資金調達のために銀行からの融資を利用しようとお考えの経営者様、すでに政策金融公庫の利用はご検討されたでしょうか?特に中小企業にとっては銀行からの借入よりも頼りになるかも知れないのが日本政策金融公庫です。この記事を読み、この資金調達先を利用することでどんなメリットがあるのかを知り、今選ぶべきは銀行なのか日本政策金融公庫なのかを一度検討してみてはいかがでしょうか?
政策金融公庫って何?
政策金融公庫は正式名は「日本政策金融公庫」であり、「日本公庫」という略称でも呼ばれています。100%国が出資している政策金融機関で、「民間金融機関の補完」を目的として活動しています。わかりにくいですが簡単に言ってしまえば、「民間の銀行などでは融資が受けづらい中小企業への融資を積極的に行うのが目的」という様になります。
融資の対象となる業種は?
非常に多くの業種を融資の対象としており、対象外になる業種の方が稀です。具体的に対象外となりやすい業種を挙げると「風俗業・賃金業・娯楽業(ギャンブル関係)・政治団体」などです。つまり政策金融機関として融資を行うのに問題があると考えられる業種は融資を断られる傾向があります。ただし対象の業種であっても一定以上の規模がある企業は融資の対象外となります。資本金や従業員数によって決まりますが、業種ごとに基準が変わりますので、従業員50人以上で資本金が5000万円以上の企業あれば一度確認しておくことをおすすめします。
政策金融公庫で融資を受けるメリット
中小企業への融資を積極的に行っている日本政策金融公庫には、銀行からの融資よりも多くのメリットが存在しています。金利などすぐに得られる利点以外にも、今後銀行からの融資を受ける際にも好影響を与えてくれたりもするのです。日本政策金融公庫を選ぶべき理由ともなる、様々なメリットをご紹介します。
低金利で融資が受けられる
「新創業融資制度」など様々な融資制度が政策金融公庫には用意されています。その中でどの制度を選び、さらに担保や保証人を設定するかによっても金利は変わってきますが、ほとんどの場合で高くても2%台の金利での借入が可能です。担保を設定する融資を希望した場合には0.3%台という想像以上の低金利の借入を期待することができます。いずれにしても同条件であれば、銀行からの借入よりも低い金利になることが少なくはありません。
担保や保証人無しで利用できる制度がある
選択した融資制度にもよりますが、保証人や担保不要での借入が可能です。担保や保証人を用意するのは手間もかかりますし気持ち的な負担も小さくは無いはずですから、不要であれば融資を申込みやすくなるのではないでしょうか?ただし前述している様に担保は金利にも影響する要素ですので、金利などとの兼ね合いで判断することをおすすめします。
他の金融機関よりも審査に通過しやすい
政策金融公庫の目的として大きいのは、中小企業の資金繰りの手助けです。ですから貸し渋りをして倒産などとなってしまっては、目的が達成できなくなってしまいます。もちろん融資を受けるには審査があり決して甘いと言うことはできませんが、銀行など民間からの融資と比較すればハードルが低いのは事実です。実際、銀行からの融資は断られたが日本公庫は利用できたという企業は数多くあるのです。
融資の実績を積むのにも最適
融資を受ける際には「融資実績」も少なからず審査に影響します。過去に融資を受け問題なく返済することができていれば、金融機関からの信用を高めることができるのです。つまり政策金融公庫からの借入を行うことで、その他の金融機関からの借入ができる可能性も高めることができるということになります。
返済期間を長期に設定可能
選択した融資制度によって大きく異なりますが、長期の返済期間を設定してもらいやすいのも特徴です。設備投資目的であれば最長で20年まで可能であったりと、コツコツと無理無く返済しやすいのも大きなメリットとなるはずです。
知っておきたいデメリット
非常に頼りになる政策金融公庫ですが、デメリットとなる要素も無いわけではありません。悪い意味で政策金融機関らしい問題点とも言え、それほど大きな問題にならない可能性もあるのですが、前持って知っておけば心構えもできるのではないでしょうか?
素早い資金調達には向かない
銀行からの融資と大きな違いは無いのですが、政策金融公庫からの借入は審査などを含めて1ヶ月近い期間が必要となります。その時期の申込み件数などによっても変動しますが、早くても3週間程度は考えておくべきですし、申込みが重なった場合には1ヶ月を超えることもありえます。ですから緊急時の資金調達先としては日本公庫は優秀とは言えず、ビジネスローンやファクタリングなどを利用し、つなぎ資金の獲得を考える必要も出てきます。
手続きに手間がかかる
融資を受けた後の事業計画や、返済に関する計画書など必要書類が多いのもデメリットの1つです。提出だけでなく書類を元にして説明を求められることもありますので、きちんと準備しておくことが借入までの時間を短くし、審査を通過するためにも重要となります。
日本公庫にある3つの窓口の違い
日本政策金融公庫には「農林水産事業・国民生活事業・中小企業事業」という3つの窓口が存在しており、それぞれで取り扱っている融資制度や融資対象に違いがあります。もちろん何もわからなくても相談すれば最適な窓口を教えてくれますが、いざという時に焦らないで済むためには「3つの窓口の違い」を知っておくと有効です。
農林水産事業
その名の通り、天候の影響を大きく受け、安定した収入を得ることが容易ではない農林水産業者の方を支援しています。主となるのは融資ですが、他にも経営に関するアドバイスなども行ってもらえます。家畜の伝染病や自然災害による経営悪化時のサポートなど、セーフティネットとしての役割も担っています。
国民生活事業
小規模事業者を中心に、幅広い規模や業種の企業に対する支援を行っています。各種セミナーを開催や創業企業に対する創業計画書の作成サポートなどを行っている他、教育ローンも取り扱っています。
個人事業主は国民生活事業へ
国民生活事業から融資を受けている約90%は、従業員が9人以下の小規模事業者であり、個人事業主やフリーランスの方の相談実績も豊富です。融資額の平均は約700万円、総融資件数の80%以上は無担保で融資を行っており、担保を用意せずとも高い確率で融資を受けることができます。
中小企業事業
こちらも名前の通り中小企業に対する支援を中心に行っています。ビジネスパートナーを探している企業に対して全国各地にある企業を紹介する、マッチング支援などのサービスも受けられます。
一定規模以上なら中小企業事業へ
中小企業事業から融資を受けている約80%は従業員数20人以上であり、資本金に関しては約90%が1000万円以上ですから、国民生活事業とどちらに相談すべきか迷った時は、このデータを参考にしてみてください。既に4万を大きく超える企業に対して融資を行っており、平均融資額は約1億円と大きな額の融資にも対応可能です。また融資の半数以上は返済期間5年以上ですので、無理をしない返済計画が立てやすいのも特徴です。
銀行融資と日本公庫はどっちを選ぶ?
銀行と日本政策金融公庫(日本公庫)からの融資を比較した場合、審査に通過しやすいのは日本公庫です。また金利の面でも非常に優秀であり、あえて銀行を選ぶ理由は見つかりません。それでも銀行を選ぶ理由があるとするならば、「中小企業と呼べない」場合です。中小企業への支援を目的としている日本公庫では、上場企業など大企業に対する融資は役割に含まれていませんので、この場合は銀行融資を選ぶべきです。
銀行融資を申込む前にまずは日本公庫へ相談を!
低金利で長期間の返済期間が設定されやすい日本政策金融公庫は、中小企業がまず頼るべき場所です。銀行融資が断られた企業も利用できる可能性があると言われていますが、落ちてから利用するのではなく、最初から積極的に利用することも考えてみてはいかがでしょうか?