに支払ってくれる仕組みとなっています。

代わりに支払ってもらった後、企業は時間的余裕を持ちながら、銀行ではなく信用保証協会に残債を返済していくという流れになります。

一方、プロパー融資は「銀行が直接行う融資」となっています。
つまり、万が一企業が返済不能となった場合には、貸し倒れリスクを銀行自身が負わなければなりません。

プロパー融資の場合、銀行は自身で貸し倒れリスクを背負う可能性があるので、審査のハードルが高くなっています。

<プロパー融資と信用保証協会の保証付き融資の比較>

プロパー融資 信用保証協会の保証付き融資
対象企業 ・大企業や中堅企業

・実績のある企業

・創業3年以上の企業

・大企業や中堅企業

・中小企業やベンチャー企業も可能

金利設定 1.0%以下~3.0% 約1.5%~3.0%
支払い内容 銀行への利子のみ ・銀行への利子

・信用保証協会の保証料:年率0.45%~2.20%

融資までの期間 銀行審査のみのため短め

(2週間~1ヶ月程度)

銀行審査と信用保証協会の審査があり長め

(1ヶ月~1ヶ月半程度)

返済期間 基本的に短期間 長期間の返済可能
審査の厳しさ 非常に厳しい プロパー融資よりは緩い

プロパー融資の5つのメリット

プロパー融資は信用保証協会の保証を受けない融資であり、以下の5つのメリットがあります。

  1. 保証料がかからない
  2. 融資限度額がない
  3. 金利が低い
  4. 信用力が上がる
  5. 審査日数が短い

1:保証料がかからない

プロパー融資は、信用保証協会に保証料を支払わなくて良い、という点がメリットと言えるでしょう。

信用保証協会の保証を受ける場合には、信用保証協会が貸し倒れリスクを背負うことになるので、保証料を支払う必要があります。
保証料は融資金額により0.45%~2.20%となっています。

一方で、プロパー融資は、銀行との直接取引なので保証料は必要になりません。
利子+αの金額を支払う必要がないのは、メリットと言えるでしょう。

2:融資限度額がない

プロパー融資は、融資限度額がないというメリットもあります。
もちろん審査に通過する必要はありますが、経営が安定しており、融資の使用用途や返済計画が納得のいくものであれば、原則いくらでも借りることが可能です。

一方保証付き融資には、限度額があり、無担保の場合8,000万円、担保があれば2億8,000万円が上限となっています。

事業拡大や新規プロジェクトの立ち上げには多額の資金が必要となるので、融資限度額がないというのは大きなメリットです。

3:金利が低い

プロパー融資は、保証付き融資と比べて金利が低いというメリットもあります。
プロパー融資は「銀行が直接貸し倒れリスクを背負う」可能性があるため、審査が非常に厳しくなっています。

「厳しい審査を通過した企業=信用度が高い企業」となります。
限られた企業であるからこそ、低金利での融資が可能となっています。

4:信用力が上がる

プロパー融資が受けられるというだけで、企業の信用度は格段と上がります。
なぜなら、プロパー融資は銀行が貸し倒れリスクを背負う必要があるため、審査はとても厳しくなっており、その審査に通過したということは、信用度の高い企業の証になるからです。

他の金融機関で融資を受ける場合にも、プロパー融資を受けていることを伝えれば、審査に有利になることでしょう。

5:審査日数が短い

プロパー融資は、銀行融資の中でも比較的審査日数が短いというメリットがあります。
保証付き融資の場合は、銀行の審査に加え信用保証協会の審査もあるため、1ヶ月~1ヶ月半程度の審査期間を要します。

プロパー融資の場合は、銀行の審査のみとなるので、2週間~1ヶ月程度で審査結果が出ることがほとんどです。

審査にかかる日数が短く、融資までの期間も短いのは、借りる側にとって大きなメリットとなってきます。

プロパー融資の2つのデメリット

プロパー融資のデメリットは以下の2点です。

  1. 審査が厳格
  2. 短期間で返済する必要がある

1:審査が厳格

プロパー融資の最大のデメリットは、審査の厳格さと言えるでしょう。
プロパー融資は、銀行が貸し倒れリスクを背負わなければならないため、審査が非常に厳しくなっています。

融資を申し込んできた企業が、きちんと返済することができるかどうか、経営状況や返済計画を含め厳しくチェックされます。

実績がない企業や創業年数の浅い企業、経営状況が不安定な企業は、審査に通ることは難しいでしょう。
審査が厳格で、利用できる企業が少ないという点が、デメリットとなります。

2:短期間で返済する必要がある

プロパー融資は、保証付き融資と比べて返済期間が短いというデメリットもあります。
返済期間が短いということは毎月の返済額が大きく、その期間内に企業の経営が悪化してしまう可能性があります。

ただ、融資する銀行としては、貸し倒れリスクを極力避けるため、返済期間を短くせざるを得ないのです。

プロパー融資の審査で重視される5つのポイント

プロパー融資は低金利かつ、融資額上限がないという最大のメリットがあります。
その反面、貸し倒れリスクを銀行が背負うため審査が非常に厳しくなっています。
プロパー融資の審査で重視されるポイントは次の5つです。

  • 税引き後の当期利益
  • 自己資本
  • 融資希望額と使用用途
  • 業歴の長さ
  • 担保や保証人の有無

1:税引き後の当期利益

プロパー融資の審査に通るためには、企業としての利益を上げることが重要です。
会社の利益を判断する際に重要視されるのが「税引き後の当期利益」となります。

これは「最終利益」とも呼ばれ、人件費や設備費、税金等のあらゆるコストを差し引いて、実際に企業の手元に残る利益が、これに当たります。
売上が多いことが証明できても、最終利益が少ないと企業の利益がないと判断され、不利になってしまうでしょう。

プロパー融資の審査に通過するために、無駄なコストの見直しや節税対策をして税引き後の当期利益が手元に多く残るような工夫が必要です。

2:自己資本

プロパー融資では、自己資本の厚さも重要となります。
企業資産は、他人資本(負債)と自己資本で構成されています。
他人資本とは「将来的に返済が必要な資金」のことで、自己資本とは「返済する必要のない資金=企業本来の資産」のことをいいます。

自己資本が多ければ、企業の経営状態が安定していて、返済能力に問題がないと判断できます。

また、自己資本が資産を占める割合を「自己資本比」といい、この比率が30%を超えると自己資本が十分にあると判断され、プロパー融資の審査に通りやすくなります。

3:融資希望額と使用用途

融資希望額とその使用用途も、審査で重視されます。
経営状態や使用用途に対して「希望額が適切なのか」「必要以上に多くないか」を審査されます。

どういう用途で、どのくらいの資金が必要なのかがハッキリしていれば、審査に有利となります。
必要に応じて決算書や設備見積書、発注書などを提出するのも良いでしょう。

4:業歴の長さ

業歴の長さも、プロパー融資の審査項目の1つとして挙げられます。
業歴が長いほど企業も安定していると判断されるからです。

融資側としては、返済期間中に企業倒産により資金が回収できない事態を最も恐れているため、業歴が長いほど倒産リスクを回避することができるとされています。
一般的には業歴が5年以上あると、実績と信用度が認められ、審査通過率がアップすると言われています。

創業年数が浅い企業は、まず保証付き融資で資金調達をし、5年以上経過したらプロパー融資を申し込むことをおすすめします。

5:担保や保証人の有無

担保や保証人を提供することで、プロパー融資の審査に有利になります。
プロパー融資は保証付き融資とは異なり、銀行にとって貸し倒れのリスクがあります。

万が一返済が難しくなった場合でも、融資金額をカバーできるだけの担保や保証人がいれば、銀行も融資資金を回収することができるため、融資しやすくなるのです。

プロパー融資の審査通過率を上げるための、5つのポイント

プロパー融資の審査を受ける際、次の5つのポイントを抑えるだけで、審査通過率を上げることができるでしょう。

  • メインバンクに資金を集中させておく
  • 未回収の売掛金は回収しておく
  • 決算資料をきちんと作成する
  • 経営計画書は可能な限り提出する
  • 審査面談では余計なことは話さない

1:メインバンクに資金を集中させておく

いくつかの銀行口座を有している場合は、メインバンクに資金を集中させておくことをおすすめします。
メインバンクに資金を集中させておくことで、次のメリットが生まれてきます。

  • 事業が安定していることが分かる
  • お金の流れが分かる
  • 返済能力があると判断されやすくなる

安定している企業かつ、資金もある企業だと判断できれば、銀行も融資しやすくなるでしょう。

2:未回収の売掛金は回収しておく

未回収の売掛金があると、実際は売上があるにも関わらず通帳には記録が残らなくなってしまいます。
未回収の売掛金がある場合は、ファクタリングで回収しておくことをおすすめします。

ファクタリングは、売掛債権(未入金の請求書)を買い取ってくれるサービスです。
買取の際に1.0%~30.0%の手数料はかかりますが、手早い現金化ができるサービスとなっています。

担保や保証人も不要となる買取であるため、信用情報に影響を与えることなく現金化することが可能です。
ファクタリングで回収した売掛金をメインバンクに移しておけば、審査時の評価も上がりやすくなるでしょう。

3:決算資料をきちんと作成する

審査時には、損益計算書と貸借対照表を細かくチェックされ、精度の低い決算資料は銀行からのイメージを悪くさせます。

可能であれば、税理士に決算資料の作成を依頼し、信頼度の高い資料を提出することをおすすめします。

また、税理士は経理や税務のプロであるため、プロならではのアドバイスや注意点を教えてくれることも多いです。

4:経営計画書は可能な限り提出する

プロパー融資の審査では、経営計画書の提出は必須ではありません。
しかし、経営計画書があると、資金調達が必要な理由や、その使用用途がはっきりします。

先を見据えた経営能力があることもアピールできるチャンスなので、提出できない理由がない限り、なるべく提出した方が良いと言えるでしょう。

5:審査面談では余計なことは話さない

プロパー融資の審査は、銀行の担当者と1時間程度の面談を行う必要があります。
提出書類と面談内容に差違はないか、などもチェックされますので、審査前に一度自社の財務状況の再確認をしておくことをおすすめします。

面談時には、次のことを注意しましょう。

  • 提出書類と差違が生じないようにする
  • 差違がある場合は納得のいく説明をする
  • 余計なことは話さず、聞かれたことだけ的確に答える
  • 人柄もチェックされるため、堂々かつ礼儀正しく振る舞う

まとめ

本記事では、プロパー融資のメリット・デメリットおよび、審査の重要ポイントを解説してきました。
プロパー融資は利子が低く、融資上限もないという最大のメリットはありますが、とにかく審査が厳しいというデメリットもあります。
企業としては、できることならプロパー融資を受けたいはずです。
記事内でのポイントや注意点をしっかり把握して、プロパー融資に申し込んでください。

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