資金繰りの悩みを抱えてしまっていることも多い個人事業主も、ファクタリングを活用することで安定した資金調達が行える可能性が高めることができます。この記事でご紹介する、個人事業主がファクタリングを利用する際の注意点と得られるメリットを知ることが、この資金調達方法のポテンシャルを最大限に発揮させるための近道となります。
※ファクタリングについて基礎から知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『ファクタリングの仕組みとは?メリット・デメリットや利用の流れを解説』
ファクタリングは個人事業主も利用可能
ファクタリングは法人を対象とした資金調達方法と紹介している記事を、インターネットなどで見かけたことはあるでしょうか?
ほとんどのファクタリング会社は法人を対象としているのは事実ですが、これは個人事業主は対象外というわけではありません。
全てではないものの多くのファクタリング会社では個人事業主やフリーランスも対象としており、売掛金をお持ちであれば利用することが可能です。
個人事業主がファクタリングを利用するための注意点
個人事業主の方は法人と比べるとファクタリングの利用の際には制限があります。また審査に関しても若干厳しくなる傾向はあるようです。
しかし前もって注意点を知っていれば対処すること自体は難しくはありません。個人事業主がファクタリングの申込みを行う前に知っておくべきポイントをご紹介します。
必要条件を満たしていれば審査通過は難しくない
以下の条件を満たしていれば、ファクタリングの審査に通過することはそう難しいことではありません。
- 信用力の高い売掛先からの債権
- 継続して取引を行っている取引先
- ある程度まとまった額の売掛金
しかし個人事業主の場合は、取引先が小規模で信用力が高いとは言えない状況であったり、50万円以下など債権の額が小さめだったりということが少なくはなく、そのような場合には審査に影響することもあります。
これが法人と比較して利用しにくいと言われる理由にも繋がりますが、逆に言えば条件を可能な限り満たす売掛金を用意することで、審査通過できる確率を高められることになります。
法人限定の場所もあるので要注意
ファクタリング会社の中には利用対象者を「法人のみ」と限定している場所があります。この場合は個人事業主が利用することは残念ながらできません。
条件的に良かったからと申し込んでも、対象外と断られてしまうことがないように利用対象者については確認しておくことをおすすめします。
もっとも法人に限定しているファクタリング会社は決して多くはありませんので、それほど心配しなくても大丈夫です。
また、こちらも数は多くないものの個人事業主に特化したファクタリング会社も存在しています。
債権譲渡登記が必要だと利用できない
売掛先に対して債権の売却をするための承諾や通知を行なわない「2社間ファクタリング」は、取引先に対してファクタリングの利用を知られたくない時にはありがたい契約方法です。
しかし2社間ファクタリングを利用する際には「債権譲渡登記」を求められることがあります。債権譲渡登記は法人でないと行うことができないため、個人事業主は利用できません。
なお、3社間ファクタリングは原則債権譲渡登記は不要ですが、求めない会社がないわけではありません。
そのため、ファクタリングを利用する際は、債権譲渡登記の有無を確認する必要があります。
手数料が思ったより高額になることがある
ファクタリングを利用する際に必要となる手数料は、債権の回収に関するリスクによって大きく変動します。
この場合も債権の信用力などが影響し、買取を希望した企業の経営状況なども少なからず審査には影響します。
その結果、手数料が少し高めに設定される可能性があり、債権の額が小さいほどに額面から目減りする割合が大きくなることになります。
しかし信用力の高い債権を用意するなどできれば、手数料は低く設定されやすくなりますので、「個人事業主=手数料が高い」というわけではありません。
個人事業主がファクタリングを利用するメリット
ファクタリングを利用する際に少し注意や心構えが必要なのは事実ですが、ファクタリングが個人事業主の資金繰りに向いており、多くのメリットを与えてくれるのも間違いのない事実です。
なぜファクタリングが個人事業主向けと言えるのかという理由も含め、この資金調達方法を利用して得られるメリットを解説します。
審査基準が個人事業主向き
ファクタリングの審査において、申込みを行った企業の経営状況はあまり大きくは影響しません。売掛先の経営状況や取引実績が重要となりますので、申込みを行った企業が赤字・税金滞納という状況でも程度が重くなければ利用することは十分に可能なのです。
経営状況などを理由に融資の審査を断られてしまうことが少なくない個人事業主にとって、ファクタリングは利用しやすい審査基準と言えるのではないでしょうか?
担保も保証人も不要
債権を担保とした融資ではなく、債権を売却して行う資金調達方法であるファクタリングでは、担保も保証人も不要で契約することができます。
不動産などを担保として設定したり、保証人となってくれる相手を探すのは精神的にも労力的にも軽いものではありません。
また個人事業主の方の中には適当な担保が用意できないという方もいらっしゃるはずです。担保も保証人も不要であれば、そんな苦労をしなくて済みます。
返済に追われない
ファクタリングの利用には手数料が必要ですが、手数料の支払いを行うのは一回だけです。また債権の額面から手数料が引かれた形で現金を受け取ることになりますので、実際には現金を用意せずに済むのが大半です(登記費用や印紙代が別途必要になることはあります)。
毎月、利息を含めて返済を続けるのと比べると「返済に追われない」という大きなメリットが得られることになります。
貸借対照表のスリム化で融資が受けやすくなる
融資ではない資金調達方法であるファクタリングは、売掛金が手数料を引かれて現金に変わるだけであり、負債を増やすことはありません。
ですので貸借対照表の肥大化を防ぎ、スリム化までもが期待できます。貸借対照表は会社の経営状況を判断する資料ともなりますので、会社価値を高めてくれる効果も期待できるのです。
売掛先が倒産しても保証を求められない
ファクタリングはノンリコース(償還請求権なし)と呼ばれる契約方法が一般であり、もしも売掛先が倒産したとしても債権売却後に保証を求められることがありません。
売掛金担保融資の場合、倒産した場合は買い戻しを求められる可能性が高いのですが、そのような心配は無用ということになります。この安心感も個人事業主にとっては重要なポイントとなるはずです。
申込み即日など素早く資金調達が行える
最短即日で債権を現金化できる資金調達スピードも、個人事業主にとって大きなメリットとなります。急遽まとまった額の現金が必要になった際にも、売掛金さえ手元にあれば資金調達を行うことができます。
多くの個人事業主は手元に潤沢な資金はないかも知れませんが、ファクタリングが利用できれば慌てずに済む可能性が大きくなります。
個人事業主におすすめのファクタリング会社の条件
ファクタリングが個人事業主にとって頼りになる資金調達方法であることはご理解いただけたでしょうか?ここからは特に個人事業主におすすめなファクタリング会社の見つけ方を解説します。以下の条件を満たすファクタリング会社ならば、満足できる資金調達ができるはずです。
少額債権の買取に対応している
10万円以上などの条件はあることが多いものの、少額債権の買取を得意としているファクタリング会社は個人事業主の方にとって利用しやすい場所と言えます。
少額債権を複数用意して合算する形で申込む方法もありますが、少ない額の債権に対応可能であれば利用できる場面も増えるのは間違いありません。
オンラインでの手続きができる
個人事業主の方はファクタリングの契約手続きに時間がかかると、仕事に影響がでてしまう可能性もあるはずです。そのような心配があるのであればオンラインに強いファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
書類提出がメール添付などで行えたり、リモートでの面談やオンライン契約が可能な場所もありますので、利用すれば仕事への影響を大きく減らすことが可能です。
債権譲渡登記なしでも利用できる
3社間ファクタリングをご希望であれば、債権譲渡登記無しで3社間ファクタリングが利用できる場所を探しましょう。すでに解説したとおり、個人事業主は債権譲渡登記を行うことができません。
ですからこの登記を必要としない場所以外では3社間ファクタリングは行えないということになりますので、売掛先に知られる危険を可能な限り低くしてファクタリングを行いたい場合には「債権譲渡登記なしでの3社間契約」が必須と言えます。
ファクタリングは個人事業主こそ利用すべきです
法人向けと言われることもあるファクタリングですが、審査基準や得られるメリットを考慮すれば「個人事業主こそ利用すべき資金調達方法」と呼べる存在です。
多くの個人事業主が抱えている資金繰りに関する悩みを改善してくれる可能性も高い資金調達方法ですので、またご利用でないのであれば利用を検討してみることをおすすめします。