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長期運転資金のメリットとデメリットを徹底解説!長期運転資金の具体的方法も紹介します!

「これから始まる事業の資金繰りが心配・・・。」

「今進めている事業に影響が出ないように新事業を成功させたい。」

こんな悩みを持っている会社経営者の方、いませんか?

例えば、新しく事業を拡大するとなると、その分機材や人材が必要になり、出費や人件費など、どうしても費用がかかることが多くなりますよね。

そんなとき必要となるのが会社の運転資金です。

運転資金がもし不足している場合、今は黒字の成績だとしても今後事業に必要になる物や人にお金をかけられなかったり、更なる会社の業績アップの可能性をなくしてしまったりすることもあり得ます。

最悪の場合『資金繰りがうまくできずに倒産してしまう』こともあるかもしれません。

安定した経営を続けていくために必要な運転資金の確保は、最優先事項といっても過言では無いです。

この記事では、運転資金の概要やその種類を説明し、その中でも特に最近多くなってきている長期運転資金について、より詳細に解説しています。

最後には、運転資金をどのように調達すればいいのか、具体的な調達方法の紹介もしているので最後まで目を通してみてください。

運転資金とは

運転資金とは「会社を日々経営するために必要となる資金」のことです。

商品の仕入れや、従業員への給与、店舗を構えている場合は家賃や光熱費も含め、企業が経営を維持していくために必要となる様々な費用のことをいいます。

この運転資金が不足していると、取引先への支払いができず、店舗の維持もできず、従業員への給与を払うこともできません。

そのような事態になってしまったら、会社を継続していくのは難しくなります。

これを防ぐためには、会社は常に必要な資金を蓄えておくか、金融機関から借り入れなどをして資金を調達しなければなりません。

一般的に会社の運転資金は粗利益の3ヶ月〜6ヶ月の貯蓄が必要といわれています。

運転資金の種類

では、運転資金の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは以下の項目に沿って説明していきます。

  1. 大きく分けて2つ!「変動費」と「固定費」
  2. 「長期運転資金」とは?
  3. 「短期運転資金」とは?
  4. 似ているようで違う!「運転資金」と「設備資金」

1.大きく分けて2つ!「変動費」と「固定費」

運転資金には「変動費」と「固定費」の2種類に分けられます。

「変動費」とは

変動費とは、「売上と連動して日々変動する費用」のことです。

例えば、工場で商品を生産すると生産した分だけコストがかかります。

売上が上がると、材料費やその仕入れ費、消耗品費、外注費など、商品の生産に必要な費用が増えます。

すなわち、それだけより多くの商品やサービスの提供が必要になるということです。

反対に売上が下がれば費用も減る、ということになります。

「固定費」とは

固定費とは、「売上の増減に関わらず常に一定額必要になる費用」のことです。

事業所や店舗の家賃、管理費、従業員の給与、広告宣伝費、火災保険などの保険料などが固定費にあたります。

もしかすると「残業をすれば給与は変わるのでは?」「広告費は広告の量によっても変わりそう」というように思った方もいるかもしれません。

ここで言う”固定”とは、「金額が変わらない」ということではなく、「売上に連動しない」かつ「生産活動をしない場合でも常に一定額発生する」というものとなります。

会社を経営するにあたり、売上に関係なく毎月必ず必要になる費用と考えましょう。

2.「長期運転資金」とは?

会社を経営していく上で、長期にわたり資金が必要になったり、あるいはその返済が長期になったりする場合があります。

そのような資金のことを長期運転資金と呼びます。

例えば、会社で新たな事業をスタートさせることになったとします。

しかし、店舗や商品、人員などがいなくては何も進めることはできません。

そういった準備にも資金が必要になりますが、経営を進める上では必要な分の資金を借りて、売上によりその資金を回収できたら返済する、といったサイクルも必要になります。

つまり、そのような経常運転資金は本来であれば短期資金として扱うはずです。

しかし、実際には銀行の現場において経常運転資金は長期資金として対応するのが一般的です。

なぜなら、銀行側からすると一度融資した資金を回収してまた融資するということは、その都度事務的な手間がかかってしまうからです。

さらには、短期資金は金利が低い=銀行側へ入る収入が減ってしまうことになります。

であれば、長期で資金を貸したままにすることで、事務的な手間を省くこともでき『金利を高くできる=収入が増える』ことが可能となるのです。

そのため、銀行にとって都合の良い長期資金として対応することになります。

長期運転資金の借入期間については3年〜5年が主流であり、場合によっては10年を超えることもあります。

なお、この後で説明しますが、設備資金の場合は10年〜長ければ30年での返済もあるようです。

しかし、長期運転資金は審査のハードルが高く、担保や信用保証、継続的なキャッシュフローの見込みがないと借入が困難な場合も考えられるため、綿密な事業計画が必要となるでしょう。

3.「短期運転資金」とは?

一方で短期運転資金とは、その名の通り短期に必要な資金、要するに一時的に必要となる資金のことを指します。

例えば、クリスマスやお正月などその時期特有のイベントがある時、それに合わせた商品を販売しますよね。

そういった場合、その商品の生産のために一時的に資金が必要となるものの、その代金は売上によりすぐに回収できます。

短期間のみ資金が必要、しかしその代金も短期間で回収ができる、という場合に使われるのが「短期運転資金」というわけです。

短期運転資金の借入期間は、最短では入金日の翌日〜最長でも1年。

方式としては、手形借入が一般的です。

そして短期運転資金は短期間で代金の回収ができるので、期日に一括返済するというのが原則となります。

安定した経営ができていれば無理なく返済しながら資金繰りができるでしょう。

場合によっては、赤字であったとしても売掛金の回収予定を元にした返済計画があれば借入できることもあります。

短期間であるからこそ金利も低めに設定されています。

4.似ているようで違う!「運転資金」と「設備資金」

ここで1つ、注意しなくてはならない事柄について説明します。

運転資金とは「事業を継続する上で必要となる資金」のことです。

家賃や人件費、税金、仕入れ費、外注費などがこれに当たります。

一方、その運転資金と混同されやすいものとして挙げられるのが「設備資金」です。

設備資金とは「事業に関わる経済効果が期待できるものや資産性のある設備を購入するための資金」のことをいいます。

例えば、飲食業であれば厨房機器やテーブル、オフィスではパソコンや電話、OA機器、事務机などが該当します。

では、以下の場合はいかがでしょうか。
「社用車を何台か購入したい。」
「事業所を借りるための初期費用を支払わなければならない。」

事業所も社用車も事業を進める上で必要な場合が多いですが、これらは運転資金と設備資金のどちらに該当すると思いますか?

正解は『どちらも設備資金』です。

まず、社用車は設備資金に当たります。

社用車があることで時間が短縮できたり、外装のラッピングにより走行しているだけで宣伝効果があったりと、経済効果があるかもしれません。

事業所も設備資金に当たります。

家賃が運転資金という説明をしましたが、家賃というのは毎月発生するものです。

つまり「事業を継続していくために必ず必要となる費用」ということになります。

しかし、実は店舗や事業所を借りる場合、入居に関わる初期費用だけは設備資金に該当します。

なぜなら初期費用はその後継続的に支払う必要性がなく、一時的に必要な費用だからです。

運転資金の不足

ここまでは運転資金の概要やその種類について解説してきました。

では、会社を経営する上で運転資金を意識せずにいた場合、どのようなことが起こり得るでしょうか。

「季節物の商品を大量生産するにあたり、機材を購入したら材料費に当てられる費用がなくなってしまった。」

「新しい事業を始めようとしたが余裕がなく始めることができない。」

など、考えられることはたくさんありますね。

運転資金を意識しないということは運転資金が不足してしまうかもしれないということです。

必要な費用を支払うことができなければ、材料を仕入れることはできませんし、従業員も雇えません。

そうなれば事業を継続することは困難になります。

そのため、やや極端ないい方にはなりますが、運転資金を意識しないということは会社の存続には致命的です。

ここでは、そうならないためのポイントを4つ紹介します。

会社の収支を把握しよう!

会社の経営は普段の生活と似ています。

どのくらいの収入があって、何にいくら使っているのかを把握できていなければ計画的な貯金はできません。

好き放題使っていてはいつか底をついてしまうのは一目瞭然です。

そのため、会社の収支はしっかりと把握することが重要です。

これまで収支の把握をしっかりとしていなかったのであれば、まず「資金繰り表」を作成するのがオススメです。

資金繰り表は、簡単に言うと会社の現金収支を表にまとめたものであり、現金収支の動きや現金過不足の実態などを把握することができるものです。

日々、資金繰り表を作成することで資金不足となる状況の予測ができます。

予測ができれば資金不足になる前に、銀行から借入をする、支払いサイトを延ばすなど、事前に様々な対応が取れますよね。

黒字倒産などの事態を防ぐためにも、収支はしっかりと把握するようにしましょう。

在庫管理はできている?

注意が必要なのは、販売する商品の在庫をたくさん抱えている場合です。

当然のことながら、商品は売れなければ利益は上がりません。

商品を生産すればするほど在庫は増え、その在庫の残っている数が多いほど、入ってくる利益が少なくなってしまいます。

在庫がたくさん残っている場合は、在庫処分セールや他の商品とのセット販売をするなどして、できるだけ現金化した方がいいかもしれません

抱えている売掛債権の量は適切?

売掛債権とは、「商品の販売やサービスの提供をした会社が取引先や顧客からその代金の支払いを受ける権利」のことです。

つまり、支払いを受ける”権利”=すぐに手元に現金は入らない、ということです。

そして、入金までの期間が長いほど資金は不足してしまい、資金繰りの悪化に繋がる可能性もあります。

様々な取引により会社が黒字経営だとしても、売掛債権の量が多いと、その分未回収の売掛金も多くなってしまって、結果的に手元の資金が不足するかもしれません。

売掛債権はどのくらいあるのか、またその売掛金はいつ回収できるのか、しっかりと把握しておくようにすることが運転資金不足を防ぐためのポイントです。

売上が急増したら要注意!

会社の経営者であれば誰もが売上が上がれば嬉しいはずです。

しかし、売上の急増には要注意。

なぜなら、追加で必要となる商品を大量に生産しなければならないからです。

一気に商品が売れると生産が間に合わない場合もありますが、間に合わせなければ売上が上がることはありません。

そうならないように会社では、商品生産のために急いで材料を仕入れ、外注し、それを回すための人員を増員させるなどの対応をします。

しかし、そうなれば当然その分の費用がかかりますよね。

売上が上がり黒字であったとしても、手元にある現金が少なくなる可能性があるということです。

そのような場合に備えて柔軟に対応するためには増加運転資金を準備しておくことが大切です。

長期運転資金のメリット・デメリット

では、長期運転資金のメリットとデメリットについて見てみましょう。

長期運転資金のメリット

毎月の返済額が一定

長期運転資金の場合、毎月の返済額が一定であり、またその額も低く設定されています。

ということは一度に大きな額を支払う必要性がないため、普段の経営を圧迫しないというメリットがあります。

長期間にわたるビジネスに最適

これは毎月の返済額が低く設定されていることに付随しています。

長期間を必要とするビジネスでは、売掛金の回収にも期間を要する場合がほとんどです。

その場合、手元にある現金はできるだけ多い方が良いですよね。

一度の返済額が少ないと、より現金が残るため安定した資金繰りができるといえます。

長期運転資金のデメリット

審査のハードルが高い

長期運転資金は利益や減価償却費(※1)の計上によるキャッシュフローによって返済します。

キャッシュフローでの継続的な返済が見込めない場合は借入が困難となるケースもあります。

そのため、担保の提供や信用保証、綿密な事業計画を求められることもあり、その審査のハードルは高いといえるでしょう。

実際に必要な金額よりも余分に借りなくてはならない

例えば、1,000万円の資金ギャップを埋めるために1,000万円の借入をしたとしても、約定返済(※2)の分は資金が不足してしまいます。

そのため、実際には必要な金額よりも余分に借りておかなければなりません。

(※1)減価償却費・・・自社で長く使うものを何年かに分けて費用にすること。例えば、会社で長く使うことが予想されるコピー機や車など10万円以上(中小企業は30万円以上)のものを固定資産といいます。その固定資産となるものを購入した時、購入したその年に全額払うのではなく、例えば3年くらい使いそうなら3年、5年くらい使いそうなら5年かけて費用にしよう、というもの。

(※2)約定返済・・・毎月契約で決められた約定返済日に、契約で決められた約定返済額を返済すること。

長期運転資金の調達方法を紹介!

ここからは長期運転資金の調達方法にはどのようなものがあるのか見てみましょう。

銀行融資

その名の通り、銀行融資は銀行から融資を受けることです。

銀行融資の特徴は、低金利ではあるものの審査が通りにくいということです。

なぜなら銀行は、その会社が健全な会社かどうかを判断する必要があるためです。

格付けには決算書などの資料を元にした「定量評価」と、経営者の人柄や経営方針などの「定性評価」があります

定量評価の評価軸は「安全性」「収益性」「成長性」「債務返済能力」の4つです。

この定量評価と定性評価を元に、銀行はその法人を5つの債務区分に振り分け、その会社が健全な会社かどうかを格付けするのです。

  1. 正常先:業績が良好で、財務内容も問題なし
  2. 要注意先:業績が低い、決算書の内容などに問題あり
  3. 破綻懸念先:今後経営破綻に陥るリスクあり
  4. 実質破綻先:深刻な経営難で、実質経営破綻ともいえる状態
  5. 破綻先:法的・形式的な経営破綻の状態にあり

良い条件で融資を受けたいのであれば、「正常先」に分類される必要があります。

ノンバンク融資

ビジネスローンやカードローンという言葉を聞いたことはありませんか?

これらはノンバンク融資のことを指し、銀行以外の金融機関から融資を受けることをいいます。

審査が通りにくいといわれる銀行融資に対し、ビジネスローンの融資スピードは比較的早く、最短で即日、遅くとも1週間〜10日程度で融資が受けられることがほとんど。

しかし、その分銀行融資よりも金利は高く、融資の限度額は低いというのが特徴です。

早急に資金を調達しなければならない場合は利用しやすい資金調達方法の1つといえます。

日本政策金融公庫

政府が100%出資する金融機関、これが日本政策金融公庫です。

国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の3つの事業を展開しており、使途に応じて様々な融資制度を提供しています。

国民生活事業 個人事業主やフリーランス、小規模企業向けの小口資金を融資。融資額平均は約700万円。
中小企業事業 中小企業向けの長期事業資金を融資。融資額の平均は1億円。
農林水産事業 農林漁業や国産農林水産物を取り扱う加工流通分野の長期事業資金を融資。

この日本政策金融公庫は銀行融資と比較すると融資を受けやすいのが特徴です。

銀行に融資を断られた場合でも、日本政策金融公庫では審査が通ることもあります。

さらには、ここで借入した実績から信用が上がり、銀行からも融資を受けやすくなるというメリットも。

申し込みの条件にもよりますが、金利は1〜2%、無保証の融資サービスも提供しています。

長期運転資金を利用した方がいい業種は?

資金繰りにも様々な種類があることがわかりました。

では、その中で長期運転資金を利用した方がいい業種とは一体どのような業種なのでしょうか。

それは、毎月だいたい同じ金額が入金されることがわかっている業種です。

通信業などはその1つといえるでしょう。

反対に、長期運転資金の借入はしないほうがいい業種もあります。

それに該当する1つが建設業で、建設業は毎月同じ金額が入金されるわけではありません。
なぜなら、引き受けた工事の規模や内容によって売上が変動するため売上が不安定だからです。

長期運転資金は返済額が一定とはいえ、毎月発生するものです。

建設業の場合、長期運転資金の借入はせず、工事に見合った分だけ借入を行う、短期運転資金をオススメします。

まとめ

この記事では、長期運転資金について解説しました。

安定した会社経営のためには、運転資金についての理解を深め、その会社や事業に合った方法で資金繰りをしていくのがベストとなります。

これを読んだあなたの会社や事業が好調に進んでいくための参考になれば幸いです。