「不動産担保融資」は、通常の金融機関からの融資よりも、好条件で貸付がされやすいのが大きなメリットです。しかしメリットだけでなく不動産を担保とすることで発生するデメリットも知った上で利用しなくてはなりません。ぜひ知っておいていただきたい豆知識と併せ、「不動産担保融資の基礎知識」をご紹介します。
その名の通り「不動産を担保にした融資」
不動産担保融資とは、この名称を聞いた方の多くが想像する通り、「不動産を担保として設定し融資を受ける」金融商品です。自宅や店舗などを担保に入れることに抵抗がある方も少なくはないかも知れませんが、魅力的なメリットが幾つもあるのです。頭ごなしに否定するのではなく、どんな特徴があるのかを知った上で一度検討して見るだけの価値はあります。
不動産担保融資のメリット
担保を設定するということは、貸付を行う側である金融機関に対して大きな安心感を与えることになります。そしてそれは結果として融資を受ける側にとっても大きなメリットを与えてくれるのです。多くの経営者様が期待している「審査通過率アップ・高額融資・低金利・長期の返済期間」などを現実としてくれる可能性を、不動産担保融資は秘めているのです。
無担保よりも審査通過の可能性が増す
中小企業や個人事業主は融資の審査に通過しづらいと言われています。その大きな原因となるのは中小企業や個人事業主への貸付は「回収リスクが高い」と金融機関が考えているからです。しかし不動産を担保として設定することができれば、金融機関側はいざという時には担保を競売にかけるなどして得たお金を返済に充てることができます。つまり、回収リスクを大きく下げることができるのです。ですから不動産担保融資なら、中小企業や個人事業主も審査に通過できる可能性が高くなります。
高額融資の期待が高まる
担保に入れる不動産の資産価値によって大きく変動しますが、設定した担保次第では億単位の高額融資を受けられる期待があります。会社規模や経営状況の問題などで多額の融資は期待できない状況だったとしても、不動産担保融資を活用すれば設備投資や事業拡大のための資金を準備することも不可能な話ではなくなります。
資金使途は原則自由
不動産担保融資を利用して手に入れた資金の利用目的は原則自由となっており、運転資金や設備投資などに充てるだけでなく、納税資金など何に使っても問題ありません。ただしこれはあくまでも原則であり、一部ですが事業性資金には使えないと定めている商品も存在していますので確認は必要となります。
低金利が設定されやすい
資金使途が原則自由でありながらも、不動産担保融資は無担保で貸付が受けられるビジネスローンなどと比較して圧倒的に低金利です。これは不動産を担保に入れることで回収リスクが大きく下がるからこそです。融資を受ける際にはやはり金利は気になるポイントですから、不動産担保融資を利用する最大のメリットとなるかも知れません。
長期の返済計画が可能
これも回収リスクが低くなる影響ですが、長期の返済期間を設定されやすいのも特徴です。融資額や担保に入れる不動産によって大きく変動することになりますので一概には言えないのですが、20年・30年という長い年月の間で無理せずコツコツと返済していくことが可能となります。返済期間が長くなるということは利息も多くなりがちです。しかし低金利での融資を受けられることで負担はあまり大きくならずに済みます。
不動産担保融資のデメリット
不動産担保融資に多くのメリットがあるのは事実です。しかしどんな企業に対してもおすすめできるわけではありません。自宅や店舗などの不動産を担保に入れることで発生するリスクや、この金融商品を利用する上で知っておくべき発生するかも知れないデメリットを理解しておかなければ、後で大きな後悔をすることにもなりかねません。
土地や不動産を失うリスク
万が一ですが返済ができなくなってしまった場合には、担保に入れた不動産を失うことになってしまいます。これが不動産担保融資の最大のデメリットと考える方が多く、実際にこのリスクを恐れて利用に踏み切れない方も少なくはありません。また担保を渡しても完済できないこともあり、その場合は不動産を失っただけでは済まずに負債が残ってしまうことになってしまうのです。
不動産の調査時間が必要
担保に設定した不動産に関しての調査が必要になるため、審査時間がどうしても長くなりがちです。ビジネスローンなどでは翌日融資を受けられる可能性もありますが、不動産担保融資でそこまでのスピードを実現できる可能性はまずありません。融資までの時間が長くなりがちなことを想定した上で申し込まないと、必要なタイミングに資金調達ができずに悔しい思いをするかも知れないのです。
登記費用などの諸費用が発生する
登記費用などや印紙代など、諸費用が発生してしまうことも覚えておく必要があります。融資を希望した額などに影響されますが登記費用だけでも数万円かかり、総額では数十万円もの費用を払うことになってしまう可能性もあります。ですから融資を受けるまでに、幾らかは手元に現金が必要になります。
解約や繰り上げ返済時に手数料がかかることがある
全ての金融機関がそうではありませんが、一部の不動産担保融資では繰り上げ返済などを利用して前倒しで完済した際には「違約金」を求められることがあります。違約金は解約する時点での残額の数%程度ですが、早い段階で解約した場合には思った以上の高額の支払いを行なわなければいけないかも知れません。
不動産担保融資の豆知識
これまでご紹介した以外にも不動産担保融資には知っておくべきポイントがあります。大きな影響はないかも知れませんが、見方によってはメリットにもデメリットにもなる可能性もありますので、是非ご一読ください。
不動産の所有者=連帯保証人では無い
不動産担保融資では連帯保証人なしで融資を受けられることが多く、必要となった場合でも担保とした不動産の所有者が保証人にならなければいけないわけではありません。ただし代表者が連帯保証人になることを求めている金融機関も存在しますので、貸付条件などを確認するようにしてください。
不動産登記簿への記載がされる
担保に設定された物件などは、不動産登記簿に抵当に入れたことが記載されてしまいます。登記簿を確認されることがあればの話ですが、関係者などに知られてしまうことも考えられるのです。担保に入れたこと自体は何も問題は無くとも、変に勘ぐられてしまう可能性はゼロではありません。
会社名義の不動産以外も担保設定可能
会社名義の不動産が無かったり経営者様が担保に相応しい物件を持っていないとしても、親族などの不動産を担保に設定することが可能です。しかし調査を受け金融機関側に担保として認められなくてならず、全ての不動産が担保にできるということではありません。
不動産担保融資なら中小企業も融資が受けやすい
担保として設定できそうな不動産をお持ちであれば、不動産担保融資を利用することで、融資の審査通過が容易ではないと言われる中小企業や個人事業主の方も融資が受けられる可能性が高くなります。しかも高額融資や低金利などの好条件が期待できますので、検討だけでもしてみる価値は十分にあるはずです。
リスクを考慮して利用することが何より重要
不動産担保融資の利用を検討する際には「リスク」もしっかりと考慮してください。無理のない返済計画を立てるのが最も大切ではありますが、甘い考えで担保を失うことは避けなくてはなりません。また担保の価値は年々変化していきますので、いざという時に担保だけでは補いきれないということも考えられます。「担保があるから返済はできる」という考えも非常に危険です。好条件は魅力ですが、しっかりとリスクについても考えてから利用しましょう。