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事業者ローンを徹底解説 ビジネスローンや商工ローンとは何が違う?

中小企業にとって利用しやすい資金繰りの方法をインターネットなどで探していると、「事業者ローン」という言葉を見つけることがあるかも知れません。また事業者ローンについて調べていると、今度は「ビジネスローン」や「商工ローン」というキーワードと出会ったという方も少なくないはずです。ある意味では同じであり、しかし本当は違う「事業者ローン・ビジネスローン・商工ローン」について、何が違って実際はどんなサービスなのか?メリットやデメリットも含めて解説していきます。

事業者ローン・ビジネスローン・商工ローンは全部同じ?

ネット情報を検索してみると「事業者ローン・ビジネスローン・商工ローン」は同じものであるという記事に行き着くかも知れません。「ローン」と名が付くことから3つ全てが金融商品であることは確実だと思われるはずですが、もし同じであればなぜわざわざ違う呼び方をしているのでしょうか?

今は同じ扱いだが、元々は同じではない

実際、今現在の扱われ方としては3つの呼び名とも同じと考えて問題はありません。しかし生まれた経緯などに違いがあり、元々は同じでは無いのです。名前の違いには生まれた経緯以外にもイメージ戦略なども影響していますが、サービス内容に差異はなく現状では名前の違いをあまり気にしなくても大丈夫です。

ビジネスローンとは?

元々は銀行が開発した中小企業や個人事業主向けに行うローンサービスのことでしたが、現在はビジネスローンを取り扱う銀行は減少し、代わりに商工ローンと名乗っていた商品の多くがビジネスローンと呼び名を変えるようになりました。

商工ローンとは?

勘違いされやすいのですが、商工会議所が絡んでいる金融商品ということではありません。
元々は消費者金融などのノンバンクが開発した中小企業向けの商品だったのですが、一部の商工ローンが脅迫紛いの強引な取り立てを行ったことが会問題に発展してしまいました。その影響でイメージが大きく低下し、この事件が多くの商工ローンがビジネスローンや事業者ローンという呼び名に変える大きなきっかけとなりました。

事業者ローンとは?

個人事業主や法人問わず事業者を対象とした金融商品の総称の様な使われ方をします。現在に至っては商工ローンやビジネスローンとの差は無いものとして考えていただいて特に問題はありません。「中小企業が審査に通過しやすく、原則的に無担保で契約でき事業資金として活用可能な金融商品」というサービス内容は全てに共通しています。

現在、一般的な呼び名はビジネスローン

事業者ローンという呼び名は現在も使われていますが、商工ローンはイメージ的な問題がありほとんど使われることはありません。3つの呼び名の中で一般的に使われる機会が多いのは「ビジネスローン」です。一般消費者向けの商品がカードローンであり、事業者向けがビジネスローンとして広く認知されつつあります。

カードローンは事業資金の調達には使えない

ビジネスローンと似たようなサービスとしてカードローンが存在しますが、カードローンで借り入れしたお金は事業資金として利用することはできません。また契約対象が個人であるか事業者であるかという違いもあります。仕事で使えるのはビジネスローンであり事業者ローンであると考えていただければ、大きな問題はありません。

事業者ローンの特徴

事業者ローン(ビジネスローン・商工ローン)には、この商品ならではのメリットが幾つかあり、知っておいていただきたいデメリットも残念ながら存在しています。それらを正しく理解しておくけば、事業者ローンを使いこなすことは難しくなくなります。

融資までに必要な時間が短い

必要な書類を素早く用意し早い時間から手続きを開始することができれば、即日で契約を完了し資金調達をすることも可能となります。これは事業者ローンが、申込時に入力した内容などを点数化して機械的に合否を判定する、スコアリングと呼ばれる審査方法を採用しているからこそ実現できる早さです。即日融資はあくまで最速の話ですが、ほとんどの事業者ローンで1週間もあれば融資が受けられますので、銀行などでの一般的な融資と比較すればスピードの差は歴然です。

中小企業も審査に通過しやすい

幾ら審査が早くても通過するのが難しくてはあまり意味が無いのですが、事業者ローンは中小企業向けの商品ですので審査通過は比較的難しくはありません。また無担保・無保証で利用できることが大半ですので、それらを容易しなくて済む分だけ利用の際のハードルも低くなります。

総量規制の対象外

事業者ローンを利用して融資を受けたお金は総量規制の対象外です。総量規制とは年収の3分の1までしか借入ができないという制限であり、消費者金融などからの借入はこのルールの対象となります。しかし事業者ローンの場合はノンバンクからであっても総量規制による制限を受けることはありませんので、年収の3分の1を超えた融資を受けたとしても法律の上では特に問題にはなりません。

高額融資はあまり期待できない

事業拡大のために多額の資金が必要となった場合には、事業者ローンではまかないきれない可能性があります。最大限度額が300万円程度の場所が多く、大手以外では1000万円を超える借入が可能な事業者ローンは多くは無いのです。また最大限度額が設定される可能性は高いとは言えませんので、最大限度額だけで選んでも期待に応えてはくれないかも知れません。

金利が高め

銀行や日本政策金融公庫からの融資ならば低金利も期待できますが、事業者ローンの場合は10%台の金利が設定されることも多く、他の融資商品と比べて金利が高くなりがちです。限度額が低くなりやすいので、結果的に利息は大きくならずに済む可能性も高いのですが、金利が高いのはやはりデメリットとなります。

事業者ローン利用前のチェックポイント

事業者ローンは貸付条件などに各社違いがあります。金利については多くの方がチエックするはずですが、それだけでは十分とは言えません。これからご紹介する条件についても見逃さず、本当に希望を叶えてくれる場所かどうかをしっかりと確認しましょう。

担保や保証人が必要かどうかを確認する

事業者ローンの多くは無担保で利用可能です。また保証人に関しても原則不要ですが、法人の場合は代表者が連帯保証人になることを求められることが多く、この点に関しては理解しておく必要があります。無担保・無保証人はあくまで「原則」であり全てでは無いので、申込みを考えている商品が本当にそうかはちゃんとチェックしておくことをおすすめします。

証書貸付方式か極度貸付方式かを確認する

一般的に証書貸付方式と言われるのは、契約時に一括で借入を行い完済後は必要とあれば再度契約を行う方法です。そして極度貸付とは審査によって決定される極度額や利用限度額の範囲であれば何度でもくり返し融資を受けられる方式のことを呼びます。極度貸付は完済する前であっても追加での借入が可能です。大半の事業者ローンは極度貸付方式が採用されていますが、これも全てと言い切ることはできませんので確認しておく意味はあります。

上限の金利と最大限度額を確認する

多くの方が目を向けるのは「下限金利」なのですが、実際のところ下限が設定される可能性はかなり低く、注意して見ていただきたいのは上限金利の方です。特に初回契約時には上限に近い金利が設定されることが多いので参考になるはずです。いきなり最大限度額が設定されることも稀ですが、こちらもどこまで増額できるかの参考にはなりますので確認しておきましょう。ちなみに最大の限度額が設定されるぐらいになれば、下限金利での借入できる可能性も高まります。

事業者ローンは資金繰りの役に立つ!

今現在においては「事業者ローン・ビジネスローン・商工ローン」の違いをあまり気にする必要はありません。これらはつなぎ融資のために利用したり、極度貸付方式の場所で契約だけしておきいざという時に利用するなど、様々な使い方が想定できる商品でもあります。事業者ローンは金利の高さに注意しながら少額借入を中心に利用するようにすれば、そのスピードのおかげで資金繰りに大いに役立ってくれる中小企業の強い味方なのです。